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13話「透き通る鬼の一閃」


 フレア達があくあ達と交戦しているとき星街とみこちは百鬼あやめと対峙していた。

 あやめが斬撃を放つのを伺うと星街は咄嗟に姿勢を低くし避ける。すると、後ろのビルが真っ二つになる。

(これがみこちのガードを斬った斬撃……!)

 あやめが追撃を試みるも星街が腕を動かすと斬撃の軌道がズレる。

(思った通り、近接自体にパワーが全然ない……そこは自然種!これは剣撃じゃなく……魔力の放出だ。魔力の放出は自然種の基礎技術、ただそれを刃の形に放出してるだけで何も特別なことはしてない。シオンちゃん(あの魔女っ子)のビームが薄くなって切れるようになったと思えばいい。ただ…………なんの能力か知らないけど、それでみこちのガードを貫通してくる!)

 星街が冷や汗を垂らす。星街はあやめの剣術相手に防御一方であった。しかしチャンスは意外にもすぐに来た。あやめが生んだ隙を星街は見逃さなかった。斬りかかるあやめの腕を掴み押さえつける。

「みこち!!!」

 みこちは呼ばれると既にセットしておいたバリアの槍を顕現させる。

「避けてね!!!!!」


 ――――『花月ノ夢』――――


「『神槍』!!!!!」

 みこちが高圧力の魔力槍を放つと、衝撃で地面が削れる。しかしそこにはあやめはおらず持っていた刀だけが残っていた。

(抜けられた!!刀を囮に……!)

 あやめは星街の背後に回ると、指を添えて縦に振る。すると星街に斬撃が襲う。

「無刀かい!」

(いや、やってるのは魔力の放出……そりゃ刀なしでもできるか!)

「まだまだ」

 あやめがそう言うと指に魔力を込める。指を素早く振ると、多数の斬撃が繰り出される。

「すいちゃん!!!」

 焦ったみこちは咄嗟にバリアを展開し、星街の前に出る。

「ちょ、みこち!ガードは……!」

「…………ちぇ」

 みこちがガードを出すと、妙に落胆した表情を見せる。斬撃がバリアに直撃すると、衝撃で砂ほこりが舞う。

「けほっ……!ついやっちゃった……」

「……いや……………………ちょっとわかってきたかも……」

「うぇ?」

「とりあえずみこち、今の攻撃は防げてたよ」

「えっ!?ダメ出し!?」

「そうじゃなくて。バリアがちゃんと斬撃を止めてた。それを支えるみこちが勢いで吹っ飛ばされちゃったからバリアが解けただけ」

「え……!?確かに……そうかも。でも!さっき戦った時は本当に切られたんだよ!バリアがこうスパッと!」

 みこちが身振り手振りで説明する。

「……そうだよね……じゃあやっぱり…………『斬撃は2種類ある』……で――――――



 

 砂埃から星街が出てくるとあやめはすかさず魔力の斬撃を放つ。星街は星の力を利用し、目にも止まらぬ速さで避けていく。

(速いなぁ……こっちじゃ当たらないか)

 するとあやめは星街の足元を切り込み傾ける。体勢を崩した星街にあやめが斬撃を放つ。しかしその斬撃は届くことはなかった。星街の目の前にはみこちのバリアが張られていた。

「すいちゃん!」

 みこちがバリアを解くと合図を送る。すると星街はあやめとの距離を一瞬にしてつめる。蹴り飛ばされたあやめは囮に使った刀を回収すると、それで斬撃を放つ。

「みこち!」

「うん!!!」

 斬撃はバリアに向かって勢いよく放たれる。



 

 ――――――――――『斬撃は2種類ある』……で、一つが今使った『相手を攻撃するための普通の斬撃』もう一つがみこちのバリアを斬った『人間以外のものをなんでも斬れる斬撃』」

「どーゆーこと?なんで人間以外のものを?」

「さぁ?……まー、なんでも斬れる能力なんて無理ってことなんじゃない?ポルカの言ってた『条件』だよ。『相手本人にダメージを与えられない代わりに邪魔する物はなんでも斬れる』……そんな感じじゃない?」

