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7話「睨み合う強者たち」

 ミオ達は攻防を繰り返していた。ミオは先を見通し攻撃に対応し、反撃する。

「死角でも関係なく捉えらえてるなぁ?」

 しかしミオはこの状況に焦りを感じていた。

(接近戦は未来の視えるウチに分がある…………なんて!とんでもない!異常な程の敏捷性(アジリティ)……!常に未来を視てやっと捌けるくらい……)

 一つ一つの攻撃をミオがギリギリで捌いていく。

(それからこの魔力強化……!重くて膨大……ダメージが入ってる気がしない。その上なんか『恐い』……!一発でもまともにもらったらいけない気がする……!でもだからこそ、一番の不明点だった『氷結』は怖くない。これだけのハイテンポならタメが必要な魔力の放出は隙でしかない。自然種の仲間が控えてる可能性もあるけど……そっちならむしろ『遠見占術』で抑えられる。油断は無い、勝つ)

「なるほどね、どうやって身体強化で未来予知なんかしてるのかと思ってましたけど……『野生』の応用か」

「……!」

「野生の本能が強い極一部の獣人種だけが使える『野生』……高度な身体強化で五感を『強化』して反応速度を限界以上に高める技。その要域で第六感を『強化』してるんですよね。要はめちゃくちゃ鮮明で正確な『直感(なんとなく)』ってわけだ」

「……すごいね。まさか理解されるとは思わなかった」

(まぁ……だからって特に問題ないけど。予知能力なのは最初からバレてるし、ネタが分かったからって防げるものじゃないよ)

「あ〜……じゃあもう充分だ。マジでしんどかったぁ」

 謎の助っ人は肩を鳴らしながらそう言う。

(次どう出るかも……)

「……………………え?」

 ミオが未来を視ると混乱する。

「……それは……どういう…………こと?」

「それ?……あぁ、3秒先のあたしに聞いたのか。まぁ、どういうっつーと………………」

 スキルを解くとミオの目の前に映ったのは、尾丸ポルカだった。

「『道化(ピエロ)』なもんで、嘘つくのが仕事でしょ?」

「……変身の能力……!?いや変身っていうより……」

「『模倣(コピー)』だよ。ポルカの能力は一定条件を満たした相手の容姿・声・etc、そして『戦闘』を模倣する」

模倣(コピー)!魔力頼りの『固有(ユニーク)スキル』を持った獣人種かと思ってたけど違った……!初撃の氷結は恐らく誰か自然種をコピーして出てきたんだ……!)

 ミオが冷や汗を垂らす。

「『条件』は……教えてくれるわけないか」

「んー?いやぁ……教えるというより……教えずともかな」

 ポルカはそういうと姿を変えミオを模倣してみせる。

「…………!!」

(条件は既に……満たされていた……!!)

「……気づいてる?同じ条件の予知能力者同士の戦いは、後出しジャンケンになる……ってコト」

「……後から未来を視た方が先に未来を視た方の動きを含めた『さらに未来』を視ることができる」

「そういうこと。後出し側が変更後の未来を視ることができる……つまり『先に能力を使用した方の負け』」

「実質的に能力が使用禁止になったって言いたいんだね。……でもそれはお互い様でしょ。ウチの模倣なら素の戦闘力は五分、むしろ常に模倣の能力で消耗する君が不利じゃない?」

「……どうかな」

 すると、ミオのスマホの通知が鳴る。

「……確認してどうぞ?」

 ミオはスマホを見ると言葉を失う。その画面に映るはフブキとまつりが脱落したことを知らせるものだった。

「………………すぐにポルカの仲間が合流するしさっきの超新星がここに戻ってくる。詰みじゃん?」

「………………………………みたいだね」

「降参?」

「これでも勝てるって思うほど自信家じゃないよ。大会を諦めないためには退くことも大事!フブキが脱落したのは残念。……でもむしろ前回王者を倒した君たちには期待しておこうかな」

