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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

神様は新たな転生方法を考えた

作者: 黒澤 白

「う、うーん」


「おお、気がついたか?」


 少年が目を開けると目の前には神々しいオーラを放っているような老人がいた。


「あれ? 僕は一体?」


「覚えてないか? お前さんは車とぶつかってそのまま亡くなってしまうところなんだ」


「え?」


 神々しい存在の言葉に少年は驚く。


「ぼ、僕、死んじゃうんですか?」


「まあ、このままだと死ぬだろうな、でもそれはワシとしても避けたいんじゃ」


「どういう事ですか?」


「実はな、お前さんは本来その年で死ぬ運命じゃないんじゃよ、だからこのまま死んでお前さんの魂をあの世に送るわけにはいかないんじゃ、どこかで寿命までちゃんと生きてもらわねばならぬ」


「じゃあ、僕はどうなるんですか?」


「本来だったら、お前さんの世界で最近流行っとる異世界に転生させる事をするつもりなんじゃが、それはもう廃止になってのう」


「い、異世界転生が廃止? どうしてまた」


 少年は変な汗を書きながら神々しい老人に問う。


「いやな、昔はやっていたんじゃよ、その世界でまだ死ぬ運命じゃなかった者とか、あまりにも不幸な人生を歩んだ者とか、とにかくそんな者達を異世界に送ってたらのう、異世界の神達に怒られたんじゃ」


「異世界にも神様がいるんですね」


「まあ、異世界の神曰く、自分達の世界の人間達がかわいそうだからってこっちに丸投げするなって向こうからクレームがたくさん来てのう」


「く、クレーム、神様もクレームなんて言葉使うんだ」


「何でも、不幸な人生を送ってるってわかってたなら直接干渉できなくても救ってくれる人間と出会わせたりとか色々できただろとか、車やトラックに轢かれて事故に会いそうなら強い風とか歩みを止めるような現象を起こさせたりとかできただろとか、自分達が幸せにできなかったからってこっちの世界に寄越すな、こっちもこっちの世界の人間達で忙しいんだとか、自分達の不甲斐なさで起きた事なのにこっちに丸投げして責任逃れするなとか、たくさんのクレームが来たから異世界転生は廃止になったんじゃ」


「神様達も大変なんですね、でもそうなると僕はどうなるんですか?」


「そう、ワシ達も考えたんじゃ、考えた結果一つの方法を思いついたんじゃ」


「その方法は」


 生唾を飲み込みながら少年は神々しい老人の言葉を待つ。


「それは、並行世界のお前さん達の魂を入れ替えて転生させる事じゃ」


「え?」


 神々しい老人が何を言ってるのか理解できない少年。


「お前さんは並行世界を知っとるか?」


「えっと、パラレルワールドって奴ですか? その時の行動や選択で全く違う未来を送るって言う」


「そう、そのパラレルワールドのお前さんと魂を入れ替えて別のお前さんの世界で生きていくと言う事を考えたのじゃ」


「えっと、つまりAの世界の僕とBの世界の僕の魂を入れ替えるみたいな感じですか?」


「そうじゃ」


「で、でもそんな事して良いのですか?」


「そこは問題ないのじゃ、だって同じ世界を生きているお前さん自身じゃぞ? 神様だって同じ世界に生きているワシじゃし、ワシ自身なら問題ないじゃろと別の並行世界のワシも言っておったし」


「そうなんですか、でも別の世界の僕は良いのですか?」


「その点も大丈夫じゃ、ちゃんとお互いのお前さん同士が納得いく世界同士で魂を入れ替えさせるからのう、ちなみにお前さんの並行世界だけでも軽く千通り以上はあるぞ」


「え? せ、千個も僕の人生があるんですか?」


 神々しい老人の言葉を聞いて少年は驚く。


「ああ、中には異世界転移した世界や異世界転生した世界も十個ぐらいあったし、お前さんが女性になった世界もあるし、俳優やアイドルや声優になった世界もあるし、漫画家や小説家やアニメーターになった世界もあるし、何だったらホームレスや犯罪者になった世界もあるぞ」


