第55話 火葬場
……次の日の朝。
私たちは、ロードモンスターに荒らされた街を歩いていた。
死体は全て広場に運ばれ、その場で火葬され、人々は瓦礫の片づけに追われていた。
……所々に血痕が残っていて、一連の出来事がどれだけ酷かったのかを物語っている。
「うぅ……パパ……」
「なんで……俺より先に行ってしまったんだ……」
「こんなの……あんまりだよ……」
……広場にある臨時の火葬場。
火葬場……とは言ってもかなり簡易なものだ。
木材を搔き集め、まるでテントのような形にし、そこに火をつける。
その中に遺体を入れ、一斉に火葬する。
人々は花を手向け、遺族と思われる人々が写真を片手に跪いていた。
教会の関係者が祈りの言葉を言い、人々は涙を浮かべる。
「神は言いました、死とは終わりではなく……始まりの……グスッ……」
……祈りの言葉を捧げる教会の関係者も涙を堪えきれていなかった。
恐らく彼らの関係者もやられてしまったのだろう……そう思うと、自分がとても悔しい。
……私たちは彼らの遺志を継ぎ、街の境界の門に着いた。
「アニマさん……」
「うん、行こう」
私はその場で馬に変身し、ロープは私に跨った。
「さぁ、行こうロープ! ……決着を付けに」
「……はい!」
私は4本の脚を動かし、ガニメディル山へと急行した。
◇
走り続け……大体半日くらいたった。
そろそろ……頂上が見えてもいい頃だと思うが……。
「ちょ、ちょっと……休んでもいい?」
「はい、いいですよ」
その場で立ち止まり、ロープが下りるのを確認すると、私は元の人間の姿に戻った。
辺りの地面は雨が降っていたのか水浸しであったが、私はそんなことを気にしてられず、その場に座り込んでしまった。
「はぁ……はぁ……」
正直……ロープには申し訳ないけど、戦っていた方がマシだ。
人一人乗せて山登りするのってこんなに疲れるのか……。
「アニマさん、大丈夫ですか?」
「だ、大丈夫……しばらくしたら、行こう……」
「……」
ロープは心配そうな表情で私を見つめる。
……そんなに心配しなくてもいい気がするんだけど。
そりゃ山登りはきついけどさ……。
「そ、それじゃ、行こう……って……あれ?」
なんだろう……辺りがぼやけて見える……あれ? ロープ? どこ?
ていうか私は……どこにいるんだっけ? どこに……向かっているんだっけ?
「あ、アニマさん!? だ、大丈夫ですか!?」
ロープの声が聞こえる……だが、私には彼女が見えなかった。
なぜなら……視線が暗闇に覆われたからであった。
「アニマさん! アニマさん!」