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第13話 お墨付き

「……で、君の名前は?」

「アニマです……ジョブは……」


 ……やっぱり言いづらい。

 変身なんて凄い変わってるし、何より……。


『……以上の事から、僕はアニマの追放を所望する、2人は?』

『俺も賛成だ、アニマ、今日からお前はクビだ』

『アタシも賛成―、二度と来るなよ、この役立たず!』


 あの3人に言われたこと、アレが忘れられない。

 もしもジョブを伝えたら……タイタンさんは拒絶するだろうか? 蔑むだろうか?

 そんな不安が私を支配した。


「なんだ? 見た感じ冒険者なのにジョブが無いのか?」

「あ、あります……けど……言い辛いです」

「ほう、別に笑ったりはしねぇよ、こんな凶暴な奴をぶっ倒したわけだし、笑ったりはしねぇからよ」

「……」


 笑ったりしないか、本当だろうか?

 ……タイタンさんの顔を見る限りは、信用しても良いかな。

 それに仮にも騎士団の団長だし、あとで何されるか分からないし。


「私のジョブは……変身です。変わってますよね? 動物やモンスターに成りきることしかできない……どうしようもない奴ですよ、私は」


 私は自信なさげにそう告げる。

 実際事実だ、この魔道具が無ければ、私はただの動物に成りきれるだけの落ちこぼれ。


「なるほど……変身か! これは面白い!」

「……え?」


 お、面白い?


「……おかしいとか、変わっているとか、思わないんですか?」

「別にジョブなんて元からおかしなものだろう? 冒険者になっただけで付与される摩訶不思議なものだ、変身なんて言うジョブがあってもおかしくはない……だよな? お前ら」


 タイタンさんは部下である騎士団員に向かって同意を促すように言った。

 ……なんか言わされてる感があるな、まぁいいけど。


「ま、そういうわけだ! 別に恥じる必要はねぇよ!」

「は、はぁ……そうですか」


 まぁ、彼女が言うならそうなんだろう、多分。


「とまぁ、現状喋るモンスターに対抗できる力を持っているのはお前らってことだな……よし! 決めた! 本日よりお前らを『騎士団預かり』に任命するぜ! 私のお墨付きでな!」

「はぁ……えぇ!?」


 き、騎士団のお墨付き!? ほ、本当に!? そ、それって……。


「す、凄いですよアニマさん! 騎士団長さんから直々にお墨付きをいただきましたよ!」


 ……ロープが復唱してくれたおかげで、さっきのタイタンさんの発言が聞き間違いじゃないことを証明する。

 ……これが意味するもの、それはこの王国の武力の最高峰から認められる……こんなに名誉なことはない。

 少なくとも実家にいた時にもない。


「それでは、頑張ってくれよ! 私たちはこいつの始末をしておくから休んでおくと良い、頑張ってくれよ! 2人とも!」


 ……私たちは嬉しさをかみしめつつ、宿へと戻った。

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