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生きた証〈エピローグ〉

彼女がこの世から消えてもうすぐ一年になる。


随分と肌寒くなってきた。



俺は、作業台の上にペンを置いて、コーヒーを淹れる為にキッチンに向かう。


二つ分のカップにコーヒーを注ぐと仏壇に一つを置いた。


「ちょっと休憩な」

と彼女の遺影に話しかける。返事はないけど。


俺はあれから必死でバイトして、この家を借りた。そう……彼女と暮らした彼女の家だ。

俺一人で暮らすには広すぎるけど、ここを誰かに荒らされるのが嫌だった。


広いリビングに一人暮らし用の家具はチグハグだが、俺にはこれで十分だ。


今の俺を見て、彼女は何て言うだろう。

俺はちゃんと生きてるよ。彼女の様に最期は笑顔で逝くために。だから、もう少しだけ待ってて。


そして俺は彼女に会って笑顔でこう言うんだ『大好きって言いそびれたよ』って。








「ねぇ、ねぇ!〇〇〇〇の新曲聴いた?」


「聴いた、聴いた!めっちゃ良いよね!」


「曲も良いけど、あのジャケット良くない?」


「わかるー!!あのイラストがめっちゃ良い!」


「ねぇ、あれって『ミミ』が描いてるんでしょ?」


「あのイラストレーター、最近人気だよね。なんか温かい感じが、また良いの!」


「あの人って、男?女?」


「男って噂だよ?でもさ、何であの人のSNSのアイコンってあんな変な落書きみたいなウサギなんだろ?」


「え?あれってウサギなの?クマかと思ってた」


「言える!でも、若干耳長めだから、ウサギじゃない?」


「あぁ!そう言えば、ミミのイラストの女の人っていつもウサギ抱いてない?」


「じゃあ、やっぱりウサギか。それに、あの女の人が良いんだよねぇ」


「そうそう。いつも同じ女の人だよね。笑顔の」


「……もしかしたらミミの大切な人なのかもね」




              ーFinー







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