 そういうとミオはボーナスアイテムで戦闘区域を離脱する。

「…………伝えとくよ」


 ――――――――――――――――――


『holoRoyal』会場中枢部

 運営塔上階


「おっ、すごいな昨日今日で前回と前々回の優勝者が脱落したぞ」

「えっ、前々回はともかく……『白上フブキ』もでござるか?」

「そうだ。相手は……『星街すいせい』か」

「へぇ〜……初参加の人でござるな」

「あぁ……気合を入れて招待した甲斐があったな」

 星街に関心を持っていたのは『holoRoyal運営・holoX総帥』のラプラス・ダークネスだった。

「盛り上げてもらうぞ、我らの大願成就のためにな」


 ――――――――――――――――――――


 みこちが目を覚めると小鳥のさえずりが聞こえる。

「ん…………あ……?」

 起きると非戦闘区域の部屋の中におりみこちは少し困惑する。

「お、みこち起きたよ」

 ポルカはみこちが起きたことに気づくとすいちゃんに教える。

「お、起きたか。おはようみこち、久しぶり」

「すいちゃん……!」

 みこちは星街を見て安心した様子を見せる。

「19時間12分……非戦闘区域断続滞在可能上限まであと5時間弱、本当に間に合ったなぁ」

「ね?」

 ポルカは関心する。

「よかったねぇすいちゃん」

「別に?脱落したらしたで後で潰す手間が省けたし」

「一晩中枕元で看病した人が何言っ……とぅぐわっ!」

 ポルカが言いかけると星街がものを投げる。するとポルカが何かを察していた。

「えっと…………てゆーか、すいちゃんと……誰?」

 みこちがそういうと星街達はハッとなる。

「あぁそっか、そりゃあそっから説明しないとだよな。うーんそうだな……」

「じゃあとりあえず……」

「戻ったぞーーーーー!!!!!!」

 ポルカが言いかけるとドアが開き新しく2人が入ってくる。

「とりあえず色々リクエスト通りに、あとは消化に良いものも……」

「……あれ!起きとる!」

「……わからんが増えた……!」

 みこちがこの状況に困惑していた。


 holoRoyal3日目

 10月12日 10:20

 都市エリア 非戦闘区域


「えーつまり……3人は今みこたちと戦う気はなくて、これからみこたち5人で協力チームを組む!ってこと?」

 みこちたちの元へ来たのは去年度参加の不知火フレアと同じく白銀ノエルだった。

「そういうこと。私たちと君たち2人、目的は違うけど両方にメリットがある」

「メリット?」

「みこちも感じたと思うけど、私たちには知識が足りなすぎてると思う」

「……!」

 星街の言葉にみこちも心当たりがあった。

「初参加の子が経験者の罠にかかるのは珍しくないけど……にしたって君ら事前調査も全くしてないでしょ」

 ポルカの言葉に2人は返す言葉が見つからなかった。

「団長たちはその知識の部分をサポートしてあげられる。それが君らのメリットだよ」

「……そっちのメリットは?」

「…………正直ね、今年の参加者は異常なの。私たちは例年通りなら十分に優勝できる仕上がりにしてきた。だけど今年の水準だとどうやっても私たちだけじゃ優勝に指がかからない。それだけ今年は強者揃いなの。そして2人は協力関係を築けそうだった唯一の強者、つまり他の強豪を減らすまで君たちに『戦力』を貸してほしいの。代わりに私たちは『知識』を提供する」

 フレアはみこちたちに交渉を持ちかける。

「……でも最後に残るは1人。……そもそも5人も含めたチームアップは普通はありえないんだ。最後に優勝できるのが1人な以上、どこかで組織が瓦解する。だからこのチームも最後まで仲良しするとは限らない……それでも……」

 ポルカは少し暗い顔で言う。

「いいよ!やろ!」

「………………………………うぇ?」

 ポルカはみこちの意外な返答に戸惑う。

「難しい駆け引きとか危険性とかみこにはわかんないけどさ、3人はみこちのこと助けてくれたんだし。なんかこの5人なら仲良くなれそうな気がするから!」

 みこちの発言にフレアたちは少し驚愕する。

「すいちゃんもいいんでしょ?」

「ん?うん。みこちはどうせそう言うと思ってたし、いいよやってみよ」

「へへっ」

 みこちと星街を見てフレアたちは笑みが溢れる。

「よし!じゃあ早速作戦会議と行きますかぁ!」


 ――――――――――――――――――――――――――


『holoRoyal』の会場は円形の結界で構成されており、四つの戦闘区域が非戦闘区域で区切られている。それぞれのエリアに特徴があり自分の戦闘プランに合ったエリアをメインに活動するのが一般的だが、その中で最も避けられるのが『特殊エリア』である。特殊エリアは気候や配置魔獣、発生するミッションまで非常に危険度が高い。その上地形も日常とかけ離れており、戦闘に支障をきたす。このエリアを選んで滞在する参加者は腕に自信がある者か事前情報を読まなかった者のみ。そのため最も激しく玄人のみがぶつかり合うエリアとなる。が、そんな玄人も今大会では慎重にならざるを得ない。

「……ねぇねぇおがゆ〜」

「うん、『居る』ね。ころさん……久しぶりに強そうだ」

 特殊エリアに佇むのは初参加(推奨参加)の『猫又おかゆ』と『戌神ころね』だった。2人は前回王者『白上フブキ』の同郷、初日から特殊エリアに侵入。本来不利とされる『自然種』の優勝候補者と戦い圧倒する。さらにその後一晩で上位入賞候補を含む14名を脱落させた。そしてまた同じく特殊エリアの別の場所で佇む者がいた。初参加(推薦参加)『鬼』の自然種『百鬼あやめ』、2年前に地元で発生した異能者集団『百鬼夜行』による『部隊支部』襲撃事件、数十人の死傷者が出たこの事件を単独で鎮圧した。通称『鬼姫』

「……………………やばっ余、寝とった。」

 優勝候補すら蹂躙する『異常な初参加勢』例年我先にと強者を狩る玄人達ですら彼女らを躱し、それぞれが衝突するのを待っていた。しかし

「おっ、通知……んー……『前年度優勝者白上フブキ……脱落』……んマジか。新しいキルリーダーが生まれましたやん。相手はー……相手相手……『星街すいせい』……えすご、すいちゃん頑張ってんじゃん。トワも頑張らねーとなぁー……っと」

 トワはそういうと建物から飛び降りる。事態は更なる混沌へ発展する。初参加(推薦参加)『常闇トワ』、今大会にも3人しかいない『幻想種』、他種族の常識を嘲笑う超常的存在。

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