41話「花瓶に桜」
「雪女だ!」
小学生のある日ラミィが後ろ指を指される。
「な………なにそれ?」
「3組のやつが見たんだよ!こいつの近くにいるとなんでも凍っちゃうんだぜ!この前も4年生を……」
「ち、ちがっ……あれは!」
「やべぇ逃げろ!凍らされる!」
ラミィが弁明しようとするも言われもないことを言われ逃げられてしまう。
『雪花』古くは異能の名門、宗家の血を引くラミィは小さい頃から環境に恵まれた。
家族もみんな当然異能を生活の中心に出世していて
家族と同じように上手にできた訳じゃないけど
みんなより早く異能に触れてたと思う
「雪女だ!」 「雪女と話すと凍るんだぜ」
「ラミィちゃんは?」
「いいよお嬢様だし」「私らとは生きてる世界が違うんだって」
「金も顔も異能の才能もあるんでしょ」
「怖い」「悩みなんて一個もない」
「私らじゃ釣り合い取れないっていうか」
「わかんねー」
「ねぇ『ラミィ』ちゃん」
「………え」
「異能やるんでしょ?見たいな!」
「え………え…………?」
ラミィのことを気にして話しかけてくれたのか
本当に見たかっただけかもしれない
それ以来半分流される感じでししろんの居る異能の教室に行った
――――――――――――――――――
ラミィとぼたんの二人は共に異能教室で試合をしていた。
ぼたんは年上相手に苦戦を強いられていた。
(今……ぼたんちゃんに気を取られてる。ラミィなら相手を一気に……)
ラミィが掌から冷気を出す。
――――「雪女」「見下してる」「怖い」
その瞬間今まで浴びせ続けられた言葉がラミィの頭によぎる。
するとラミィは放とうとしていた魔力を解いてしまう。
――――――――――――――――――
「昨日のは惜しかったなー!」
「う、うん……」
「やっぱ魔力の流し方ってのが大事なのかな。あとは能力があれば……」
「…………能力……」
すごい家系だからって最初から最強な訳じゃない
家族のようにうまくできないのは練習不足もあったけど
家族のように強大な力を振るったら、ラミィの居場所がなくなると思っていたからかもしれない
ししろんは年相応な感じだったけど、同時にどこか割り切ってる感じで
ラミィの生まれのことも気にしないし
周りの目とかも気にしないで話してくれた
後で思えば、あの頃から護ってくれてたのかもしれない
中一の冬だった。
ラミィだ誘拐されそうになったところをししろんが助けようとしてくれて
そのまま大人にボコられた。ししろんがやられるのを見て
それで……
ラミィはその人たちを氷漬けにした。
「……………………ラ……ラミちゃん………」
「………っ!ち、違うの!!!これは……っ!ちがくって………!」
「………すっごいじゃん!!!ありがとう!助かったぁ……てか今まで一番すごくね!これなら三年にも勝てるんじゃ……いってて〜」
ラミィさ、この時すごく暖かったの。
まるで溶けてしまいそうなほどに
――――――――――――――――――
「はぁ………はぁ…………」
みこちは氷の攻撃を受け体の右半分が凍っていた。
(防ぎ切られた……!!!押し合いはバリア二枚出しでラミィの負け!けど向こうもあの有様じゃ右半身は使えない。やっぱ引き分け!ならもう一度!!!)
その瞬間ラミィの第二層が解けてしまう。
(第二層が解け……!身体……は無事!これは……魔力切れ……!)
「……………ぽぅぽぅから、みんなのこと聞いたよ。ぼたんちゃんのこと……聞いたよ」
みこちが凍った右足を引きずりながら話し出す。
「みこはこうしたらいいんじゃないかとか、こうしたらいいとかあんまり言えない。なんて言ったらいいのかわからなくなっちゃうから。もしもこうなったら……もしもダメだったら、みこにはわからない何かがあるんじゃないか……そういうの考えたら怖くなるから。…………けど、ぽぅぽぅが悔しそうだった……ねねちが悲しそうだった……………ラミィちゃんが寂しそうだった」
みこちの目には確かにラミィが映っていた。
「友達が辛そうなのに……このままでいいなんて思う訳ない!きっとぼたんちゃんだって悩んでる!!!みんなみんな思ってるのに口に出さないから!……だから目ぇ見て!もう一回お話してこぉい!!!!!!!」
ラミィがこぼす涙は視界を滲ませ、ぼたんの幻影を見せる。
ねぇししろん
ラミィね
あなたが護ってくれた時も嬉しかったけど
ラミィのことを知っても
怖がないで笑ってくれた時が……
いちばんうれしかったんだよ
10月17日 15:01
森林エリア
雪花ラミィVSさくらみこ
「………すいちゃん、ぽぅぽぅ…………頑張れよ……!」
勝者
さくらみこ




