EP.1
日本、とあるマンションの一室
『ジジジジジッ…ジジジジジッ…』
朝6時のアラームで起きる。
「クソっまたあの夢だ…」
偶に彼女が亡くなる時の夢を見てしまう。最近は頻度も増えてきていた。
「いい加減3年経つんだ…俺もそろそろ立ち直らないと」
自分にそう言い聞かせ朝の支度を始める。
少年は大学生だ。とは言っても高校には行っていない。
少年は5年間少女と世界を救うために世界を股にかけていたからだ。
そんな少年が何故大学に通えているのか、それは本人も理解していない。
少女の死後気づけば社会的身分が用意され、住む家もあり。定期的にお金も貰っている。それもかなりの額だ。
生前の少女が何者だったのか詳しくは知らない。しかし、元から自分が死ぬことを見越して俺の為に全てを用意してくれていたらしい。
この事は彼女の仕事仲間だという黒服の男から聞いた。
朝の支度を終え少年は自宅を後にした。
いつもの電車に乗り、いつもの道で大学に着き何ら変わりない日常が始まろうとした時
「まって」
背負っていたリュックを後ろから引っ張られた。
「貴方でしょ3年前に《世界の敵》から世界を救ったのは」
後ろの人はなんでそれを知っているんだ。
一般人はそもそも世界の敵の存在を知らない。それに過ぎ去った世界の敵は《■■■■■》に記録された後に関係者も存在を忘れさせられると彼女が言っていた。
「《世界の敵》…?」
「何知らないふりしてるの嘘付かないで、それに《少女》の事も忘れたって言うつもり?」
少女…久しぶりに聞いた。やめてくれ、もう忘れさせてくれ。終わったんだ。彼女が遺してくれた平和な日常を失いたくない。
「少女の事を知っているのか?」
「当たり前よ。私は《少女》が遺した遺産の1つ『《■■■■■》のマスターキー』を託された人だもん」
「マスターキー…?」
「今は気にしないで大丈夫。そんな事より貴方何時まで彼女が遺してくれた微温湯に浸かっているつもりなの」
俺の平和な日常を微温湯呼ばわりされてしまった。
「《少女》が貴方を慮って一生生活に困らないようにしていたけど、私は許さないわ」
目の前の同年代とみられる女性は腕を組みながらフンと鼻を鳴らした。
「許さないって何様なんだ…」
「私が誰かも今はどうでもいいわ、今大事なのは貴方が微温湯を抜け出だす事よ」
抜け出す…?なんでまた。
「貴方は目覚めなきゃいけないの《少女》の遺産の1つ《凡人》。」
「凡人…?何を言ってるんだ。俺が遺産だって言うのか?」
「そうよ、貴方は《少女》の遺産よ。」
そんな事は黒服に言われなかった。
「初めて聞いたぞ、それに見ず知らずの人の言うことなんて信じるわけないだろう。」
「まあ今直ぐに信じろとは言わないわ。今までずっと《少女》の事を忘れぬるい生活をしていたものね。」
彼女を忘れる…?そんなことできるわけないだろう。
「彼女の事は忘れたことはない。忘れられるわけないだろう。」
少し苛立ちが入ってしまった。
「それはごめんなさい。あっ今週の土曜日詳しく話をする為にここに来てね」
そう言って俺に紙切れを渡してきた。
「来ても来なくても良いわよ。でも絶対に後悔のない選択をしてね。」
そう言ってそそくさと大学内に入って行った。
「え、同じ大学なの…」
プロローグは夢でした。