「なんでわかったの……?」

 みこちのポカンとした反応に星街が少し呆れながら応える。

「だってみこち……真正面からバリアを斬られたなら、なんでみこちは無傷なのさ?」

「……!」

「建物ごと吹っ飛ばされた時も斬られてなかったでしょ。それと、この斬撃は刀を持ってる時にしか使えないと思う。じゃないとさっきの連射で2種類混ぜない理由がない。つまり人を斬る『斬撃A』と物を斬る『斬撃B』があって、斬撃Aは連射できるけどみこちで防げる。斬撃Bは刀がないと使えなくてみこちで防げない」

「みこ『で』って言うんじゃねぇ」

 みこちは星街の説明の仕方の少し不服そうだった。

「……じゃあどーする?」

「わざと刀を取り戻させてみこちのバリアを貼りながら攻めて斬撃Bを使わせる。そこに合わせて攻め込む!」


 ――――――――――――――――――


 バリアを斬った斬撃は星街達をすり抜けていく。

「…………!!!!」

(気づいた!?いつの間に!)

 星街は勢いのままあやめに回し蹴りを喰らわす。あやめは壁に叩きつけられ頭から血を垂らすも体勢を整える。

「あー……もしかしてバレた?」

「……みこちは騙せても私は騙せないって訳よ」

「……おぉい!」

「別に……騙そうって訳じゃない余っ!!!」

 あやめが立ち直すとみこちと星街が挟むように態勢をとる。

(相手は自然種、苦手な至近距離に持ち込んだ……のに!)

(……捌き慣れてるなぁ、さっきの攻撃を自然種なら余裕で落ちたのにクリーンヒットさせれない!)

 あやめが刀での大振りで斬撃を放つ。

「みこち!」

 みこちがバリアを貼るも一瞬にして斬られる。

「…………!!!」

(斬撃Bの方!?能力を使った気配がないのに。……まさか、見分けがつかない!?)


 ――――百鬼あやめの能力について、およそ星街すいせいの推測は正しい。本人が持っている能力は刃上の魔力放出であり、刀を振るった時にのみ2種類の斬撃を使い分けることができる。ただしその特殊な斬撃は本人の能力ではなく、彼女の所持・使用する刀が保有している能力である。そのため彼女本人の出力のブレから斬撃を判別できない。祭具『羅刹(らせつ)』保有する能力は『人間を除く物質』の絶対切断。『祭具』とは祭礼や説話にまつわる特別な武具を差す。祭具そのものに能力が宿っており使い手の技術と併用して用いることが可能。ただし、祭具は夏色まつりの『祭礼召法』で構築されたものを除いて “持ち主を選ぶ“。百鬼あやめは能力開発の才に恵まれなかったがそれと引き換えに二振の『祭具』に選ばれた。現在二本目の祭具は()()()()使用できないが、実質的に三つの能力を有する神がかりである。



「………………みこち、離れてて」

(……このままじゃ競り負ける、一か八か……)


 ――――『星空を君に(ステラ・S・テラ)』ブレイクチェーン


(残り体力で勝負をかける!!!!)


 星街が大量の魔力が放出される。それを目の当たりにしたあやめは警戒せざるを得なかった。

(これじゃ……まるで幻想種……!)

 星街があやめの回りを駆け巡り徐々に距離をつめる。星街の姿は目で追えるものではなかった。

(速!さっきよりさらに!)

 その速さはあやめが一切許さなかった死角からの不意打ちを可能にした。

「ぐっ…………!!!」

 あやめが体を向ける頃には星街は背後に回っていた。星街があやめを殴り飛ばす。その拳は先刻より遥かに重く速いものだった。

「かはっ……!」

 星街が追撃をしようとした瞬間、突如星街はその場で膝をつく。

「すいちゃん!?」

 星街は身体中にこれまで以上の比にならないほどの痛みとひどい息切れに襲われる。

「ッッ…………!!!」

(……体が……!動かな……っ)

「魔力切れ……?」

 あやめも星街のいきなりの状態変化に動揺していた。みこちは星街の元へ走り出す。その表情は焦りと困惑の感情が混ざり合っていた。

(魔力外付け能力のすいちゃんに魔力切れは無い!これは……『体の限界』……!)


 ――――――――――――――――――


 数分前

 都市エリア戦闘区域

 百鬼あやめが倒壊させた建物上空


 シオンは大量の魔力弾で向かい打つも、変身したポルカは背中に虫の羽のようなものを生やし軽やかに避けていく。シオンはポルカの模倣した能力に困惑していた。

(……何だこの人の能力!意味わかんない!!!)

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