「い、一体どんな選択をしたらそんな人生になるんだろう」


 少年はそうなった世界の自分に興味津々だった。


「まあ、そんなわけでお主の魂を入れ替える並行世界なんじゃが、ちょうどお前さんと同じように車に轢かれて意識不明な状態になっておる並行世界があってなそっちの世界のお前さんにも聞いたらそっちの並行世界のお前さんは良いと言ってるんじゃ」


「その並行世界はどんな世界なんですか?」


「ふむ、それがのうその並行世界のお主は勉強もできて運動もできておまけに彼女もいる陽キャラみたいな奴じゃよ」


「僕と全然違うリア充じゃないですか!?」


「じゃが、今はそうじゃないんじゃよ」


「どうしてですか?」


「実はのう、その並行世界のお前さんは冤罪を掛けられたのじゃ」


「冤罪?」


「そうじゃ、冤罪を掛けられて家族や彼女おまけに中の良かったクラスメイトからも酷い扱いをされてのうそれから冤罪が発覚したんじゃが、その、のう」


「あ」


 神々しい老人の態度で少年は理解する。

 

「要するに皆、手のひら返しで謝罪とかしたけど今まで事でその並行世界の僕は許さないけど皆それでも執拗に迫って来たって感じですね?」


「そうじゃ、そのせいでその並行世界のお前さんは精神的に参ってしまってのう、それで外を歩いていたら車に轢かれてしまったと言うわけじゃ」


「なるほど、それで僕を選んだ理由ってやっぱり」


 言っている途中で少年は俯く。


「そうじゃ、精神的に参ったお前さんと入れ替えるにはちょうど良いと思ったんじゃ」


 神々しい老人も困った顔をする。

 少年は辛い人生を送っていた、親からは愛情を貰えず姉妹からは嫌な目で見られて幼馴染からも嫌われていて学校でもいじめられていた。

 一方冤罪で精神的に参った少年は周りのほとんどの人間が全員敵だと思い手を出したり罵倒したりとかしたい気持ちもあったが冤罪になる前は確かに皆と親しかった。

 その記憶があるからこそ優しいからこそ、その怒りを爆発させる事ができずに精神を病んでしまったのだ。


「以上の事からお前さん達を入れ替えた方が良いと思ったんじゃが、どうする?」


「・・・・・・僕は良いですよ、それで」


「そうか、ではそうするが一応入れ替える方のお前さんにも会わせよう」


 神々しい老人は別の並行世界の少年を呼ぶ。

 その並行世界の少年は今にも何かしようとする危うさを感じた。


「えっと、別の世界の僕、一応聞くけど良いの?」


「ああ、お前は最初から皆に嫌われてんだろ? じゃあ遠慮なく来たら容赦しなくて良いんだろ? その方が楽で良い」


 同じ人間でも別の世界だから少年にとっては遠慮なくやれると笑みを浮かべていた。

 そんな少年に冷や汗をかくも神々しい老人を見る。


「では、入れ替える前に少しお前さん達の記憶をいじるぞ」


「い、いじるって?」


「何、少し記憶を変えるだけじゃ、お前さんの方は冤罪を掛けられたと言う記憶を付け足すのじゃ、ここでの出来事は入れ替えたら忘れてしまうからな」


「な、なるほど」


「よしできたぞ、それじゃ二人共入れ替えるぞ」


 神々しい老人が手をかざすと二人の少年はその場から消えるのだった。


「さて、無事に終わったのじゃ、二人共少しはましな人生を送るんじゃぞ」


 二人の少年の人生を願いながら神々しい老人もその場から消えるのだった。


 

読んでいただきありがとうございます。


ジャンルがわからなかったのでその他です。

思いついたので一時間ちょっとで書いて投稿した短編です。

自分でもこんなに早く書いて投稿できた事に驚いています。

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