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第二章 scene4 エリーゼの疑問

――眠っていたはずだった。


でも、夢じゃない“気配”が胸に残っている。


目を開ける。

ぼんやりとした天井。

静かな部屋。


……また、眠っていた。


「最近、よく眠れるようになってよかったですね」


そう言われるたびに、胸のどこかが、わずかに冷たくなる。


“よかった”?


これは――“よいこと”なのだろうか。


昔は、疲れて眠っても、ちゃんと朝が来て、世界に戻ってこられた。


でも今は。


眠りの底に、手を引くような重さがある。


(……怖い)


ただ、それを言葉にしようとすると、喉がきゅっと固まる。


言ってはいけない気がする。

言ってしまった瞬間、“周りの優しさ全部を裏切ることになる”気がする。


だから笑う。

だから大丈夫と言う。

だから従う。


でも本当は――


「……ねぇ、マリアナ」


静かに横にいる妹へ、小さく問う。


「わたし……ちゃんと、起きられているわよね……?

わたし……どこにも、連れていかれてないわよね……?」


そう言ったあと、自分の言葉に、自分がいちばん怯えた。


そんなこと、考えるはずがないのに。

そんなこと、感じるはずがないのに。


けれど胸の奥は、確かに知っている。


“これはただの体質じゃない”


ゆっくりと、静かに。


何かに包まれ、

何かに縛られ、

何かに、“閉じ込められていく”。


その感覚だけは――

どうしても、ごまかせなかった。


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