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第17話 飛び出す仲間と過去

「……あの、査定……終わりましたけど……」


 ……担当している受付の人がそう言ってきた。

 私は冷静になり、カロンを突き放した。


「……二度とロープを侮辱しないで、次ロープを侮辱したら……」


 ……ぶっ倒す。

 そう言いたかったが、ロープが今にも泣きだしそうになっていたので、言葉を飲み込み、受付の人についていった。


「行こ、ロープ」

「……はい」


 ……ロープの手を掴むと、震えていた。

 カロンの奴……自分より弱いと判断した奴には容赦がない。

 ましてやこんなにかわいくて、強くて、健気な女の子を泣かせるなんて……最低。

 ……ロープ。


「……カロンの野郎が言ったことは気にしないで、ロープが強い子だっていうのは私がよく知ってるから」

「……ありがとう……ございます……ごめんなさい……私……外にいます!」

「ちょ、ちょっとロープ!」


 ロープは……私の手を振りほどいて外に飛び出してしまった。

 ……今はそっとしておいた方がいいのかな……お金貰ったら、ロープに何か買ってあげよう。


◇ ~ロープ視点~


「お前はもう追放だ、エウロプ」


 会合の席、突然開口一番、そんなことを言われた。


「……こいつは慰謝料だ、とっとと出ていけ」

「……はい、今まで、ありがとうございました」


 ……私は慰謝料を受け取って、建物を後にした。

 正直、この扱いにはもう慣れた、慰謝料を貰えるだけありがたい。


「……また、探さなきゃ」


 ……私の冒険者ジョブは格闘。

 武器を遣わず、己の肉体で戦うジョブだ……体力には自信があったので、このジョブは嬉しかった。

 ……私の種族は今まで差別され続けていた。

 私が産まれたころには大分マシにはなったが、それでも一部ではまだ偏見がある。

 親は常にこう言っていた、「私たちがやるべきことは、差別する者を憎むのではなく、差別する者ができないことを完璧にこなすことだ」と。

 だから私は……ひたすら鍛えた、己の肉体を。

 ……何故そう言う決断に至ったのかと言えば、祖母がしてくれた昔話が発端だった。


「勇者様の伝説、知ってるかい? 冒険者だった勇者様は、様々なジョブを持っていて、それはもう素晴らしい方だったんだよ」


 ……そんなことを話してくれて、私もそうなりたいと……そう考えて、まずは体力作りからだと考えたのだ。

 なんどもなんども……それはもう、筋肉が引きちぎれるくらいに。

 ……気が付くと、体力面においては、他の人には負けないくらいにはなった。

 両親は、こんなところにとどめておくのはもったいない、とかなんとか言って、王国の中心部……王都へ行け、と言ってきた。


 ……実家に居たい気持ちもあったけど、ここで行かなかったら一生行かないかもしれない、そう考えて、私は飛び出した。

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