第56話 教会
……ん? あれ? 私……何があったんだ?
ここは……どこだろう? 見たことも無い天井が見える。
ていうか……何故私はベッドの上に?
……そんなことを考えていると、部屋の扉がゆっくりと開き……女性が入室してきた。
女性の格好はシスター……またの名を聖女のような姿で、お盆を両手で持っていた。
お盆の上には……美味しそうな料理が乗っかっていた。
「目が覚めたみたいですね、よかったです」
女性は開口一番、そんなことを言ってきた。
「あ、貴方は……? そ、そういえばロープは!?」
私は女性に向かって叫んでしまった。
すると女性は、優しい笑顔で話し掛けた。
「ご安心ください、貴方のお連れ様は無事です」
「そ、そうですか……」
女性はロープの無事を口にすると、食事をベッドの目の前の机に置いた。
「私は『ムーン』、この山で教会のようなものをやっています……」
「ムーンさん……ですか」
……ムーンと名乗る女性は、続けざまに何があったのかを話した。
私が倒れ、ロープが辺りで助けを呼び、そこを偶然ムーンさんが通りかかったこと。
ムーンさんとロープで私を運んだこと。
そして現在に至ると……。
「それは……ありがとうございました」
「いえいえ、それよりも、食べてください」
「あ、ありがとうございます」
用意してくれた食事……野菜のスープとパンだった。
そうだ、せっかく用意してくれたわけだし、いただこう。
「では、私はお連れ様を呼んできますね」
ムーンさんはそう言って、部屋を出た。
……ロープに迷惑掛けちゃったな。
ロープが来たら、まず謝ろう……とりあえず、用意された食事を食べよう。
◇
「アニマさーーーーーん!!」
「ろ、ロープ!?」
しばらくして、ロープが部屋に入ってきた。
入ってきて早速、ロープは寝ていた私を抱いてきた。
「良かった! 本当に良かったです!!」
「ろ、ロープ……」
ロープは涙を浮かべ、私の体に顔を擦りつけてきた。
「ごめんね、ロープ……心配かけちゃったね」
「本当ですよ……死んじゃったのかと思いました……」
「それは大袈裟でしょ……」
私は彼女の頭を撫でつつ、落ち着かせた。
「ほら、もう泣かないで……私はここにいるでしょ?」
「うぅ……でも……」
「全く……しょうがないなぁ」
私はロープが落ち着くまで、彼女を包み込んだ。