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今日って、何の日?

作者: 名紗すいか



 結婚して三年とちょっと。子供はなし。

 とうとう私にも、離婚の危機というものが訪れたようです――……。






「今日は夜、作らなくていいから。外に食べに行こうと思うんだけど……?」


「え?……うん」


「いつもの店に八時に予約してあるから……そこで、待ち合わせにしよう。――行ってくる」


「あ、いってらっしゃい……」


 そそくさと出かけていく夫の後ろ姿が、ドアの向こうへと消えていくのをぼんやりと見送ってから、私はリビングへと引き返した。

 まず最初に向かった先は、カレンダーの前。


 一月三十一日、火曜日。


 日付を眺めて、首を傾げた。


 今日って、何かの記念日だった?


 結婚記念日や誕生日ではないのは間違いないけど、もしかして……私が忘れてるだけ?

 だけどどれだけ必死に過去を振り返ってみても、『一月三十一日』という日、何の心当たりもなかった。

 しっかりお金が貯まってから子供を作ろうと話し合い、二人で外食するのは結婚記念日とお互いの誕生日だけに決めたはずだ。だから何もない日に贅沢をするとは考えにくい……。

 いつもの店というのは、近所の少し値の張るレストランであり、プロポーズもそこでされた。それもあってか、何かあるときはいつもそこを利用することが暗黙のルールとなっていた。

 うちの両親や夫の両親が遊びに来るという予定もないし、普段から節約に気を遣ってくれている夫の口から、外食をしようなんて言葉が出て来ること自体、おかしいのだ。

 だったら記念日じゃなくて、何か改まって言うことがあるということだろうか?

 そういえばあの人……、さっき気まずそうに目を逸らしながら外食の話を口にしなかった?

 後ろめたいことや隠し事があると目を逸らす癖。結婚した頃気づいたそれは、今でも変わらない。


「それって……」


 全身から力が抜けて、すとんと椅子に座り込んだ。

 夫が妻に持つ後ろめたい秘密なんて、そんなに数があるわけじゃない。


 たとえば、リストラ?


 だけどリストラされたのなら、きっと外食なんてしている余裕はない。その前に近所の噂になるだろうし、とっくにこの社宅から追い出されていそう。


 だったら……病気?


 でも秋に人間ドックをしたとき、特に何も問題はなかった。それに病気だったらもっと、普段の顔色に出てるはずだ。

 今だって、朝ご飯をしっかりと食べて仕事に行った。だから、大丈夫。


 あと残るは…………浮気。


 やっぱりそれが一番しっくりくるのは、夫の挙動が最近どことなく怪しいと思っていたからだ。

 昨日だって、夕食どきにかかってきた電話の表示を見ると、わざわざ逃げるように寝室へと篭り、話の内容を私から隠そうとしたのだ。

 あの慌てたそぶりで席を立った夫に、初めは仕事の電話かと思って見て見ぬふりをしていたけど……あれがまさか、浮気相手からだったとか?

 胸がどくどくと嫌な音を立てて脈打ち、テーブルに額をつけて突っ伏した。


 夫が、浮気しているかもしれない。


 私の頭では、最悪な想像しか思いつかなかった。

 だったら今日、夫に外食を誘われた理由は二つに一つだ。

 浮気していることに罪悪感を抱いてのご機嫌とりか、もしくは――。


「はぁ……」


 大きなため息がこぼれた。


 何でこんなことになったんだろう……?


