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12話「進み続けた先に見える景色」


「……2チームとも合流しちゃったかぁ」

 場所は都市エリアビル内、ボーナスアイテム(効果:指定した同名参加者の状況を監視できる)であやめ達の状況を見ていたのは大神ミオだった。

「これは混戦確定……うーん……今は一人も脱落して欲しくないなぁ……急がなきゃ」

 ミオはビルを後にし、あやめ達の元へと急ぐ。


――――――――――――


 みこちが星街たちと合流する数分前、彼女らは『百鬼あやめ』『大空スバル』と対峙していた。ノエルはスバルを驚いた顔で見つめていた。

「……そ、そぉぉ〜来たかぁぁぁ〜……!!!」

 ノエルは頭を抱え空を見上げる。みこちはノエルの様子に唖然とする。

「……ノ、ノエたん……?」

「……いや、そりゃあ〜居るかぁ……

 ちょっと居るとは思ってたけど

 スバル先輩、えぇ?今この場は

 だんちょが頑張らなくちゃいけない

 のにこれちょっと…

 え、向こう側いっていいですか……?」

 ノエルはこれまでにない程の早口で話しだす。

「ノエたん?え?何?どうした?」

 みこちは混乱して頭の中が?でいっぱいになる。

「え?あ、あぁ……ごめん……ちょっとアガとった」

 みこちの声にノエルが落ち着きを取り戻す。

「……スバル、なんかそっち見てる余。知り合い?」

 あやめが引き気味にノエルの方を指差す。

「あーまぁーそうなんだけど……なんか最近調子がおかしかったんだよなぁ……」

 スバルは少し気まずそうな表情でノエルを見る。

「仕掛けていいの?」

「わぁー待て待て!いやいいんだけどちょっと待って!調子がおかしいとは言っても……試合なら切り替えられるやつだからさ!ちょっと待ってあげてな?」

「ふーん……?」

 スバルとあやめが話している時、ノエルは自分の顔を叩いて気合を入れていた。

「ふー……んっ!よし!ごめんごめんみこち!もう大丈夫!」

「大丈夫……?知り合いなの?」

「うん、異能教室通った時の先輩!だから能力はわかっとるよ。黒髪の方が『大空スバル』、『空気』に干渉する能力の持ち主。とりあえずみこちと相性が悪いからだんちょが引き受ける!」

「……大丈夫?」

「多分……」

 みこちがさっきのノエルを思い出して心配になる。

「白髪の子は百鬼あやめ、スバル先輩の付き添いで歩いてたのを見たことあるけど……戦闘を直接見たことはないからこっちは未知太郎!」

「みちたろう……」

「こっちをみこちに任せることになるんやけど……地元だと有名な異能持ちだった。多分すごい強いから加勢するまでは防御に徹した方がいいよ」

「わがっだ……!」

 ノエルとみこちが意気込み集中する。

「おっ……戦闘モードになったなー?」

「なっ?切り替えたっしょ?」

 あやめ達もノエル達の様子を見て意気込む。

「……お待たせしまして、スバル先輩」

「よっし!来いやぁ!」


――――――――――――


 そして、現在に至る。

「みこち!!」

 衝撃で崩壊していく瓦礫の中にみこちもおり星街が呼びかける。みこちにあやめが追い討ちを仕掛ける。みこちが切りつけられるその瞬間に星街が助ける。

「……速ぁ?」

「みこち!状況!」

 すかさず星街が状況把握を急ぐ。

「あの人には……みこの防御が効かない!」

 一方その頃、フレアとあくあは依然として戦闘状態に置かれていた。建物の崩壊に視線が向いていた一瞬の隙をあくあがつく。フレアが水の渦が纏わりつき拘束される。

「やばっ……!!」


 ――――『天花詞経(てんげののりと)花下氷雪(かかのつらゆき)』――――


『……!!?』

 シオンとあくあが一瞬にして凍りつく。

「ポルカ!!」

 その氷の攻撃の正体は模倣で姿を変えたポルカだった。その姿はエルフの耳にライトブルーの長髪がかかった少女だった。

(仲間……!属性持ちの自然種が2人も!?キッツぅ!)

