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15話「目障りな雨」


 人真似は上手い方だった。

 かわいいあの子の真似。かっこいいあいつの真似。

 なりたい自分の真似。

 それだけ。

 権力も人間もずっと良いものを写して被っていればそれでいい。

 でもやっぱ『本物』はすごい。

 ねねなら麻痺毒でもっと拘束ができた――――あぁ……やめやめ。

 

 ラミィなら初激成功の時点で決着ついてた――――いいって!考えんな!


 ししろんならそもそも何人来ようが負けるわけない――――うるせーなぁもう!いいってば!!!!



 ポルカ(わたし)だけの武器がない。ただの人真似じゃ強い奴(みんな)には勝てない。


 ――――「いやいや、手札がめっちゃあるのって超強くない?」――――



 暗闇の中、ポルカはぼたんの言葉を思い出す。その言葉は希望とともにポルカの心を燃やす。

 

 ポルカは獅白ぼたんに姿を変える。

(まだ体が思うように動かない……!)

 シオンが殴りかかるポルカに対しバリアを展開する。しかし、ポルカは勢いのままバリアを叩き割る。

(大気を編み合わせた盾を易々と……!!さっきと同じ!この人の能力は模倣(コピー)!他人の姿と能力をストックしてる。能力……もしくは戦闘そのものを切り替えたんだ。でもその姿じゃ飛行は……)

 シオンが瞬きする間にポルカは桃鈴ねねの姿に変身しており目にも止まらぬ速さでシオンの背後を取る。

(一瞬で……!)

 ポルカが再び獅白ぼたんの姿になり、シオンの蹴りを食らわす。

「………………ッ!!!!!」

(重………ッッっっ!!!もろに食らったら1発で堕ちる!!)

「…………防いだな?」

 ポルカの重い一撃を受けたシオンが建物に叩きつけられる。ポルカは桃鈴ねねの姿に変わり追い討ちを試みる。

写仮面(ペルソナ)梯演(ヴィロクス)』、尾丸ポルカが単騎での戦闘を余儀なくされた際に用いる手段。

 予めタイミングと順番をプログラムしておく事により、時間差(ロスタイム)0で連続して変身を行う事ができる。

 1に特化するのをやめた事により結果として唯一無二の戦闘スタイルとなった。戦闘リズムの乱高下はまさに『変幻自在』。


(自然種に耐えられる威力じゃない、多分ダメージ肩代わりのボーナスアイテムだろ……次は仕留める!!)

 ぼたんの姿になり建物に着地すると即座にラミィの姿になりシオンを氷漬けにする。すると、別の方向から砲撃を受けポルカが魔力を全開にする。ポルカが最低限に抑えるもダメージを受ける。

「咄嗟に魔力で押し合ってそれだけで済むなんて、模倣(コピー)なのにすごい威力じゃん」

「…………氷漬けにした筈ですけど。どーゆぅ事ですかぁ?」

「『マーリン13番』、適当な無機物を自分に見せる幻覚魔法だよ」

 ポルカが氷漬けにしたものはシオンに見えた瓦礫だった。

「……仕切り直しですね」

「…………いや、ごめん逃げるわ」

「………………………………………ほあ?」


――――――――――――――――――――


「………………っ」

「ラプラス?」

「……………………」


 運営報告

 10月13日 10:00

 荒野エリアにて侵入者を確認

 警護スタッフが全滅したため

『holoX』構成員が対処にあたる。


 大剣使いの侵入者と刀を交えていたのは大会運営組織『holoX』構成員の『風真いろは』だった。

「まさかニホンに来て最初の障害になるのがニンジャとはね。そういうのは古いニホンイメージなんじゃないの?」

「ノーニンジャ!侍でござる!英語わかんないけどニンジャって聞こえたぞ!」

「英語じゃないわ、イタリア語」

「日本語喋れ……」

 すると、いろはの背後から別の大砲使いの侵入者が高火力の砲撃を放つ。いろはは間一髪のところで避ける。

「イタリア……って言ったでござるか?流石は欧州出身、悪党のレベルもずいぶん高いでござるな」

「おや、ニンジャに褒められると悪い気はしないわね」

 侵入者はいろは相手に余裕の表情を見せる。

(このままだと時間がかかりそう……ルイ姉に連絡して沙花叉を寄越してもらうか、アレの使用許可を……いやいやそれだとあの総帥になんて言われるか。少し時間をかけても2人を揺さぶって……)

「お、なんだまだやってるのか」

「ほぁぁぁぁぁぁあああああああ!!!!!!??????」

 後ろから突然現れたラプラスにいろはが酷く動揺する。

「ちょっバカ!何もないところから出てくんのやめろ!」

「いてっ、しょうがないだろ、急ぎだったんだから」

 2人が話していると侵入者の1人がラプラスに向けて高圧縮の砲撃を射つ。しかしその攻撃はラプラスに当たることは無かった。

(すり抜けた……?)

「ま、いいや。いろはは先に戻ってろ、吾輩がやる」

「な、それは……」

「戻ってろ」

「…………了解でござる……」

 いろはは少し不安そうにするもラプラスの命に従う。

「……さて」

 ラプラスと侵入者2人組が対峙する。

「子供風情が…………とは思わない事ね。『ラプラス・ダークネス』、アレでも大会の主催よ。……とは言っても転移であっさり突破できた結界のことを考えれば……」

 大剣使いがラプラスに斬りかかる。

(十分勝てるレベル!!)

 しかしその刃はラプラスにかすりもしなかった。

「え……」

(すり抜けた……?)

「すり抜けたんじゃない、お前の前に在った空間は吾輩の背後に在った空間になったんだ。理解できないだろ。宇宙っていうのは理解できないものだ」

 ラプラスを中心に宇宙が広がりだす。

「それと、結界を()()()突破させた理由だったな」

 宇宙が2人を飲み込みだす。

 

「外を壊すと怒られちゃうんだよ」


(なんだこれは……何もわからない。何も感じない……私は幻想種だぞ!?わからない事があってたまるか!!!いや違う、これはもっと……)




「ルイ〜戻ったぁ」

「おかえり……うわ何それ?」

「賊。」

 ラプラスが侵入者2人を連れてholoXの元へと帰ってくる。

「結局なんでわざわざ総帥が出てきたんでござるか……?」

「大会の最中だ、こういうのは1秒でも早く処理する必要がある」

「あれ?丁度空いたぼくが行こうとしたのに『座るの疲れた体動かしたい』って出ていかなかったぁ?」

「…………」

「ラプ殿?」

「結果オーライだろ!いいじゃん!!」


――――――――――――――――――――


「…………まぁダメか」

「せっかく海外に出向いたってのにぃ残念だったなぁ大将」

「仕方ないさ。欧州とはいえ、()()()幻想種じゃ相手にならん。……時間だ、そろそろ迎えに行こうか」

「おぅよ!」

 大会運営組織及び『holoX』

大会運営は日本異能協会の許可を受けて『holoX』を代表とする複数の研究組織によって運営されている。結界やアイテムなどの技術面を運営する研究チームと周辺地域の治安維持に携わる敬語チームが存在し、

それらを『holoX』が取り仕切ることとなっている。


『holoX』公開情報


ラプラス・ダクネス

holoX『総帥』

類種:不明

役職:代表取締役


高嶺ルイ

holoX『最高幹部』

類種:獣人種

役割:運営組織人員総管理


博衣こより

holoX『幹部』

元日本異能協会研究機構結界科

類種:獣人種

役割:結界内警護部隊長


沙花叉クロヱ

holoX『幹部』

類種:獣人種

役割:結界外警護部隊長

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