 夫の真弘まさひろとは、なかなかいい話を持ってこない娘に焦れた両親が、強引に勧めてきたお見合いの席で知り合った。……ということになっている。

 そう。初見ではなかった。むしろものすごく顔見知りだった。――私にとっては。

 たぶん夫は、私のことなんか記憶の片隅にもなかっただろう。当たり前だ。私にとっては大きな出会いでも、彼にとっては本当にささいな、すれ違った程度のものだったのだから――……。





 結婚を機に仕事を辞めた私だけど、あの頃、毎日満員電車に揺られて会社へと通っていた。

 それでも時間にすれば、たった十分ちょっと。

 むしろ家から駅まで自転車を漕いで向かう時間の方が、はるかに長いくらいだった。

 十分我慢すれば解放される。その思いで、いつも通勤ラッシュを耐えていた。


 ――けども。


 私は美人でもなければ肉感的で魅力があるというわけでもないのに、なぜかよく痴漢に遭った。

 たぶん何をされても、口に出して相手を咎めるということができない、消極的な顔をしているせいだと思う。

 実際その通りで、恥ずかしくてずっと俯きながら、少しでもその手から逃れられないかと身をよじったり、鞄を間に入れて抵抗することしかできなかった。

 痴漢をされていることも、それを周囲の人に知られることも恥ずかしくてしかたがなかった。

 毎日ではないし、たった十分。大抵は攻防している内に駅へと着く。ドアが開くと、後ろを振り返ることなく前の人を押しのける勢いで逃げるのが、いつもの私の日常だった。

 だけど私もやられてばかりの馬鹿じゃない。

 ホームに並んでいる時点で、女性やスマホずっと見ているような若者、無害そうなサラリーマンを見極め、彼らの後ろに並んでぴたりとついていくことにしていた。

 自分でなるべく安全圏を確保して、あとは自助努力。通勤着は防護服、鞄は盾。少しでも弱々しく見えないように、アイメイクだけは気を遣った。

 その作戦がうまくいっていたかは正直微妙だったけど、何もしないよりは多少はましだったように思う。

 そしてそんなあるとき、ふと気づいた。

 私の中で安全圏として認識していた、細い銀縁の眼鏡をかけたスーツの男性の近くにいると、痴漢遭遇率が極端に低いということに。

 なぜだろうと考えて、その理由が彼の鞄にあるのだと思い当たった。

 彼が手に下げるちょっと幅広な鞄は、ちょうど私のお尻の高さにくる。しかも痴漢の手を入り込む隙間を与えない大きさだった。

 なるほどと思い、彼を見つけたら必ず近くを狙うように心がけた。毎回うまくそばにいけるわけではなかったけど、彼を見つけると内心ほっとして、通勤時間への嫌悪感が薄らいだ。

 満員でぎゅうぎゅうの電車内で、ごめんなさいと心で謝罪しながらも、私はその鞄をいつもお尻で潰していた。

 彼の鞄に感謝してもしきれない恩恵を受け、くたびれつつあったその鞄を、ずっと新調しなければいいなと勝手なことを思いながら通勤していた。

 結局ある日、その固さを失った鞄は新しいものへと替わり、私はその日から彼のそばには寄らないように決めた。

 鞄がくたびれた原因の一端は、どう考えても私にもあるからこそ、いたたまれなかったのだ。新しい鞄を潰すのに気が引けたというのもあった。


 その彼がお見合いの席にいて、内心どれほど驚いていたか。

 彼は緊張していたのか、まっすぐ背筋を伸ばしつつも、視線をさまよわせながら何度もコーヒーに口をつけながら座っていた。

 こうして改めて眺めると、イケメンとか美形というわけではないけど、背も高めで顔の造りも悪くない。そして何より、穏和そうなその雰囲気には、絶対的な安心感があった。

 動揺を悟られないよう近づいた私を見上げて、彼はほっとしたような表情を浮かべた。

 写真を見ても来なかった私と違い、彼はあらかじめどんな女性とお見合いするのかきちんと確認してきたのだとわかると、何となく恥ずかしくなって俯いた。

 だってきっと、成人式のときの写真だ。

 数年前の写真だし、プロのメイクと振り袖で、何割増しにごまかされている。

 それでよく私だと気づけたものだ。

 仲人なしでのお見合いだったので、席には彼しかおらず、向かいに腰かけた私に彼は、開口一番こう言ったのを覚えている。


「よかった……。来てくれないかと、思ってました」


 私が乗り気じゃなかったのだと、初めから知っていたみたいな口ぶりだ。

 それとも前のお見合いで、そういうことがあったのだろうか?

