エピソード:α「最強の所以」
麗華大学の体育館で歓声が響いていた。
「……お?何?盛り上がってんね第3体育館」
「あぁ、なんでも女子異能部の一軍選抜みたいですよ」
「あー、うち異能部強いもんな」
「まぁそれもあるんですけど」
「ん?」
「今年は……新入生がやばいらしいっすよ」
三年のレギュラーと戦っていたのは『独立思考型突然変異異能戦闘補助傀儡:name,ロボ子さん』だった。
三年は巨大なスピーカーのようなものを顕現させる。するとロボ子は掌から熱線を出し周囲を焼き尽くしスピーカーを破壊する。
一方その時他の三年と戦っていたのは『AZKi(異能塔特例封印機構登録名)』だった。
三年はアイススケートのようなものを用いてあずきに高速で近づく。三年が蹴り上げると強い衝撃と共に氷があずきに向かって放たれる。
当たるその瞬間あずきの前にはなにもなかった。
「………………………………え?」
困惑しているも束の間、三年をあずきが蹴り飛ばす。
女子異能部の部長と戦っていたのは『ときのそら』だった。
部長は上から幾つもの剣を顕現させる。剣はそらに向かって降り注ぐ。
「あ。ごめんなさい、これ以上体育館壊したら怒られちゃいますよね。剣も返しますね」
部長の前にはそらがおり剣をたくさん抱えていた。
「え、あ。」
部長は訳がわからないうちにデコピンをされ倒れる。
「な、すげぇ……意味わかんないけど……せ、先輩は高校異能部県大会行ってましたよね!今の何……」
「いや俺でもわかんねぇよ!?ただ……今の相手の人たちだって全国常連レベルの化け物だ。確かに去年の零英高校部長と言えば単独なら高校最強って呼び声もあった奴だ……が!高校は高校!プロや大学なら話は別ってのが普通!それがあっさり……あんなのプロレベルどころじゃない…………てか日本レベルですらねぇよ!!」
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「とりあえず皆レギュラーもらえそうだね!」
「よかったー」
(あれだけして貰えないことあると思ってるのかな……)
そらとロボ子の会話にあずきが若干引いていた。
「2人とも今日この後講義は?」
「ないよー?」
「あずきも。」
「じゃあ観よう!holoRoyalの中継!」
「お!」
「2人とも推薦蹴ってるから興味ないのかと思ってた」
「いやぁ参加はいいけど……みこちゃんとすいちゃんの事は気になるでしょ?」
「確かに!」
「元気かなぁ」
AZKi(登録名)
・19(7/1生)・size:158cm
・Type:亜人種(登録)
元零英高校合唱部
特記事項
「異能塔特例封印機構登録者」
異能の本拠地である欧州にてその能力と身分を登録、保護されている。
極めて希少で特異的な世界へ干渉する固有スキルを所持しており、その身の安全確保のための措置である。
ロボ子さん(個体名)
・(5/23生)・size:154cm
・Type:−
元零英高校異能部マネージャー
特記事項
日本異能協会研究機構にて製作された傀儡。
多彩な兵装と継戦能力、そしてある程度の判断能力と成長性を組み込むことを目的に作成されたが結果的に完璧な『人格』が形成される。
多くの議論を重ねた結果、当個体は協会管理の下人権が与えられることとなった。
ときのそら
・19(5/15生)・size:160cm
・Type:不明
元零英高校異能部部長
特記事項
なし。
麗華大学異能部監督評
三人の異常な新入生の中では、最も平凡な経歴です。
が、戦略的評価は三人の中でもトップと言わざるを得ません。
こんな人は見たことがない。正直一番扱いに困りますよ。