25話「熱戦に潜む影」
10月15日 8:00
都市エリア 戦闘区域前
「まつりちゃーん?」
「今行く!今行く!」
「いやぁ〜緊張すると同時に気分も上がりますな」
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10月13日(2日前)
外周結界
「まぁまずは君たちが運営の話を聞いて考えてほしい」
西がそう言うと女性が奥からヒールの音を立てて歩いてくる。
「えっと……」
フブキ達は見覚えのない顔に戸惑う。
「holoRoyal運営組織の一つ、holoXの鷹嶺ルイです」
それを聞いた途端2人は態度を豹変させる。
「この度は……去年もか、お世話になりまして……」
「いえいえ招待を快く受けてくださり……」
「いえいえ……」
ルイとフブキがお互いへいこらする。
「ってそうじゃなくて、お二人は依頼の話をしに来たんです」
「依頼……!」
依頼という単語にまつりが目を輝かせる。
「お二人とも大学生でしたよね。確か免許も……」
「あります」
「ありまーす!」
ルイが聞くとまつりが陽気に返事する。
「では、依頼の内容ですが……」
ルイが真剣な表情になる。
「大会会場内の調査をしていただきたい。これはholoRoyal運営からではなく、『holoX』から直接の依頼です」
「調査……?」
「何かあったんですか?」
ルイの言葉に2人はピンと来ていない様子だった。
「いや、むしろ毎年何か起こっているのさ」
すると西が補足を話し始める。
「この大会には多くの独自技術やたくさんの異能使いのデータ・痕跡が渦巻いている。身も蓋もない話だが宝の山というわけだ。それを狙って訪れる異能犯罪者は毎年少なくないが、運営側は防衛設備・スタッフ、そして何より『holoX』が誇る強力な異能使いによって被害を完全に0にしてきた。異能庁としては是非ともご協力いただけたら地域の犯罪抑制に繋がるのにと日夜嘆いているのだよ」
そう言い異能庁勤務の西がルイの方を見る。ルイは西から目を逸らす。
「そんな人たちがどうしてまつり達に?」
「お察しの通りトラブルが発生中なんですが今回は少々厄介なことになっていまして。今回のトラブル……いや、まだ未遂というか疑いの段階ですが。私たちが直接動けない案件、そして他企業のholoXでないスタッフを使うわけにもいかない、『白』だと断定できる人に秘密裏に頼むしかない状態なんです。…………言いたくないですが、運営組織のどれかにこの大会を使って何か企んでいる企業があります」
衝撃の発言にまつりとフブキは言葉が詰まる。
「そして狙いは間違いなくholoXです。なぜ今まで動かなかったのか、それともわざわざ大規模な第10回を狙う必要があったのか、現状は分かりません。こちらでも全力でサポートしますが戦闘になる可能性はあります」
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そして今に至る。
2人はholoXのマークがついたマントを羽織り意気揚々と戦闘区域に出る。
「でもさ、なんでこのタイミングで依頼くれたんだろ?この数日でなんかあった?」
「……あぁーあれだよ、参加者がガッカリ減ってるからそれじゃない?」
まつりの疑問にフブキが答えて携帯機を見せると『生存参加者47名』と表示されていた。
「これであまり参加者では会わなくて済むからね。白上たちは今参加者じゃなくてスタッフ(仮)ですけど、顔が割れちゃってるから参加者に会ったらびっくりされちゃうでしょ」
「そっかぁ」
「さっ、動くとしますか!受けたからには!」
「はぁーい!」
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「というわけで改めて………………桃鈴ねね!よろしくお願いします!!!」
フレア達に元気よくねねちが挨拶を交わす。
「そんなわけで一時的にポルカの友達が合流するわけだけど、獅白ぼたん一派を倒すまでの協力ってことで」
フレアがねねちの元気さに圧倒されつつも確認する。
「うん合ってる!その後のことはそれから考えます!」
「まぁ……そんなわけで、今目指すべき次の目標は獅白ぼたんの撃破……って言いたいんだけど」
ポルカが言いづらそうにフレア達に提案する。
「……気持ちは察するけどクレバーな話をすれば、強者同士が当たって共倒れ待つ方がよっぽど現実的なんだよね」
「だよねぇ〜……」
フレアの返しにポルカが予想通りのような反応をする。
「いや、そうもいかないかもね」
「すいちゃん?」
部屋のドアが開くとそこから星街とみこちが入ってくる。
「昨日で参加者が50人を切った、『大会終盤突入』だって。それに応じて色々とレート情報が出てる」
そう言いながら星街が携帯機の画面を見せる。
「これが大会序盤でレート上げるデメリットってやつね。こういうタイミングで戦力図や容姿、これまでの活躍が公開されてしまう……と。警戒して終盤まで身を潜めておく作戦を取る人もいるくらいだからね。ここで名前の上がった派閥は他の参加者にとっての脅威として結託して狙われる可能性が高くなる。……私たちもそうしてるようにね。そして当然ここで上がったチーム同士も大会優勝のためにそれぞれを最大の障害としてぶつかり合うことになる。で、そこに『私たちが数えられてる』」
星街の言葉に一同驚く。
元五輪高校の絶対的エース『王様』獅白ぼたんを中心とし、それに協力する者達
トップレートは獅白ぼたんの『S+』
『魔女』紫咲シオン
『鬼神』百鬼あやめ
名のある異能使い2人を編成し確固たる実力とチームワークを兼ね備えた
二宮高校異能部
トップレートは百鬼あやめの『S』
大会きっての異例
『天災』幻想種2人の同盟
絶対的優勝候補筆頭
北四高校異能部
特殊エリアの他参加者をたった2人で全滅させたことにより
レートは共に破格の『SS』
黄参加者と初参加者の超新星を加えた対応力の高い即席チーム
ダークホース『不知火牽制同盟』
トップレートは星街すいせいの『A+』
星街が見せた画面には名の上げた参加者が表示されていた。
「すげー!すいちゃん写真のってんじゃん」
それを見たフレアがあることに気づく。
「……そっか、あたし達も狙われる上に主要戦力が4つだ。トーナメントみたいに二箇所ずつ当たりかねない……ていうか漁夫しにくい!」
「そう……上手くできたとしても残りチームに気をつけながらやらなきゃだし、対策もされてるはず」
フレアと星街とポルカの3人以外の頭の上には?マークが浮かんでいた。
「なるほどね、だからあたしらもどこか狙いに行くつもりで対策した方が後手になるにくいか。それならまぁポルカのプランで反対なしかなぁ、どうせ戦わなきゃいけない相手だしね」
フレアの言葉にポルカが安心した表情を見せる。
「でもぼたんちゃんと戦うなら、先に聞いておきたいことがあるんよ」
ノエルの言葉にポルカが真剣に受け止める。
「そうだな、お願いする以上仲間には教えておかないとな。ポルカ達のことについて、獅白について」
2017年 五輪高校




