太朗が増える理由
太朗が一人。
太朗が二人。
太朗が三人。
太朗がたくさん増えたようだ。
太朗が四人。
太朗が五人。
太朗が六人。
太朗はこれからもどんどん増え続ける。
太朗が七人。
太朗が八人。
太朗が九人。
太朗はとうとう十人になった。
なぜ、太朗はこうも増えていくのだろうか。
なぜ、太朗はそんなにも増えてしまうのだろうか。
「ゲームのバグが起きたぞ、修正しろ」
「太朗が増殖してるんだが」
「あーあ、だからチェックは毎回かかさずやれといっただろうが」
「というかなぜ名前が太朗なんだ?」
「このゲームNPCの名前も自由に決められるんすよ。考えるのが面倒なんでありふれた名前を付けてるだけっす」
「へー、俺最近ここにやってきたばかりだから知らなかった」
「ここ、人の入れ替わり激しいっすよね。もう十人もやめてるんすよ。しかも辞表もかかないで」
「それやばくね。失踪じゃん」
「そんなまさかぁ。そういえば十って数、最近どっかで聞いたような……」