第48話 欲に負けたドラゴン
「きゃああああああ!!」
「助けてくれ!!」
人々が向こうへ、向こうへと逃げていく。
そんな中、私とロープは人々とは逆の方向へと歩いていた。
「ねぇ、ロープ、ドラゴンってこの間の……女性だよね?」
「えぇ……どうやら、そいつが暴れているみたいですね……」
……確か、前に戦った時、あいつはかなり強かった。
盾ジョブに変身しても、守るのがやっとなぐらいだった。
「……アニマさん、行けますか?」
「……行ける、行くに決まってるよ!」
「……ですね!」
例え強敵だろうと……私たちは戦う……皆のために!
「アニマさん! あそこ!」
「……あれか」
ロープが指を差した先、そこには、屈強なドラゴンがいた。
……なんか、前と比べると、様子が違うように見えた。
「殺す……殺す!!」
……なんだろう、前に奴は「全ての欲望を満たしたものが真のロードモンスターになる」とかなんとか言ってたけど……奴は欲望を呟きながら、暴れている。
……殺意と言う欲望を。
ドラゴンと騎士団員たちが戦闘を続けていて、ぱっと見では、騎士団優勢のように見える。
「アニマさん、私たちも行きましょう!」
「もちろん!」
私は格闘ジョブのカードを翳し、ドラゴンに向かって走った。
『ジョブチェンジ! 格闘!』
私たちは同時に飛びあがり、ドラゴンに向かって蹴りをお見舞いした。
奴は向こうへと吹っ飛ばされ、地面に叩きつけられた。
そのまま立ち上がらなくなり、絶好のチャンスだ。
「おお! あの冒険者は……」
「来たぞ! 勇者様だ!」
騎士団が歓声を上げ、私たちを歓迎した。
いやいや奴をあんな状態にできたのは貴方達のおかげなんだけど……まぁいいや!
「ロープ! このまま行くよ!」
「はい!」
ロープを援護できるように、私は弓のカードを翳した。
『ジョブチェンジ! 弓!!』
ロープはそのまま突撃し、ドラゴンに向かって拳と蹴りをぶつけていた。
「皆さんは離れて! ここは私たちでやるから!」
「はいよ! 聞いたな!? 一旦引くぞ!」
タイタンさんの指示で、騎士団の皆さんは向こうへと引いた。
よし、私も攻撃に参加しよう!
私は弓を弾き、ドラゴンに向かって攻撃を仕掛ける。
矢は奴の翼に命中し、奴はもう飛べなくなってしまった。
これでもう逃げられないし、上空から攻撃も仕掛けられない。
……チャンスだ!