表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/40

狂人再び

 中田「鳥のボスは、やっぱり鳥か!? ホーホーか? カーカーか? うひゃひゃひゃ! まさか、チュンチュンじゃないよな! うひゃ! うひゃひゃひゃぁ〜!」

 中田は、血まみれのチェーンを振り回しながら、森の奥へと入って行った。相変わらず、発狂したような笑いを続けていたが、目は笑っていなかった。

 ………突然!辺りの空気が変わった。辺りの草木がガサガサと音をたて、獣の唸り声のようなものも聞こえる。

 中田「来たか! おぉぉっしゃぁぁ〜! 来い! 来い! 来いぃぃ! ………??? ん? ………あれ? なんだ? どうなってるんだ?」

 中田が、かまえをとり、辺りを見渡しても、何も襲ってくる気配が全く感じられなかった。 少し先の茂みの方から、何やら凄い覇気を感じ、中田はゆっくりと慎重にその場所を確認しようとした。途端!

 中田「ぐわぁ!」

 何かにいきなり、頭を上から押さえ付けられた。

 中田「クソッ! 不意打…。」 振り返り攻撃体勢に入ろうとしたが、

 「静かに! 見付かる!」

 と、誰かがさらに頭を押さえ付けた。

 中田「なんだ? おりゃ! なんじゃ、テメェ!」

 「しっ! 黙って! ………ほら。始まる。ただ、採取に来ただけなのに、とんでもないものに遭遇したわね」

 声の主から、徐々に力が抜けていく。中田は、ゆっくりと横にすり抜けると、その声の主の横に座り、今始まったと言われた方を見た。そこには………。

 獣の群れ、ペットで飼われるような物から、野生の物・鳥類に至るまでの物が2つのグループになっている。そこに自由を得た植物達、これも大木から雑草に至るまでの物が一つの布陣を組んでいた。ただこれは周囲の草木に紛れて、どれが普通の植物なのか、どれがモンスターなのか、見分けがつき難い状態であったが………。3つのグループが、今、この場で、戦闘を始めようとしていた。

 中田「なんだ? 何が始まるんだ? ………ん? あれか! ボス!」

 中田が立ち上がろうとした瞬間。横にいたヤツが、腕を引いた。

 「待って。これは、縄張り争いよ。今、出て行ったら全てのグループの標的にされるわ。下手に動いても危ないから、しばらくここで様子を見ましょ」

 中田「………てか、テメェ誰だよ! 何でこんな所に居る!? つーか、女じゃねーか! テメェ、邪魔すんじゃねぇよ! あいつはよ、あいつらはよ! 妻と娘、渚と愛里の仇なんだよ! 止めんじゃねぇ! うひゃひゃひゃ! うひゃひゃひゃひゃ~! 殺す! 殺すぞ! 殺してやる! 死に腐れ~! テメェ~~ら~!」

 女「だからッ! じっとしてなさい! しっ! あんたが、死ぬわよ」 中田「クソッ! 何だってんだ! しかしよ。テメェ、誰なんだよ。何だってこんな所にいる!」

 女「始まったわ。なるほどね。これで私の仮説が正しいという事に一歩近付いたようね」

 中田「だ〜か〜ら〜! テメェは………」

 女「うるさい! 静かに!」

 中田「……誰だって聞いて………」

 女「やかましい! 騒がしい男は嫌われるわよ。ちょ、黙ってて。………ふーん。あいつらってあんな連携出来るんだ。一番不利なのは、野生の動物達ね。全く統制がとれてない。うわっ……プラントモンスターって、種類が増えると危険ね。あの上下からの攻撃は、乱戦の中じゃ多分かわせないわね。………やっぱり、アニマルモンスターが強いか……。あの攻撃力は侮れないわね。あっヤバ!動物達もうダメ。バラバラに攻撃してちゃダメよ。あっ、あ〜。あ〜あ、あれも野生のカンってやつなのかしら。みんな逃げちゃった。………それにしても……すごいわね。雑草達、戦闘区域がこんな所だと全然ザコじゃないのね。周りの草と見分けがつかない。へ〜、根っこって、移動手段だけって訳じゃないのね。あれは連発できないみたいだけど、確実に不意打ちになるわね」

 中田「あれは、ヤベェぞ! 地面から突然突き上げられる! あれ、出てくる場所が分かんねーんだ。……うひゃひゃひゃ、あれは、俺の一番嫌いな攻撃だ。鳥ども〜! 卑怯だぞ。空からの啄み攻撃」

 モンスター同士の戦いは、優劣を予想させることなく、続いていた。中田と女は、じっと草むらの陰からその戦いの結末を待っていた………。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