21話「雪景色に咲く一輪の花」
(地面……?何が……)
星街の視界に見えるのは地面だった。
「超速いね、びっくりしましたよ。狙いも結構正確だった。でもだからかなぁー」
ぼたんが話してる最中星街は1人ずっと動揺していた。
「ちゃんと見えたらすごい合わせやすかったですよ」
「……見え……?」
ぼたんはブレイクチェーンの速さを『野生』で見ていた。
星街が起き上がり再び攻撃を試みる。
「さーて……その速さ、何秒保つ?」
――――――――――――――――
「ししろん、そっちに行っちゃったかも」
「獅白が…………!!」
それを聞いたポルカがすぐに星街の方へと向かおうとする。
(確かに獅白はすいちゃん達に倒してもらうつもりだった。けどまだ速すぎる、ましてや一対一で……!!!)
その瞬間ラミィの凍結攻撃が襲いかかる。
「戦わなくてもよかったけど……でも、ししろんの邪魔はだめだめでしょうが」
「ラミィ!!!」
攻撃がポルカの目の前まで迫る。
「みこち右を!!!」――――『不知火』――――
「うん!!」――――『花月ノ夢』――――
――――『刀厨』×『神布』――――
みこちとフレアがポルカを守る。前に出た2人を見てポルカが冷静を取り戻す。
「確認するけどポルカ!!ポルカの言ってた獅白ぼたんがすいちゃんの方に行ってて、すいちゃん1人じゃ危ないからあたしたちはすぐに合流した方がいいんだよね!!!」
「そ、そういうこと…………今ここですいちゃん脱落はきついだろ」
「でも!すいちゃんだって強いし!相手が誰でもすぐにはやられないし勝つことの方が……」
「いや。」
ポルカがフレアを遮るように否定する。
「……ごめん、無理だ。確かにすいちゃんは強いし今まで負けることの方が少なかったと思う。けど」
「……ラミィたちの学校も強豪だったので色々強い人を見ました。天才、本場の留学生、幻想種、それでも…………」
――――最強はししろんです――――
「獅白に勝てるとしたら獅白くらいなもんだよ」
ラミィとポルカの意見は一致していた。
「……なるほど、話はよーくわかったよ。そもそも獅白ぼたんはポルカがあたし達と組んだ理由そのものだし、そこまで言うならすいちゃんでもほぼ無理なんだろうね。でも助けに行こうにも目の前の相手だって化け物だ。まーたポルカは捨て身であたしとみこちを行かせようとか考えてたんでしょ。確かにこの……ラミィさん、は目算であたしの倍くらいの出力あるしあたしだけだったら普通に負けてたし全員まとめて足止めされる可能性もある。……けどこっちにはポルカがいる。相手のことをよく知ってて対応力があってあたしたちのこともよく知ってる。確かに1人ずつなら勝てないかもだけど全員でならこっちだって負けてない」
フレアの言葉にポルカが覚悟を決める。
「……はぁ〜荷が重いわぁ〜…………でもまぁそうだな、獅白もラミィもねねも倒すためにこの大会に来たんだもんなぁ」
ポルカが高校生活をふと思い出す。
「…………ラミィの能力と作戦を伝える!行くぞっ!」
『応!!!』
ポルカ達は気合を入れ声を大きくする。
「『氷の能力』と言ってもメカリズムがある。……ラミィは水特性の魔力と物質を凍結させる能力を持ってる。つまり主な技は『凍らせた水を放出する質量攻撃』と『触れたものを凍らせる拘束攻撃』の2種類、そしてそれらの出力が異常に高い」
「つまり、出力は異常だけど基本接近戦で詰めるべきってことだね」
「そうではあるんだけど…………!やっべ、来るぞ!」
――――『天花詞経:花下氷雪』――――
鋭い氷の塊が幾つも生成され雨の如く降り注ぐ。フレア達が攻撃を避けていくと振った氷が地面に当たった瞬間たちまち拡大していく。
(遠距離が得意、近距離が苦手。オーソドックスな自然種タイプは接近を狙うべし………とは言うけどこれは……規模が違いすぎる……!!)
フレアが見上げると歪な氷の柱が幾つも出来ていた。
「こんなん遠距離攻撃じゃなくてマップ兵器じゃにぇ〜かよぉ!!!!」
みこちがあまりの規模に驚愕する。
「『花下氷雪』は凝縮した凍結反応を氷膜で包んだ攻撃だ!つまり触れてから炸裂して凍る攻撃!一個でも当たったらアウトだからな!」
「オーケーそれじゃあ!!」
――――出力最大――――
「当たる前に全部落とせばいいんだ!!」
――――『不知火・灼厨』――――
フレアが炎を鞭のように扱い氷を溶かしていく。溶けた氷が飛び散る広範囲に拡散していく。
(出力を上げて引き絞った『灼厨』……威力は勝った…けど引き絞った分範囲が、氷膜を溶かして誘爆させる感じになっちゃった。けど攻撃は防いだから……)
「ポルカ!みこち!」
みこちがお祓い棒にバリアをつけて振りかざす。するとラミィが凍結技を使用しみこちの動きを封じる。
――――『写仮面・桃鈴ねね』――――
ポルカが桃鈴ねねの姿になりカマキリの腕で斬りかかる。しかしその刃はラミィには届かず腕を凍らされポルカは動きを封じられる。
みこちが加勢しようとするも足が凍らされ動けずにいた。
「足が……!動……っ」
するとみこちの目の前にはラミィの手が迫っていた。みこちの頭には『触れられたら終わり』という言葉がよぎる。
その瞬間フレアが勢いよくラミィに蹴りかかる。ラミィは咄嗟に氷を挟み衝撃を和らげようとするも勢いのまま飛ばされ自身の作った氷の柱に衝突する。フレアは『不知火・三厨』を使用し、炎を纏っていた。
「さすがフレア、自然種がいきなり飛びかかってきたラミィでもびっくりするだろう……」
ポルカとみこちはフレアの熱により拘束が解ける。
「……んあぁ〜……いったいわぁ!ばかぁ!自然種が飛び蹴りとか何考えてるんですかぁ!?」
「……圧倒的な質量を使ったガードがここまで堅いとはね、次は三人がかりで行きますか」
「……いや、あぁいや確かに三人がかりはそうなんだけどちょっと試してみたいことがある……かも」
ポルカがある作戦を提案し出す。
「と言うわけで、みこち準備を」
「にぇ!?」




