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6話「彩る者」

「体力切れなので温存したコンパクトな立ち回り……と思わせて」

 星街は魔力をエネルギーに変換し一点に集中させ、フブキの仲間に放つが仲間はその攻撃を知っていたかのように避ける。

「……いきなり最大出力の引力で奇襲」

 星街が踏み込む。

「……を起点にして速攻、どう?合ってるかな?」

「…………!!あ……ってる」

 星街は自分がしていたことがバレていることに驚き魔力を解除する。

(さっきから妙に攻撃が当たらないし避けた先に攻撃が来ると思ってたけど……)

「『予知』か……!」

「正解」

 星街に言い当てられたのは前年度準優勝者の『大神ミオ』だった。その姿は狼の耳と尻尾をもつ獣人種である。

「獣人種の『固有(ユニーク)スキル』にしては珍しい能力だね」

「?」

 ミオが星街の言葉を不思議に思う。

「獣人種が『予知』、噛み合っているけど身体能力の分野じゃないでしょ」

「あーいやどうかな、ウチの『固有(ユニーク)スキル』は無能力だよ?」

「えっ!?」

固有(ユニーク)スキル』自体に能力がついているのはほとんどが『亜人種』である。『獣人種』は(ベース)の身体的特徴が得られ、『自然種』は魔力の特性が得られる。『亜人種』以外は無能力であることが多い。

「白上達はそういう才能はない……けど環境に恵まれた。努力する時間もたくさんあった。そういう感じです」

「それじゃあ……話は終わり」

 ミオがそういうと魔力を拳こめる。

「っ……!」

(終わり……負ける……!?やばいふざけんな!ここで負けたらみこちにも……!)

 そうするとミオが何かにを予知したのか焦り出す。

「フブキ下がって!!」

「!?」

 すると星街達の前割って入るように巨大な氷が現れる。

「な……っ!」

 白上が唖然とする。

「あー……今のでどっちかは仕留めたかったんだけどナー……やっぱり予知は厄介かぁ」

 冷気の中から人影が見える。

「ま、だから何だっつー話」

 現れた声の主は銀髪で獅子の耳と尻尾を持っていた。

(だ……誰!?氷の範囲攻撃威力が段違いだ!相当強い自然種…………のはずだけど、あの見た目はむしろ……)

 正体がわからない相手に星街は警戒を強める。

「星街すいせい……ですよね」

「……!そうだけど……」

「ちょっと訳ありでさ、手かしてあげますよ」

「はあッ!?」

 星街はまさかの発言に戸惑う。

「嫌?」

「いやってゆーか……」

(信用……できるわけ〜〜〜?目的がわからんすぎて納得できる訳が無い!…………けど今は『詰み(この状況)』よりマシ!!)

「まぁ嫌でもいいけど。大人しく見ててくれればあたしが……」

「言うじゃん、喧嘩ならすいちゃん買っちゃうよ」

 煽られたかと思った星街はムキになったように言う。

「……いいよやろう。黒い方の能力が……」

「『遠見占術(メタロット)』、準備なしの発動で3秒先の未来まで見れる能力だ」

「お」

 星街はミオの能力を伝えようとすると食い気味に説明される。

「さらに未来とか色々見ることもできるけど戦闘中は無理かな」

「知ってるんだ」

「まぁね、初参加じゃないもんで。あの2人とやってよく生き残ってるよ、さすがだね」

「フブキの方は一回倒した。その後合流されてアイテムで回復」

 ミオが使ったボーナスアイテムによってフブキは体力の2割ほど回復していた。

「だけど多分、あの感じだとそこまで体力は戻ってないかな」

「なるほど」

 すると氷にヒビが入る。

「んじゃあそっちは任せた」

 その瞬間氷が割れミオが現れる。

「で、『こっち(元気な方)』もらうね」

 謎の助っ人はミオとのタイマンに持ち込む。再び星街対フブキの戦いが始まる。

「さっき…………向こうで大きな花火が上がりましたね」

 2人の距離が少し離れるとフブキが話始める。

「あれはまつりちゃんの大一番の決め技でして、あれが出たならどちらが勝つにせよ決着がつきます。だから……」

「心配じゃないのかって話でしょ、あのねぇ…………心配に決まってんでしょ!」

 フブキは意外の返答にきょとんとする。

「みこちはあほだし弱いし戦闘経験浅いしあほだしPONだしあほだし」

「あほっ…………」

 星街のあほ連呼にフブキは苦笑いをする。

「でもね、誰にも負けないくらい頑張ってる……そんな奴にかける言葉は『心配してる』じゃなくて『負けんな』でしょ」

 星街の言葉にフブキは笑みを浮かべる。

「……そういうことですか、やっぱ良い関係ですね」

「どうも。まぁ本人には言ってないけど」

「言ってないんかい!!!なんでぇ!?言ったら喜ぶと思うけど!」

「いや……直接言うとかちょっと」

 フブキに言われると星街は目を逸らす。

「恥ずかしがり屋さんかい!!!言っとる場合か!」

「あぁもういーでしょ、私のことは。とにかく、今私がやんなきゃなのは君らに勝つ事だけだよ」

「それはそーだね」

 2人は切り替えると真剣な表情になる。

「……知っての通りガス欠でさぁ、ちょっと危ないやり方も試してみる事にしたんだ。身の安全考えて勝てる相手じゃないよな……」

 そう言うと星街から膨大な魔力が溢れ出す。

 

