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第8話 エスコート

「さぁさぁ早く!」

「ちょっと待ってよ! さっきの事件でギルド閉まってるんじゃない?」

「あ……そうでした!」

「もう……」


 全く……この子、何も考えずにノリだけで決めてるんじゃないの?


「それよりさ、もうお昼だしどこかで食べに行こうよ」

「そうですね! 私お腹グーグーです! 行きましょう! 行きつけの飲食店があるんです!」

「そうなの? じゃあそこまで案内してもらおうかな」

「任せてください!」


 ロープは私の手を優しく掴む。

 ……なんか、距離が近いな。

 なんだろう、ロープの匂い……いい香りがする。

 体も暖かいからか……悪い感じがしない。

 ロープ、さっきから笑顔だな……何が嬉しいのだろうか?

 私と歩くことが嬉しい……とか? いやいや、そんなことある?

 だって私たち女同士だよ? いや、別にそれはおかしい事じゃない……。

 じゃあ何が嬉しいのだろう……食べることが? でも食べることなんて日常必ずやることであって、別に嬉しい事でも……あ、でも食べることが好きな人もいるよね? もしかして、ロープって食べることが好きなのかな?

 何が好きなんだろう……すごく気になるな。

 これから行くところは何が美味しいんだろう? これを機会にロープの好きな食べ物もわかるのかな?


「……着きました! ここです!」

「あ、え!?」


 色々考え事をしていたら、目的地に到着したようだった。


「どうかしましたか?」

「い、いや! なんでも!」


 さっきから私、なんでロープの事ばかり考えているんだろう?

 わからないけど……嫌な気持ちではないのは分かった。

 あれかな、パーティをクビになって、誰かに頼られたのがすごい嬉しいのだろうか?

 ……考えすぎかな? まぁいいや。


「ところで……ここは何が美味しいの?」

「はい! ここはとっても美味しいお魚があるんです!」

「魚か……」


 あまり食べる機会はないな……まぁ、嫌いじゃないけど。

 ロープが指を差した建物……そこは青い外壁が特徴で、よく見るとまるで波のような模様が入っていた。

 私はロープにエスコートされ、食堂の中へと入った。

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