第49話 ドラゴンとの決着
これでもう逃げられないし、上空から攻撃も仕掛けられない。
……チャンスだ!
「殺す……殺す!!」
「きゃあ!!」」
……しかし、奴は翼だけが武器ではなかった。
ドラゴンはロープを腕で吹っ飛ばし、殺意を露わにしながら、私に爪を立てる。
私は咄嗟に奴の攻撃を避け、剣のカードを翳した。
『ジョブチェンジ! 剣!!』
私は剣を両手で持ち、奴を切りつけた。
「うぅ……殺す……殺す……」
奴は切り傷を負っても、殺人願望を繰り返していた。
こいつ……正気の沙汰じゃない。
「あんたは殺害を繰り返した……欲を満たすために……私はあんたを止めて見せる!」
私は杖のカードを翳した。
『ジョブチェンジ! 魔法!!』
ドラゴンに弱いもの……私は思い出した。
ドラゴンに弱いものは……氷だ!
ドラゴンの体温はかなり高い、故に一気に冷えると戦闘能力を失う。
そう考え、氷を放とうとするも、奴は一筋縄ではいかなかった。
「殺す! 殺すううううう!!」
ドラゴンはこちらに向けて爪を立て、私に攻撃を仕掛けた。
服が破れ、そこから切り傷を負ってしまい、あまりの痛みに、私は片手で傷口を抑えながら、地面にもう片方の手を着いた。
「はぁ……はぁ……やっぱり強いね」
奴はやっぱり強かった。
私は押され気味だ。
しかし……前と比べると、まだまだ余裕はある!。
「食らえ!!」
まず私は、杖から滝のような水を放ち、奴に目掛けて打ちはなった。
奴は大量の水を被り、隙ができたようだった。
「これで少しは頭を冷やせた? 次はこれ!」
私は氷をイメージし、奴に目掛けて打ちはなった。
すると奴の全身が氷に覆われ、まるで彫刻のように固まった。
水を放った影響もあってか、当たりは氷の世界になった。
あとは……こいつだ!
「よし! ロープ! 行くよ!」
「はい!」
既に立ち上がり、戦闘態勢を整えていたロープに声を掛け、私はすかさず、カードを翳した。
『ジョブチェンジ! 格闘!!』
格闘ジョブに変身し、私たちは走り出した。
一緒に飛びあがり、彫刻に目掛けて脚を向けた。
「とりゃああああああああ!!」
「いけえええええええ!!」
私たちの脚が彫刻となったドラゴンに命中し……奴は……粉々になった。
当たりに氷に粒が降り注ぎ、まるで霰の様になった。
これで……ようやっと……全てが……。
「ぐわぁ!?」
「な、なぜ……」
……終わったと思ったその時、後ろから騎士団員の唸り声が聞こえた。