2話「肥料係コニーと勇者カイ」
村から出てすぐのところにダンジョンの入口があった。
ダンジョンの前に輝く銀髪のユニコーンがいた。
勇者カイ様とその御一行だ。
勇者様の仲間は三人、ドワーフでオノ使いのオデル様、リザードマンで魔術師のリック様、そして紅一点の自然の精霊で回復役のアリッサ様だ。
アリッサ様は翡翠色の長髪に緑っぽい肌をしていて、透けそうなほど薄い衣服を纏っていた。
綺麗な人だなぁ。こんな美人とパーティを組めるなんて羨ましい。
「おいガキ!
ダンジョンには俺たち勇者一行しか入れないぞ!
怪我したくなかったらさっさと消えな!」
勇者様がたてがみを振り乱しいななく。
「はじめまして勇者様。
僕は世界樹の肥料係のコニーです」
アリッサ様に見とれていた僕は、勇者様のいななきにびっくりしてしまった。
さすが勇者様、いななきだけでも凄い迫力だ。
「新しく肥料係に任命されたエルフのガキか。
確か両親が夜逃げしたんだってな?」
「お前の両親が夜逃げしたくなる気持ちもわかるぜ」
「世界樹の肥料係じゃな」
勇者様がニヤニヤしながら呟き、勇者様の言葉にオデル様とリック様が続く。
「おい、なんか臭くないか?」
勇者様が鼻をひくひくさせる。
「本当ですね勇者様、きっとこのガキから臭ってくるんですよ」
「くせ〜〜!」
オデル様とニック様が鼻を摘む。
「おい肥料係のガキ!
オレたちが地下一階に降りるまでここで待機してろよ!」
勇者様が汚いものを見る目で僕を見て、吐き捨てるように言い放った。
肥料係というだけでここまで馬鹿にされるのか、父もいつもこんな思いをしていたのかな?
「おやめください勇者様。
相手はまだ子供ですよ。
それに肥料係だって大切なお仕事です」
アリッサ様が僕をかばってくれた。
アリッサ様は美しいだけでなく心まで清らかな方だな。
「いい子ちゃんぶりやがって!
お前ら行くぞ!」
「「待ってください勇者様!」」
走り出した勇者様の後をオデル様とリック様が追っていく。
「すみませんコニーさん、気を悪くしないでくださいね」
アリッサ様はそう言って頭を下げ、ダンジョンに入っていった。
アリッサ様からは花のような良い香りがして、彼女が去ったあとには甘い香りが残った。
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