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第57話 「私の罪」

 しばらく抱き合った後、ムーンさんにお礼を言いたいと思い、大聖堂がある場所へとロープに案内してもらった。


「にしても、こんな山奥にこんなに大きい教会があったなんてね……」

「私も、最初に案内されたときはびっくりしました……」


 言い方悪いのかもしれないが、なぜこんなところに教会を?

 ここに作ったところで礼拝する人はいるのだろうか? そもそもロードモンスターの親玉みたいな奴が頂上にいるらしいのにこんなところに作って大丈夫なのか?

 そんなことを考えていると、目的の部屋へと着いた。


「ここです……かなり広いですよ……」


 ロープはそう言って、扉を開けた。

 中は確かに……広い、街の教会でもこんなに広くはない。

 私が知る中で広い建物と言えば……実家の屋敷か冒険者ギルドの建物なのだが、それとは比べ物にならないくらい広かった。

 一番奥には、無数の十字架が立っていて、それに注目するように、無数の椅子が向こうを向いていた。

 そして十字架の前……そこに、ムーンさんが祈りをささげていた。


 扉が広く音に反応したのか、ムーンさんは祈りを中断し、私たちの方へと向いた。


「ムーンさん、改めまして、助けていただきありがとうございました」


 私はムーンさんに向かって頭を下げると、続けざまに、彼女は口を開いた。


「とんでもないです、困った時にはお互い様です……顔をお上げください」


 ムーンさんは私の肩に手を置き、頭を上げるように言った。

 ……私は言葉に甘え、気になっていることを口にした。


「あの……質問してもいいですか?」

「かまいませんよ、私に答えられることなら」

「じゃあ……なぜこんなところで教会を?」

「……」


 私が質問をすると……ムーンさんは、黙って背を向けた。

 ……まさか、答えたくない質問だった? なんか……失礼な事を聞いてしまったのかな?

 そんなことを考えていると、彼女は背を向けながら答えた。


「この教会は……私の罪、そのものなのです」

「……罪?」


 咄嗟にロープの顔を見るが……ロープも言っている意味が分からないようだった。


「この無数の十字架……気になりますよね?」

「ま、まぁ……そうですね」


 確かに、この無数の十字架……なんなんだろう? 言っちゃ悪いが……なんか不気味だ。


「この十字架は……『私が殺めてしまった人』なのです」

「……え?」


 今この人……なんて言った?


「あのすみません……今、殺めた人って……」


 ロープも気になったのか、ムーンさんに向かって復唱した。

 確かにこの人……殺めた人……つまり、ムーンさんが殺した人って言ったよね?

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