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ライトの足跡

2023/02/16 プロローグ追加しました。


 少年ライトは至って普通の一般家庭に生まれた。


 一軒家に母と父との3人家族。特筆すべきことはないが少し貧乏、今にして思えばあれが幸せだったのだろう。そう彼は思う。


 家電は真空掃除機と洗濯機、ラジオがひとつある程度。

 家に帰ればお母さんが暖かいご飯を作ってくれていて、たまの休暇で父が遠くに旅行に連れて行ってくれた。


 彼が通っていたのは泥町の公立小学校だった。

 トモダチは多かったが、長続きする者はいなかった。

 集まりでも、解散時になぜか彼が空気の読めないことを言って終わるのが恒例。

 皆が2人3人で帰る中、彼はいつも1人だった。


 丁度卒業式の日だった。

 進学する中学も決まりきちっとした格好できめていた少年ライトは満足に動けなかった。

 魔獣が卒業式を襲撃したのだ。


 カラスのような黒い鳥の魔獣であった。彼らは群れで何人もの少年少女を食い漁った。


 父と母は彼を逃してくれたが、かの一家は欠員を出した。

 残った母も心に傷を負ってしまった。


 程なくして、くたびれた家に彼だけが残された。

 家の中からは異臭がすれど引っ越す余裕などない。


 結局、彼は中学に行かずに仕事をすることになった。


 泥町の新聞会社。その配達業だ。

 同じ境遇の子供がたくさんいる中、少年でもできて最低限の小遣いが出るのはいいことだった。

 給料をたびたび抜かれるのは仕方がないことなのだろう。


 結局それから3年間、季節が移り変わっても代わり映えのない毎日だった。



 それが今、どうしてこんなことになっているのだろうか。そう彼は思う。

 自分は新聞屋の配達人であったはずなのだ。

 それなのに、急に町に天魔がでてきて、急に剣を持たされて、気がついたらお引っ越ししていた。


 ライトは殺風景な広い部屋で同い年位の少年と向き合っていた。

 少年はライトにむけて殺意のこもった眼差しを熱烈に送っている。


 白衣の少女がライトを見守っていた。


 ライトの手には翠緑(すいりょく)の西洋剣が、彼の手先には巨大な竜の腕が伸びている。


 竜の少年が彼に悪態(あくたい)をつく。


「さあ、剣を抜いてみせろ詐欺師め! 神話の力とやら、この俺が見極めてやる」


 状況がよくわからないが、彼は剣を構えることで少年に応える。

 『退魔の剣(レーヴァテイン)』。なぜか彼にしか使えない、伝説の剣だ。




次回は主人公がまだ新聞屋で働いているところから始まります。

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