プロローグ~宮下雪斗の場合~
2話続けて投稿しています。
~宮下雪斗の場合~
「あ、間違えた。連れてくるのこっちじゃなかった。」
ふわふわとした感覚に、変な夢だな。と宮下は思った。
「宮下くん、ごめんね。君のコピーを貰う予定だったんだけど、コピーと君を間違えて連れてきちゃったんだ。魔力をたくさん使えるようにしておくから、世界を救う聖女を護ってあげてください。地球の方はスペックを3割増しにしたコピーが生活しておくから心配要らないよ!」
「えっ?何の話?」
「実は各々然々で…。君のコピーを勇者にする予定だったんだけど、うっかり入れ替わっちゃって…。宮下くん、ゲームとかファンタジー好きでしょ?世界を助けると思って勇者になってくれないかなー。」
宮下は、各々然々って全然説明になってないよな?とどうでもいいことを考えてから
「世界を救ったら帰ってこれる?いやまて、夢だから勝手に目が覚めるのか?」と聞いた。
「いやいや、夢じゃないからね?地球に君のコピーがいるから帰れない。お詫びにできる限りのオプションは付けるよ。」
夢じゃないのか。まぁ、夢は自分で夢って言わないよな。とおかしなことを考えて、夢じゃなかったら現実で困ることも考えなくちゃいけないなと思う。
「コピーが車のローンの支払いも、親の老後の面倒も、面倒臭いモンスターペアレントの相手もしてくれるわけ?」自分で言ってなんだけど切実だな。
「君がするつもりだったのならちゃんとしておいてくれるよ。なんたって君のコピーだから。」
それはすごいな。代わってくれるなら代わってもらってもいいかな。俺なら信用できる。親に迷惑かけるようなことはまずしない。
「それなら行ってもいいかな。どんな世界なんですか?」
「地球の物語でありがちな魔法の世界だよ。ちょっと魔力のバランスが崩れて魔物も増えたけど、しばらく訓練すれば魔物は余裕になると思うから、ゲームだと思ってレベル上げしてください。」
「それで、さっきも言ったけど、世界を救うのは魔力のバランスを整える聖女がしてくれます。勇者の仕事は聖女を護ること。宮下くんは聖女のご指名なので基本的に拒否出来ません。世界を救うまでは浮気は禁止ですので悪しからず。宮下くんも、悪いけど頑張ってね~。」
「えっ?いや待って?浮気できないって何だ?聖女って誰だよ。異世界でハーレムつくれないなんて嘘だろ?」
願いも空しく視界がゆっくりとかわっていく。
宮下雪斗27歳。高校の化学教師。転職して異世界の勇者になりました。
いやいやおかしいでしょう?
護らなきゃいけない聖女って誰なんだ~!
そこが一番の問題じゃないか?