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4話「きみの星になれるなら」 

 都市エリア、開けた道の真ん中でフブキと星街は攻防を繰り返していた。2人はお互いの攻撃を捌いていた。すると、戦局が変わる。星街がフブキの腕を掴み殴りかかる。フブキが冷静に避けようとする。その瞬間電流が流れたような音がする。

「……!?」

 フブキはワケのわからないまま殴り飛ばされ建物に叩きつけられる。

(……まただ、避けれたはずの攻撃に当たった……引き寄せられた!白上の刀と素手で打ち合える……のは単純に魔力量が超多いからかな?だとしても、『能力』は既に使ってるな)

 フブキは受けた攻撃を冷静に分析すると同時に星街の技量に驚かされる。

(硬いな……大抵のやつは伸びるの入ったと思ったんだけど。伸びないどころかピンピンしてるんだよなぁ…さすがは獣人種。刀の技は強いけど例の居合らしい特性は見られない……回避と防御を封じる術がない。つまりまだ隠してる『ナニカ』がある)

 同様に星街もこの短い戦闘でフブキの手札を解析していく。

(居合のタネを割るためにもまずは……)

(アレもやりたいしまずは……)


 ――――――『能力を明かす!!』――――――


 この時2人の考えが一致する。フブキが建物の瓦礫を宙に飛ばすと星街に向かって蹴り飛ばす。星街は軽くいなすかのように飛んできた瓦礫を殴り飛ばす。すると、星街はフブキを見失う。

(目眩し……!)

 フブキは自身の間合いに入る距離まで星街に接近していた。

「白上流剣術『弧金』!!」

 フブキは光り輝く魔力を刀に纏い星街を切りつける。

「……!!重っ…」

 星街は防ぎきれずものすごい勢いで建物に吹き飛ばされる。その衝撃で建物が崩れる。崩れた建物から小さな瓦礫が勢いよくフブキに向かって飛んでくる。すかさずフブキは刀で弾く。


 ――――――能力者の持つ力量にはいくつか法則性がある。獣人種は身体能力が高く、体の強度を上げる身体強化に長けている。自然種は魔力量が多く、複雑な魔力操作に長けている。そして、亜人種はその両方の特徴を50%ずつ持っているバランス型。それらの特徴分析は相手の能力を知る上で非常に重要な判断材料となる。


 星街が踏み込むと一瞬にしてフブキに詰める。星街が魔力を操作する動作を見せる。すると、瓦礫がフブキに向かって突っ込む。

(今弾いた瓦礫……!?)

 咄嗟に防いだフブキの隙を見て星街が殴り飛ばす。再びフブキは建物に叩きつけられることになる。

(わかってきた……この人の能力……!多分、磁力……!引き寄せられる攻撃と今の瓦礫、どっちも『触れたものを自分の方へ引き寄せる技』……トップスピード以上の瞬間移動は、自分と地面を反発させてるとしたら説明がつく。『吸引』『反発』どっちも一定範囲一定時間触れたものを対象に…………そして白上の刀と打ち合える魔力量、それらを合わせた圧倒的基礎パワー……)

「オーケー……問題なし!」

 そういうとフブキは居合の構えを取る。

(居合!とくれば……さっきと同じ詰め方は通じないだろ、見極めて対応する!)

 白上の家系に伝わる流派継承型の能力(わざ)


 ――――――白上流剣術――――――


 獣人種の長けた身体能力を剣術に掛けることで開発された五つの型、それにより多彩な戦況に対応することができる。

 若き天才『白上フブキ』獣人種でありながら、希少な『光』の特性を得た魔力を微弱ながら持って産まれた。その魔力を剣術使用時に自身の身体能力に掛け合わせ一つのエネルギーと成し、鞘の中で『のみ』加速と同時に流し込む。その一刀は光の速度に達し、刃はあらゆる物理干渉を通過する。


