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14話「華麗なき魔女の正体」


 魔女と呼ばれる存在がいた。

 ヨーロッパで発生した自然種の流派で『魔法』と呼ばせる独自の魔力技術体系を築いた。が、現在魔女の系譜はほとんどが絶えてしまっている。『魔法』はロンドンの異能大学にて受け継がれているのだが、その技術は難解で魔法科の教授であっても全容の内10%程度の習得が限度とされている。『紫咲シオン』、『魔法』技術全容の32%を17歳までに習得した『現代の魔女』。


 都市エリア上空にて、シオンとポルカが交戦していた。シオンが魔力放出の弾で攻撃を繰り返してる一方ポルカは『桃鈴ねね』の能力と見た目の模倣で対応していた。ポルカは背中から虫の羽のようなものを生やすことでシオンとの空中戦を可能にしていた。シオンが魔力放出の全方位攻撃を仕掛けると、ポルカが『複眼』を使用し絶え間なく触れ注ぐ魔力を避けていく。

(全部避けた!?なんて目と機動力!)

 シオンが動揺してるとポルカが右手を『カマキリの鎌』に変え背後から攻撃を仕掛ける。しかし、その攻撃をバリアが阻む。防がれてできた隙をシオンは見逃さず魔力を放出する。ポルカは至近距離からの受け建物の屋上に着地する。

「『スグルド18番』」

 シオンが柱のようなものを生成してポルカを拘束する。

(防御に拘束!!どうやってるのか何にもわからんけど、マジでなんでもできるな!)

 ポルカがシオンの能力の柔軟さに驚きと焦りを感じる。

「じゃ、お疲れさん。『シモン19番』!!!」

 シオンが先程までとは比にならないほどの光線弾を放つ。その攻撃は確かにポルカに直撃していた。ポルカは咄嗟に能力でガードしていたが、高火力な故防ぎきれずボロボロになる。

(これに耐えるか、鎧・盾……いや甲冑ってとこかな?甲・鎌・羽、まぁ多分虫の体の一部を再現する能力なんでしょ。今の問題はそこじゃない。状況判断でしかないけど、この人は最初全く別の姿で氷の範囲攻撃をしてきた。つまり能力を切り替えられる能力ってこと?)

 ポルカはふらつきながらも立ち上がり体勢を立て直す。

(……虫の能力(桃鈴ねね)は魔力操作と身体強化の併用だ。氷の能力(雪花ラミィ)ほどじゃないにしろ魔力の持続補填はきついなぁ。それより今の戦闘……今出した『クロカタゾウウムシの装甲』は物理に特化したそうび()だ。自分で出しといてなんだけど今の攻撃が魔力の塊だったんならもう少しダメージを喰らったはず。防御や拘束といい単純に魔力操作がうまいだけじゃない、紫咲シオンの能力には既存の物質を利用する仕組みがあるな……?やっぱりこのレベルの自然種に『近距離が苦手(セオリー通り)』は通じない!そんなこと百も承知!)

 ポルカがシオンに向かって走り出す。すると、シオンが自分の体に違和感を覚える。

(体が痺れ……!?虫の麻痺毒か……!!)

 シオンの痺れはポルカが先までの戦闘で加えていた攻撃に含まれていた毒だった。

 

 ――――――『写仮面(ペルソナ)梯演(ヴィロクス)』――――――



――――――――――――――――――――――――


2021年 夏

 

「あくあ様、あなたに全日本U17アンダーセブンティーン強化合宿の招集が来ています!」

 『湊あくあ』にそう伝えたのは二宮高校異能部顧問の『癒月ちょこ』だった。

全日本U17アンダーセブンティーンは言わば未来の日本代表育成の場、全国から有望な1・2年生を招集して行う合宿です。時期は12月場所は東京、参加は任意になるので各自の都合を考えて決めてください。……ってコトなんだけどどうする?」

 あくあは思いもよらぬ招待に唖然とする。

「すげぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!」

 立ち尽くしてるあくあの元に駆けつけるのは『大空スバル』と『百鬼あやめ』だった。

「すげぇあくあ!!!日本代表じゃん!!!!!」

「オリンピックだ!」

「え」

「オリンピックではないだろ!」

「でもスゴイ余!サインください!」

「ちょ」

 部室はあくあの事で賑わっていた。

「あの……!シオンは!?」

 その最中顧問に問い合わせるのは『紫咲シオン』だった。

「…………声がかかってるのはあくあ様だけかな」

 シオンがショックを受けるとあくあがドヤ顔を見せつける。

「でも確かに紫咲は声かかってもおかしくないよね。ちょこせん的にはどうすか」

 話を聞いていた部長がちょこせんに尋ねる。

「あーシオン様は留学経験があるからその関係で色々ややこしくてU17には呼べないんだって」

「なるほどー」

「じゃあ!あくあちゃんがシオンよりすごいって意味では!ない!」

「ま、まぁ……」

 そう聞くとシオンがあくあを煽るように余裕と言わんばかりの表情を見せる。

「まぁそういうわけだから、1週間後に聞かせ…………」

「行く!!!せっかくシオンちゃんが経験できない事なんでしょ?ならこれで次こそ追い抜きます!」

 あくあの意気込みを横目にシオンが対抗心を燃やす。

「しかし合宿かぁ……あくあ大丈夫なん?」

「何が?」

「……あぁ、確かに強化合宿ってことは当然人との関わりは避けられないね。初対面の人とチーム組んで練習したり食事睡眠一緒だったりするでしょ」

「おー!」

「あのあくたんが!成長したなぁ……」

 周りが感心してる中あくあは1人固まっていた。

「あ、あのぉ……あてぃしやっぱり……」

「いやぁしかしすごいなぁ全日本!!!」

「ね!やるなぁ湊ちゃん!」

「揉まれてこいあくたん!」

「スゥー……」


2021年 12月1日


(……ま、こうなるよね)

 あくあは初日のランチタイム早速1人になっていた。

(どうしよう……1日目の午後でいきなりチーム組むとか……。ていうかなんでもう一緒にご飯食べる人ができてるの)

「お、いたいた。あの子じゃない?」

 孤独なあくあに2人の少女が歩み寄る。

「湊あくあちゃん?チーム組む星街すいせい!よろしく!」

「常闇トワ様でーす。よろしく……お?どしたの」

 2人を見たあくあは青ざめていた。


記録:2021年12月1日


(陽キャだ……終わった………)


・湊あくあ

・星街すいせい

・常闇トワ

全日本U17強化合宿にて 遭遇

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