表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
聖女ノアールの受難 〜私のMPはゴミクズ勇者のためにあるのではない〜  作者: 水上 空


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

61/75

勘違いのS級、隣国の聖女セレナ


ギルドの掲示板前。

受付嬢の怒りによって貼り出された『Sランク・死体ゴミ回収依頼』の前に、一際目を引く神々しい一団が立ち止まっていた。

それは、親善訪問でこの国を訪れていた、隣国の勇者パーティ一行だった。


セレナ:

「……ああ、なんということでしょう。勇者様、見てください。この『Sランク』の重み……そして、この痛ましい依頼内容。……『スライムに完敗した勇者の回収』だなんて」


彼女こそが、隣国で「慈愛の象徴」と謳われる聖女セレナである。


受付嬢:

「……スライムに負けた勇者をSランクで回収? 罠か、あるいは……よほど恐ろしい特殊なスライムだったということか。それをSランク指定するとは、このギルドは誠実だな」


セレナ:

「ええ。きっと、この『カイト様』という方は、誰もが恐れる絶望的な戦いの中で、仲間を逃がすためにあえてスライムの毒に飲まれた……高潔な御方に違いありません。……放っておけませんわ。この依頼、私たちが受領します!」


彼女たちは、受付嬢の「事務的な嫌がらせ」を、**「国家存亡の危機を救った英雄への最大限の敬意」**だと完全に勘違いしてしまったのだ。

受付カウンター



「……え? あの、セレナ様? その依頼、本当に受けるんですか? 中身、ただのバカ……いえ、不法投棄された肉片の掃除ですよ?」


セレナ:

「いいえ、分かっております。その尊い犠牲を『掃除』と呼んで秘匿する……ギルドの奥ゆかしさ、感銘を受けました。急ぎましょう、英雄の魂が闇に染まる前に!」


受付嬢:

「(あ、これダメだ。善意100%で話が通じないタイプだわ……)」

ダンジョン:スライム溜まり


一方、現世のダンジョンでは、カイトの魂がカロンを相手に相変わらずの見栄を張っていた。


カイト:

「……へへん、見たかカロンさん。Sランク依頼だぞ? きっと今頃、国中の猛者たちが俺を奪い合って――」


カロン:

「……。はい、来ましたよ。猛者というか、……想定外の『浄化のプロ』が。……おめでとうございます、カイト様。あなたの死体が今、凄まじい香油と聖水で磨き上げられています」


カイト:

「えっ!? ……うわっ、なんだこの光!? 眩しすぎて目が開けられない!」


目の前に現れたセレナが、カイトの無惨な死体スライムまみれに膝をつき、祈りを捧げ始めた。


セレナ:

「……哀れな英雄よ。もう、この世の苦しみ(爆風や借金)から解放して差し上げます。……。さあ、私と共に、清らかな天界へと昇りましょう」


カイト:

「待って! 俺、死にたいけど、死にたくない……っていうか、成仏はしてないの! 蘇生! レザレクションの方をお願いします!!」


セレナ:

「……。聞こえます、彼の魂の叫びが……。『もう、怖い聖女様のいる下界には戻りたくない』と言っています……!」


カイト:

「言ってない! 翻訳ミスだよ!!」


セレナ:

「――【至福への強制昇天ホーリー・エグジット】!!!」

その頃:新居のテラス


ノアール:

「……あら、なんだか急に空が神々しいわね。……カイト、まだ戻ってこないのかしら。……ルナ、そろそろ迎えに行きましょうか。皿洗いの水が冷めちゃうわ」


ルナ:

「……。……嫌な予感がします。……カイト様の『生命反応』が、この世から消え、空の高いところへ移動しています。……。……脱走(物理)でしょうか」


ノアール:

「…………はぁ?」


ノアールが立ち上がった瞬間、空からカイトの叫び声(魂の残響)が、天界へ向かってマッハで吸い込まれていくのが見えた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