不死鳥の舞
桜乱れ咲く山の中、二人の男女が舞い踊る。
紅い炎に包まれながら、狂おしく楽しげに。
衣を燃やして舞うその姿は、儚き命の華が狂い咲く様。
火のついた二つの衣がくるくると廻り、眩しく光る花びらを散らしてみせる。
二人の手は固く繋がれ、激しい炎の中で優しく互いを慰め続ける。
私はここにいるからと、その存在を伝えるように。
二人が感じているのは、ただその温もりだけだった。
焼ける痛みなど感じない程、強い愛の存在だけが彼らの世界にはあったのだ。
どこまで真っ直ぐで、狂おしいほどのその愛は、不死鳥の姿となって二人を天へ届ける。
遥か彼方の輪廻の果てで、永遠に共にいられるように。
夜が明けて太陽が昇る頃、彼らはそこへ辿り着いた。
輪廻の果てにあったその場所は、無限に広がる宇宙の花園。
まだ誰も辿り着いていない、失われたはずの楽園。
愛し合う二人は抱擁を交わし、それからずっと戯れ続ける。
若き恋人のように、時を忘れた世界で。
不死鳥と化した炎は、二人を祝福するように、この広大な楽園の空を楽しげに飛び回る。
時折、此岸から見える流星は、紅く輝くその炎の尾が夜に煌いたものなのだ。
これからどれほど時が経とうと、彼らが変わることはない。
何故なら彼らは、永遠になったのだから。
蒼月です。
愛を描いたのは初めてか、初めてと思うほどに久しぶりです。
多様な愛の形の一つを、ここで美しく綴れていたのであれば幸いです。
また、お会いしましょう!