星空を君に(ステラ・S・テラ)』ブレイクチェーン


(身体負荷への制限解除!?)

 フブキは冷や汗を垂らすも、少し口角が上がってしまう。

「さーて、今度こそ引きずりおろしてあげるよ!!!前年度王者!!!!!!!!」

 本来、外部から魔力を補給する能力は身体への負担さえ無視すれば魔力が尽きることはない。しかし星街すいせいは魔力過多で自身の身体で壊れないよう常時セーフティをかけている。『ブレイクチェーン』はそのセーフティを外して本来以上のスペックを発揮する技。

 星街は一瞬にしてフブキの目の前まで近づく。フブキが刀で攻撃をすると、またしても一瞬で消える。すると星街がフブキの死角から攻撃をする。

「うぐっ……!」

 フブキは吹き飛ばされるも体勢を整えると息つく暇なく次の攻撃が来る。

「ッあぶ!!」

 フブキが飛んできたアックスを間一髪のとこで避けるが、星街はアックスとの引力で一瞬にしてフブキを壁に叩きつける。

「ゲホっ……!!」

(速い!!それだけ負担の比にならないはずなのに…………なのに…………!)

「何……楽しそうにしてんじゃい……っ」

 フブキの目に映るは未だ戦いを楽しんでいる星街の姿だった。

『ブレイクチェーン』は実力以上のパフォーマンスを発揮する技。と、星街すいせいは考えている。実際は違う。『天才』と呼ばれた星街すいせいの前では生半なプロですら格下。そのため彼女は『本気を出すこと』に慣れていない。身近にいたときのそら(唯一の格上)は戦いに積極的でない事と圧倒的すぎる実力から手合わせの機会を得難かった。しかしこの会場にいるのは全国から集まった指折りの実力者。『同格』である白上フブキとの戦いの中で星街すいせいの力の蓋が開こうとしていた。つまり『ブレイクチェーン』は眠ってしまっていた『全力』を無理矢理解放する行為である。

「……さっきもう限界かと思いましたけど……もしかして結構演技派?」

「まさか、人聞きわりーな。全身死ぬほど痛いよ。辛い、今すぐ寝たい。けどさぁ」

 

 ――――――――おめーこそな!


 星街がみこちの言葉を思い出す。


「あほな相棒に煽り返されてるんだよね。それで負けるのはもっと嫌なの」


 『星空を君に(ステラ・S・テラ)』出力最大超(200%)


「限界なんてとっくにすぎてるわ!!!!!!」

 星街が纏う圧倒的魔力に白上はゾッとする。その目に映るのはまさに星そのものだった。

「……ははっ、そーゆーコトですか!」

(思えば…………もっと早くミオと合流したら勝ってたかもしれない。タイマンについても白上の方が手札はあった。出し惜しみしなければ私の勝ちだったかも。戦略やこの後の大会運びのことを気にしすぎてこの一戦を落としてしまった。前回の『優勝』でゴールした気になって、一戦一戦全力を出す熱を冷ましちゃったんじゃないかなって…………この2人と戦って思い出せた)

 フブキが構えを取り極限状態まで集中する。

「白上流剣術『居合』」

(せめて最後だけでも……がむしゃらの全力で……!)

「『孤月』!!!」

 白上と星街の全力がぶつかる。


 ――――――――なーにが前年度王者、まだまだ道の途中だ。また一から鍛錬し直すぞー!…………って2人もノってくれるかなぁ


「……そういえば聞いてなかったな…………お名前は?」

「星街すいせい……すいちゃんって呼んでいいよ」

「……改めて白上フブキです……すいちゃん、優勝目指して…………頑張ってね」


 10月11日 14:09

 白上フブキ 脱落


 ――――――――――――――――――


 一方その頃、ミオは突然現れた星街の助っ人と交戦していた。ミオは次々と来る攻撃に対応していた。

「そう反撃するのも……視えてるぞ!」

 ミオはそう言い反撃し、後ろに押し飛ばす。しかし、その表情は不適な笑みを浮かべていた。

「へぇ……やっぱソレ『いいなぁ』」

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