『彼女だけのオリジナル』


「居合…………」


 ――――――『孤月』――――――


 その瞬間星街の目の前からフブキが消える。

 「……消え」

 その瞬間星街は切りつけられその場に倒れる。

 

――――――――――――――


「フブキの魔力に特性があった?」

 いつかの昼休みフブキは友人と自分の魔力の特性について話していた。

「しかも光の特性だって」

「超レアじゃん!よかったねぇ」

「うーん……獣人種に魔力の特性があってもなぁ……白上流の訓練ずっとしてたし今更言われても……」

 すると、友人は何かを思いつき提案する。

「使っちゃえばいいんじゃない?どっちも一緒に。魔力も、白上流も」

「…………え」

 フブキは思いついたこともない提案にハッとなる。


――――――――――――――


 そうして産まれた白上フブキのオリジナル、居合『孤月』

 燃費を抑えるため抜刀のみで効果を発揮する。光を掴むことはできず、光の速度を見切ることはできない。故に不可侵不可避。また、この一撃で勝負を決めるため相手が光に干渉できる能力を持っていないか判断してから発動する。

「さて、念の為脱落までは見届けさせてもらおっかな」

 星街すいせいの能力は『磁力』


 ()()  ()()


 フブキの目の前には殴りかかる星街がいた。


「なっ…………!」

 殴り飛ばされたフブキは建物の壁を貫通し2人は室内の戦いになる。

「ぐっ…………!」

(重い!そして速い!さっきよりも……いや、それより!『孤月』を防がれた!回避…はされてない。感触的にもあの傷的にも当たっている。つまり光を無効化できるような能力じゃない!けど、防御はされる!)

 星街は回り込みフブキに攻撃を仕掛ける。フブキは刀で防御するが、星街はそれを捌き一撃を加える。

「っ……!」

 反撃をしようとフブキが刀で切り掛かると、星街は一瞬にして背後に回る。

「私の能力がわかんないでしょ。ネタバラシしたげる……『()』だよ」

 そういうと星街が大量の魔力を纏いだす。

「白上流剣術『水弧』!!」

 フブキは殴りかかった星街を刀で受け流す。

(星!!んなるほど!)

「そのデタラメな魔力量……外付けか!」

「正解!!」

 稀に戦闘に必要な魔力を自分ではなく外部から、補給することができる固有(ユニーク)スキルが存在する。『星』『海』『大地』といった抽象的なイメージをモチーフに持つことが多い。星街すいせいの固有(ユニーク)スキルはその一つ、『星』に由来するエネルギーを充填し自身の魔力として転用することができる能力。名を『星空を君に(ステラ・S・テラ)

「……今まで能力だと思っていたものは全部『星の特性』か!『引力』も『速度』も『光』も!」

(白上の『光の居合』には『星の光』を正面からぶつけて相殺したんだ!でも、『亜人種』がそんな能力!身体が保たない!)

「相当無理してるんじゃないですか!自滅するぞ!」

「その前に決着つけるわー!!!!!!」

 そう叫びながら星街がフブキに飛び蹴りを喰らわす。蹴り飛ばされたフブキはすぐに体勢を戻し構える。すると、後ろからフブキは攻撃を受ける。

「……!!?」

 フブキは膝をつく。

(何がっ……後ろから……っ……!)

 フブキは星街の手にアックスがあることに気づく。

(最初に持ってた武器……!?能力で引き戻したのか!追い込まれてたんだ、最初に会った大通りまで……自分の武器が能力範囲に戻るまで……!)

 フブキは星街の前で倒れる。

「…………」

(だいぶ消耗した……こんなに能力全開にしたのいつぶりだろ……)

 星街も反動でその場で膝をつく。

「……みこち……」

(早く合流して……)

星街は倒れているフブキの方を見ると違和感を覚える。

(……確実に気絶してる、脱落退場しない……?まさか)

 星街の背後には襲いかかる人影があった。

今回は特に補足無いです。

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