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プロローグ 数百年
「わたしね、サイダーが好き。それに夏も。でも何よりあなたが一番好き」
「僕も何より君が大好きだよ」
隣で微笑む彼の顔をいつまでも見つめていたかった。
抱きしめて、強く抱きしめて、何度も何度も愛を伝えた。まだ彼と世界を生きていたくて。
怖い『いつか』の覚悟をしながらも、一緒に何かに熱中しているとそんな恐れもどこかに行っていた。
――それからわたし達は、生きている。わたし達はただ今を生きている。
毎日を忘れることがないように。愛しい人を、愛しい時間を、ちゃんと感じられるように。