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1、転生したのはいいけれど

 俺は土井宗太(つちいそうた)、高校1年でワンゲル部所属、趣味は料理、現在彼女募集中。

 夏休みも中盤に入りクラスの仲が良いメンバーと近場の川に遊びに来ていた。


「つっちー宿題どこまで進んでるー?」

「んー、半分くらいだな」

「まじめだねぇ。俺なんかまだ全然やってないよ。写させてよ♪」

「ふざけんな金払え」

「ちぇー、けち!」


 などと益体もない会話をしていると、


「そういやつっちーこの前篠崎さんが別のクラスの野郎と二人で歩いてたんだけど知ってる?」

「マジかよっ? 嘘だろちょっと気になってたのにショックだわー。で、別のクラスのってどいつ?」

「えーっと、サッカー部でレギュラー候補いわれてるちょっと顔がイイ奴」

「あー、アイツかぁ。いいよなぁ美形はモテて」


 世の理不尽さを嘆きながら俺は川の奥の方へ歩いていって……突然視界が水で埋まった。


「っ! がはっ」


 どうやら考え事をして注意がおろそかになっているところで川の深みにはまったらしい。

 おまけに流れが速くて立て直せない。

 急に視界が変わったこと、流れにすくわれて体の自由が利かないことで、パニック状態になってますます溺れていく。


(苦しい、やばい、俺……このまま死ぬのか? くっそこんなんなら宿題なんてしないで遊び呆けとけば良かった。意識が朦朧としてきた。あぁもしも生まれ変われるならば次は美形で生まれますように……)




 ‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐



 朦朧とする意識の中で柔らかい何かに包まれてるのを感じ、まどろんだ意識へと変わり無意識に声をあげた。


『ぁ』

「سيدتي! التنبيه؟؟」

(なんだ? 何か聞こえる。俺は……助かったのか?)

「سيدة شابه، حسنا؟ هل تعرف لي؟」


 薄く目をあけるとそこには見知らぬ女性が俺を心配そうに見ながらベッドの脇で佇んでいた。


『えっとあなたが助けてくれたんですか?』

「سيدتي؟」


 彼女の心配そうな表情の中に僅かに怪訝な色が混じっていたが俺にとってはそれどころではなかった。


(え? マジで何言ってるんだかわかんないんだけど! どうなってるんだ!?)

 

 必死に辺りを見回して何か情報はないか探すうちに、部屋の中に置いてある姿見に驚愕の事実が映っていた。


(鏡に……俺がいない? どういうことだ、鏡の角度からいって俺が映るはずな…んだ……が……)

 

 鏡に映っているのはベッドの脇に佇んでいる女性と、ベッドの上で寝ている8歳程度のまだあどけなさの残る美しい少女だった。


(いや…まさか…そんな……嘘やろっ!?)


 思わず絶叫しようとして、途中で傍らの女性に気がついて慌てて止めた自制心を褒めてほしい。

 彼女はすでに僅かながらでもこちらに怪訝な目をしているのだから、これ以上怪しまれるのはよくない。


「アルシェイルお嬢様?」


 その名前を聞いたことで唐突に全てを思い出した。

 記憶の奔流に耐えながらも、溺れ死んだ前世、転生した少女(アルシェイル)の記憶、そして舟遊び中に転落してまたしても溺れ死にかけた今、俺は咄嗟に彼女(アルシェイル)の喋り方を思い浮かべながら、


「心配しないでエマ、ちょっと怖い夢を見て混乱してただけだから」

「左様でございますか。あんなこと(溺れて死にかけた)があれば怖い夢を見ても仕方ありませんね。どうかご自愛下さいませ」

「そうね。もう一眠りするから外してくれる?」

「かしこまりました。何か御用があれば外で控えているのでお呼び下さいませ」

「そうするわ」


 俺は一人になって混乱しながらも叫ぶのはまずいので心の中で絶叫する。


 そりゃ次に生まれ変わるとしたら美形がいいとはいったけどさぁ、

 この顔は確かに美形だけどさぁ、


 女になるなんて聞いてない!

拙文ながらも書いてみました。生暖かい目で見て頂けるとうれしいです。

多分分かって頂けているとは思いますが一応補足を

転生後の「」の会話はあっちの言語、『』は思わず主人公が口走った日本語という設定になっております。

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