第30話 数秒の決闘
「おい! 話は終わってねぇぞ!」
……話も何もそっちが一方的に言いがかりをつけてるだけじゃない。
めんどくさいなぁ……
「何? 話っていうのは」
「テメェ、今日という今日ははっきりさせてやる! テメェらみたいな雑魚どもに稼ぎで負けるのは癪なんだよ! 決闘を申し込むぞ!」
「……はぁ?」
決闘? いきなり何言ってんだ? この男は。
そんなに私が気に食わない?
「あのさ、なんで貴重な時間を使ってアンタと戦わないといけないの? こっちは生活費かかってるから嫌なんだけど?」
「お? 逃げるのか? 腰抜けが」
「……あのさ、アンタいくつよ?」
まるで小さい子どもの煽りを聞いてるみたいだ、実際思考回路はそんなんじゃないだろうか?
なんかめんどくさいな、もういいや、乗るか。
「よしわかった、決闘しようか」
「おう? やる気か? じゃ、表出ろや」
「いや、ここでいいよ」
私は魔法ジョブのカードを取り出し、変身した。
『ジョブチェンジ! 魔法!』
私はローブを纏い、イメージした。
「はい、転んで」
「どわぁ!?」
……イメージ通り、カロンはまるで氷の上に乗っていたかのように、転倒した。
はい、勝負ついたね。
「はい、私の勝ち、なんで負けたかはゆっくり考えて、できれば一生考えててほしいけど、じゃあね、行こ、ロープ」
「はい!」
私は再びロープと手をつなぎ、受付へと向かった。
「……全く、馬鹿の相手をするのも疲れるね、僕のかわいい弓もそう言ってるよ」
「ベーだ! お前らなんかダンジョンで死んじまえばいいんだ!」
「いってー……まぁいい! ヒドラ、ニクス! あんなアマ、すぐくたばるよ、行こうぜ!」
後ろからそんな声が聞こえた。
……酷い言いようだ、私たちは親の仇か何かか?
ま、気を取り直して、受付行くか……。