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22話「友達だから」


 ラミィの凍結攻撃とフレアの焼却攻撃が衝突する。衝突した瞬間強い爆発が起きる。

(三厨+最大出力の放出でやっと相殺!正直向こうの最大火力なんて考えたくないな!)

 フレアはラミィの底知れぬ実力に身ぶるいを起こす。硝煙越しにラミィがフレアを見つめていた。

(おまるんがいる以上無駄なことはしないはず、じゃあこれは目眩しすることが目的?目眩ししてどうするの?さっきと同じこともう一回するだけ?おまるんがそんな事……)

 すると煙の中からみこちの姿が現れる。予想外の奇襲にラミィが咄嗟に氷で防ぐ。

「いやするんかい!」

(ゴリ押し継続?おまるんらしくない!また囮役……この子は決定力があんまり無いと見た)

 動揺してるラミィにフレアも続く。

(炎のエルフも突っ込んできてる。速いなぁ……単純に3対1で押すつもり?らしくない…と言うかおまるんが出てきてない、やっぱり何か企んでる。でも遠距離からラミィと打ち合うとかする?あ〜もぉぉおお)

「めんどくさぁいっ!!!!」


 ――――『天花詞経(てんげののりと)雪花倶龍伽羅(せっかのくりから)』――――


 するとラミィを中心に巨大な氷の龍が現れる。龍はフレアに勢いよく攻撃し氷壁に叩きつける。

「…………ッッ!」

(おまるん……これでも出てこないつもり……?)

 ラミィが未だに姿を現さないポルカを探そうと辺りを見渡す。

 みこちがフレアの名を叫ぶも束の間、凍結攻撃をくらい身動きを封じられる。

「……これで2人倒しました。えっと……フレアさんとみこちさん。おまるんはこれ以上何を企んでるんですかぁ」

 身動きの取れないみこちが必死に手を伸ばす。

「……お……『おまるん』……は……」


 ――――『写仮面(ペルソナ)』――――


「……(ここ)だよ!!ラミィ!!!」

 ラミィの目の前には自身の姿になったポルカがいた。

「『天花詞経(てんげののりと)』!!!!!」

 ポルカが模倣能力を使いラミィを凍結させる。

「……なんのっ…つもり、おまるん!ラミィに凍結をぶつけても効かない!自分の氷で凍結しないように耐性が……」

「知ってんよ!!でも自分で生成した氷以外は操れない!凍結しなくても付着した氷の質量が邪魔で身動き取れない時間ができる!みこち!!!」

(ポルカはラミィに変身して凍結を解いて、その瞬間に『写仮面(ペルソナ)』を解除。自分(獣人種)(パワー)で氷を砕く!(パワー)不足のラミィ(自然種)にはそのスピード離脱ができない。ポルカよりも氷から抜け出すのに十数秒多くかかる、その数十秒が……欲しかった!)

 ポルカが呼んだ先にラミィが視線を送るとみこちが魔力を貯めて構えていた。

「『花月ノ夢』……」

(本物の『みこち』さん!遠距離攻撃持ってたのか。でもその距離からなら……動けなくても氷での防御が間に合う!)

 


 ――――――――――「いい?ラミィ相手に距離を詰めるってのはまぁ正解だ。ただそれは、遠距離なら強い近距離なら弱いって意味じゃない。遠距離なら『詰み(クソゲー)』、近距離なら『強い(死にゲー)』って感じなんだよ」

「げぇ……」

 作戦実行前、ポルカたちがラミィについて話していた。

「……ただ、ポルカの見立てが合ってればみこちの攻撃はラミィの天敵になると思う。ラミィの厄介なとこが……今分かったと思うけど氷の質量を使った攻防一体の能力だ。で、みこちが『神槍』で攻撃する時は『神布』のバリアを変形させて飛ばしてるんだよね?」

「うん」

「……みこちを模倣してみて思ったけど、『神槍』の破壊力は単純に高エネルギーだからってのが理由じゃない。バリアの『害を退ける』特性が攻撃に転じたことで『障害を押し除ける』特性に発展してるんだと思う」

「……つまり?」

「つまり、『神槍』は盾で防御しようと建物で防御しようと変わらない威力で標的まで到達する。質量頼りのラミィが防御に一番効くやつだ――――――――――



 ――――『神槍(かんざし)』――――


 みこちの神槍はラミィの氷を次々と削っていき、強い衝撃がラミィを襲う。

「……や……やった……?」

「………………………………」

 みこちは自身のバリアによる負担で手が痺れていた。みこちはその場で立ち尽くしていた。

「みこち!」

 ポルカの呼びかけにみこちがハッとする。

「早くすいちゃんの所へ!ポルカはフレア見てくる!普通なら凍るけど、多分フレアなら耐えられたはず!」

「…………うん……!」

 みこちが走り出した瞬間足元が凍りつく。その出来事に2人がゾッとする。

(嘘……だろ……!?確実に無理なタイミングだった。ガードを除けば、ラミィの(パワー)じゃみこちの攻撃は絶対に受けきれない!まさか…………)



 それは



(でもみこちの攻撃を氷壁以外で無効化したなら……あれで間違いない……!)



 未完成だったろ!!!



「『第二層』―『天花露点(てんげのろてん)黄泉墜詞経(よみじののりと)』」

 ラミィの姿は体中凍りついていて瞳には歪のばつ印が浮き出ていた。

(でもそうだとしたら……!)

「逃げろみこち!!!『神布』でも無理だ!突破される!!!」

 ポルカが忠告する束の間みこちが既に出していたバリアが凍りついていく。

「なっ……!」

 凍りついたバリアにヒビが入る。

「おまるんもね」

 氷の結晶がポルカを襲う。

(しまっ…………)

 その瞬間どこからかボーナスアイテムによる砲撃がポルカを守る。

「……ねぇおまるんアレからたくさん自分で考えてみたよ。おまるんについても、ラミちゃんについてもどっちもアリだなって思った。でもやっぱりおまるんの言ってることが実現できたらそれが一番楽しいと思う」

 ポルカの前に人影が現れる。

「というわけで!助けに来たぜ!!おまるん!!!!」

「ねね……!!」


――――――――――――――――



「ハァ……!ハァ……!」


 今まで


 白上フブキ(あの時)



 百鬼あやめ(あの時)


 

 少なくともブレイクチェーンを使ってる間は完全に優勢だった。


 その間はあくたんにもトワにも負けないと思ってた。



 なのに…………!


 獅白ぼたんとの戦いは、一言でいうと『劣勢』だった。

 星街はぼたんの圧倒的な身体能力に手も足も出ない状態だった。

(ブレイクチェーンで全く歯が立たないなんて……)

 ぼたんが着地した瞬間地面が崩れる。

(足止め……それも簡易的な……さーて、何企んだぁ?)

 ぼたんが星街の仕掛けた罠にわざと引っ掛かりニヤつく。

(速さ自体は圧倒的に私が上!躱す逃げるは簡単にできるはず……なのに!)

 無数の瓦礫がぼたんに向かって飛び散り目眩しになる。

 ぼたんは軽快に避けていくとその隙に星街が殴りかかるも簡単に避けられる。

「ここだ」

「なんっ……!!」

 動きが完全に把握されているかのように読まれ星街が蹴り飛ばされる。

「目がいいもんで」

 ぼたんが追撃に殴りかかる。するとヒビが入った音がする。

「……まっ、そう来ますよね」


「え?マッスル?」

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