 そんなことを訊けるはずなく、他愛ない会話をしながら、彼は終始微笑んでいた。

 おかげで私はいつの間にか肩の力が抜いて話をしていた。

 他の人だったら、適当に話を合わせ、あとで断るつもりだったけども、そうはしなかった。

 話してみて、やっぱり誠実で優しい人だとわかったから。

 そのお見合いの席で私は初対面のふりをしていたし、彼も私に気づいた様子はない。

 そのことをちょっとだけ寂しく思って、それでも同じだけ嬉しく思った。

 私が断らなければ、この素敵な人と結婚できるかも、と。

 たぶん私は勝手に、彼をナイトのように思っていたのだ。電車内でのように、ずっとそばで守ってくれる存在なのだと。

 燃え上がる恋ではなかったけど、穏やかに交際して、そのまま何事もなく彼と――真弘と結婚をした。



 そして、三年が過ぎた。



 つまらないことで喧嘩をすることもあるし、最近では触れ合うことさえも少なくなった。

 お見合い結婚だから、こんなものかと思っていたけど……まさか浮気をしているとは。


 もし今日、離婚を切り出されたら?


 相手の不貞なら、私が別れることに同意しなければ離婚はできないはず。

 だったら別居?

 夫の帰って来ない家で一人過ごす自信はないから、実家に戻ることになるかもしれない。

 両親に、何て言えばいいんだろう……。

 電話するたびに、早く孫の顔が見たいと責つく彼らに、何て……。


「夜に、ならなければいいのに……」


 頬を涙が伝ってテーブルに溜まっていく。

 このまま夜が来るまで黙って泣いていようかと思った。

 けれどこのまま、大人しく自分の人生を悲観していてもどうにもならないとも、思った。

 離婚は嫌だ。だけど、浮気した夫を許せる自信なんて、私にはない。

 それでも私は、あの人のことが今でも好きだ。


 昔よりももっと、ずっと……。






泉実いずみ?」


 上から降ってきた真弘の声に、はっと顔を上げた。

 彼が来るのが少し遅かったので、店内のゆったりとしたBGMに意識を流されつつあったけど、どうやら遅刻は十五分以内には収まったようだ。

 向かいに腰を下ろした彼は、怪訝そうに私の顔をじっと見つめてきた。


「泉実、何か目……腫れてないか?」


「気のせいでしょう」


 普通に返したつもりでも、無意識に突き放した言い方になってしまった。

 真弘は口をつぐみ、雰囲気が悪くなりかけたとき、前菜が運ばれてきた。

 目で見て楽しめる鮮やかな前菜が悲しい。今は何を食べても美味しく食べれそうにないからだ。

 彼はなぜか何も言おうとしないし、我慢できずに私から切り出した。


「ねえ、あなた。何か私に、隠してることあるでしょう……?」


 真弘はフォークを取ろうとした手を止め瞬く。


「隠してる、こと?」


 じっと見据えると、徐々に逸らされていく彼の目線。

 隠し事があることはほぼ決定だ。


 やっぱり、……浮気?


「私に、何か不満があるなら言って」


「え?ないけど……」


「嘘」


「嘘なんてついてないって。泉実、どうかしたのか?何かあった?」


 困惑ぎみに身を乗り出してきた彼へ、私は声を殺すように低く呟いた。


「……何かあったのは、あなたの方じゃない」


「俺が、何?」


「あなた、……好きな人がいるでしょう」


「好きな人?そりゃあ……いるけど――」


「ほら!つまり浮気してるって、認めるのね?」


 問いただすと、三秒ほど真弘が固まった。


「…………は?ちょっと待って泉実、何だって!?」


 あわてふためく彼に、私は涙をたっぷり溜めた目で精一杯にらみつけた。


「浮気!」


「してないよ!するわけないだろう!何でそんなことになってるんだ!?」


 真弘の必死な様子に気圧されつつも、恨みがましい非難の目はやめない。


「だって今日、誕生日でも結婚記念日でもないのに、外食するなんて言うから!……浮気の謝罪か、離婚を言い渡されるのかと思って――」


「り、離婚!?今日はただっ、あ、あ……愛妻の日だからで!」


 口にした言葉が相当恥ずかしかったのか、赤くなった顔を背ける彼に、私はぽかんとしたままそれを繰り返した。


「……愛妻の、日?」


 愛妻の日って、何?