 シオンが押され気味に焦りを感じる。

「今ので場が乱れましたけどぉ、もう出てきちゃったけどベストタイミングですよね?」

 ポルカは口調までも模倣していた。

「ふうっ……うん助かった!しかしほんと場はめちゃくちゃだね。すいちゃんはみこちの方飛んでちゃったし」

 フレアとポルカが合流し、状況を整理し始める。

「見た感じ数はこっちが勝ってますよ。ノエルが1人抑えててここで2人、みこちとすいちゃんが1人と対面しててこれで全部って感じです」

「なるほど…………となると取るべき戦法は、それぞれ距離をとっての1on1だね」

「団長もそれ同意で!」

 そこにスバルと戦闘していたノエルが通りすがりに会話に参加する。

「ただあの鬼の自然種が思ったよりもヤバいかも!多分今この場にいる誰よりも数段強い!」

「やっぱりか……じゃああの2人はそのまま鬼の子と2対1(ダブルチーム)してもらおう。誰がやってもきついと思うけど、それならあの2人が一番可能性がある」

「……距離を取るのはなぜ?」

「連携を機能させにくくするためだよ、口ぶりからして向こうは元から知り合いなんでしょ。対してこっちは大会用にチーム組んだだけ、特にまだすいちゃんたちと連携は難しい。とは言っても向こうは連携を取ろうと動いてくるだろうから一筋縄じゃいかないだろうけど、できるだけこっちのペースに持っていきたいな。……そんでポルカにはあの魔女っ子をマークして欲しいの」

「なんでぇ?」

「ほら、あの子は空飛んじゃうでしょ」

「……あぁ、そういうこと……つまり」

 ポルカはまた姿を変える。その見た目はウェーブの効いた金髪にお団子ヘアが特徴の少女だった。

「こういう事ね!」


――――――――――――――


「近くで見ると思ったよりデカいなぁおい」

 ビル街の屋上に2人の影があった。2人が見ていたのはholoRoyalの会場を囲っている結界だった。

「あぁ……ラプラスお手製の魔力結界、あらゆる攻撃を無効化する特性を持つ。結界を創るのに半年はかかる、従来のものとは構造が根っこから違う」

 2人が話していると警備員が駆けつける。

「そこの2人!何をしてるんだ、ここは立ち入り禁止だぞ!」

 すると男の1人がニヤリとすると足に土が盛り上がる。

「い、異能持ち……!」

 もう1人の男はその場から動かずただ眺めてるだけだった。

「……こちら井上だ!A館屋上不審者2名!異能持ちだ!応援を……」

 警備員が応援を呼ぼうとすると男が鋭い岩を足元から生やし無線ごと胸を貫く。

「あ、あ゙あ゙あ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙!!!!!!!!」

 警備員はあまりの苦痛にもがき苦しむ。すると応援に駆けつけた他の警備員が男2人を囲み拳銃を構える。

「手を挙げろ!!!」

「おい……あまり騒ぎごとはやめてくれと言ったはずだぞゼラム」

「そう言うなよギルツ……すぐ終わらせるさ……」

 ゼラムは両手に魔力を込める。

「う、撃てぇぇぇぇ!!!!」

 

地盤響壁(グラウンド・ウォール)

 

 警備員たちが一斉に撃つとゼラム達を岩の壁が囲む。

「くっ……!俺に任せろ!!!」

 異能持ちの警備員がゴリラの姿になるとギルツに向かって飛びかかる。

「ゴリラの獣人種か、お前……いいな」

 ギルツが左手で警備員に触れると一瞬で粉々になる。

「い、今……何が……」

 他の警備員が膝を崩してしまう。


刺針玄武(ブラックエンペラー)


 ゼラムの岩が警備員たちを一斉に串刺しにする。それは一瞬の出来事だった。

「さて、そろそろ行こうかギルツさんよぉ」

「あぁ……………………楽しみだ」

 ギルツが不適な笑みを浮かべる。その目線の先はholoRoyalの会場だった。

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