 わけがわからない私に、彼は一度咳払いをしてから説明口調で話し始めた。


「一月三十一日は、愛妻の日なんだって。一を縦にするとアルファベットのIで『あい』、三十一を『さい』。――愛妻あいさい。語呂合わせだよ。……花屋の広告にそう載ってたから、日頃の感謝のつもりで食事に誘ったのに、まさかそんな誤解をされてたなんて……」


 真弘ががっくりと肩を落としてしまった。

 それはそうだ。私のためを思っての行為が、不貞をしていると誤解され、まったく想いが伝わってなかったのだから。


「ごめんなさい!あ、愛妻の日だなんて、私知らなくて。今日、テレビも観てなかったし……」


「いや、俺も気恥ずかしくて、きちんと言わなかったし……」


 二人して俯きながら、ぼそぼそと謝りあった。

 私の考えすぎで、彼を落胆させてしまったことが悔やまれる。


「た、食べようか?」


「う、うん」


 同時にぎこちなく、前菜を口に運ぶ。

 新鮮な魚と野菜のマリネが、口腔内で爽やかに広がる。


「あ……美味しい」


「うん。美味いな」


 美味しいものは、どんな状況でも人を和ませてくれるらしい。

 食べ進める内に、お互い苦笑いから自然な笑みへと変わっていた。


「……だけど、だったら昨日の電話は?あれは挙動不審だった」


「ああ、あれ。……もういいか、言っても。花屋の広告を見たって言っただろう?」


「うん」


「そのときに、花束を注文したんだよ。だからそれの受け取り日時の確認の電話。……まったく、サプライズ的に渡したかったのにな」


 拗ねる彼に、申し訳なさよりも嬉しさが優ってしまい、口がほころびそうになるのを、そっと引き締めた。


「そうだったのね……。ありがとう」


「驚かそうと思って、わざわざ家に花束を置いてからここに来たんだ。帰ってびっくりする泉実の顔を想像しながら」


「もう十分びっくりしてる。今ならどんな話を聞いても、浮気以外なら許せそうよ」


「浮気なんかしないって、絶対に。俺が好きな人は、……目の前にいるわけだし」


 真弘の目の前にいるのは……私。

 好きだとはっきり言われたのは、きっとプロポーズのとき以来だ。

 昼間死にそうなくらい落ち込んでいたのが嘘のように、嬉しくて世界が華やいで見えた。

 私って、何て単純なのだろう。


「それより……どんな話を聞いても、許してくれるって、本当か?」


「やっぱり隠し事はある?」


「いくら夫婦でも、ない、とは言えないだろう。……怒らないで聞いてくれるか?」


「うん。……たぶん」


「たぶんかぁ……。でも、もう時効だよな。――実はお見合いの前から、泉実のことを知ってたんだ。駅や電車内で、よく見かけたから」


 真弘のその告白に、言葉が出てこないほど驚いた。私のことに気づいていただなんて、これまで一度も言わなかったのに。

 ということは、真弘の鞄を潰した張本人だとバレていたのだろうか?

 それとも、そこまでは知らない?

 今さら過去の行いにいたたまれなくなり、自分から白状することにした。


「……ごめんなさい」


「ああ、やっぱり俺の――」


「鞄のことでしょう?」


 真弘は何か言おうとしたままの状態の口を閉じることなく、ぽかんとした表情をしていた。


「……鞄?」


「そう、鞄。私、あなたの鞄を痴漢避けに利用してお尻で潰してたから。今さらだけど、ごめんなさい」


「鞄……?確かにあの頃買い替えた記憶があるような……あ!そうだ!鞄を新しくしたあたりから、君が避けるようになったんだ!俺はてっきり、ストーカーにでも間違われて避けられていたのかと思ってたよ」


「ええ!?」


「だからあのお見合いに君が来てくれたとき、避けられていたのは俺の思い過ごしだったってわかって、ほっとしたんだ。けど……そんなことを、気にして避けてたのか?」


「だって、は、恥ずかしいじゃない。今だってかなり勇気を振り絞って言ったのに……」


 たぶん頰が赤くなっている。店内が落ち着いた照明で助かった。


「だったら……俺も、お返しに恥ずかしい話をしようか?……駅で君を見かけたときから、ずっと泉実のことが気になってた」


「え、嘘!だって目も合ったことなかったのに」


「……か、可愛い子がしょっちゅうそばでくっついてたら、誰だって見るって!泉実はいつも俯いてたから、見下ろしていた俺の視線に気づいてなかっただけじゃないか?」


 可愛いだなんて普段絶対口にしないのに、今日は何でいい日なのだろうか。


「本当は上司の勧めるお見合いなんてする気はなかったし、断ろうと思ってたんだ。だけど無理やり見せられた写真に写ってたのは君で、一も二もなく飛びついた。駅で話しかける勇気はなかったのに、これはチャンスだって思って。……恥ずかしいだろう、俺」


 あのときそんな風に思ってくれていたなんて思いもしなかった。

 お見合いのときからずっと、彼は優しかった。誰に対してもそうなのだと思っていたけど、もしかして特別扱いしてもらっていたのかと思うとこっちも恥ずかしくなる。


「私も、あなたを見てた。その……絶対に痴漢とかしなさそうな、無害な男性として」


「無害なって……。あのなぁ、俺にだって下心くらいあるよ。泉実は人を見る目がないなー」


「あら?見る目がなかったらあなたと結婚してません」


 ちょっとだけ拗ねて言った。

 真弘が照れ隠しに咳払いをする。


「あのさ、泉実。そろそろ……家族が増えてもいいんじゃないかなと、思うんだけど……、どうかな?」


「え……本当に?」


「うん。無理して作る必要はないけど、もういつできてもいいかな、と」


「あ、もしかして……今日はそれを言うために?」


 真弘は苦笑いをして肩を竦めた。


「まぁ、うん。泉実の想像力に予定は狂わされたけど」


「う、疑ってごめんなさい……」


「うん、わかってくれればいいよ。それに泉実、その目。泣いたんだろう?俺と離婚するのが嫌で。――それ、ちょっと嬉しかった」


「私は辛かったのに」


「ごめん。でも、嬉しい。泉実は俺の……その、愛妻、だから」


 今日の夫は素直で……愛しい。

 そのあとは美味しい料理を食べながら、いつもよりもたくさん話をした。


 これまでのこと。これからのこと。色々と――。


 もし子供ができたら、来年は忙しくて愛妻の日なんて忘れてしまうだろうか?

 それともまた、食事に誘ってくれる?

 だけどこれが最初で最後だとしてもいい気がした。

 だって一生忘れられない日になったから。

 


 これからは新しく増える記念日をお祝いしていこう。


 かけがえのない二人の宝物に会えるその日を、これから先、何度でも――。



お読みいただきありがとうございます!

バレンタインデーとホワイトデーに並んで、愛妻の日に花束を贈ろう!みたいなポスター(?)を花屋で見つけて、「知らなかった!」と思って唐突に書いてみたお話でした〜。


ちなみに。泉実が真弘のそばにいて痴漢に遭わなかったのは、鞄のおかげなどではなく、彼が無意識に周囲へと睨みをきかせていたからなのですが、二人とも最後まで気づきませんでした。


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