八話
サトライザー家とは・・・!?
サトライザー家の者には魔族の血が流れている。そのことは王族と、上位貴族しか知らない。
今の魔王は十七代目だ。四代目の魔王の時代、我らの祖先は魔王を裏切り人間の国に亡命した。四代目の魔王、名をアルドーといった。彼は無能であった。膨大な魔力はあったが魔法はあまり使えず、魔を操るのも下手。頭も悪く、武芸に至っては最悪だ。しかし彼は更なる権力を求めた。
元々は、全ての魔族が魔王の支配下にあったわけではない。しかしアルドーは更なる権力のため、全ての魔族を支配下に置くことを命じた。部下は優秀な者が多かった。そのおかげで、アルドーは全魔族の支配権を握ったのだ。ここで満足していればまだ良かった。
だが彼は更なる権力を求めたのだ。彼は部下の一人に命じた。『人間を支配下に置け』と。
その部下が、未来のサトライザー家当主だったのだ。名をヴァル、彼はとても優秀だった。だから彼は気づいていたのだ。人間は魔族の下なんかではない、同盟に値する種族であると。そして彼はアルドーのことを半分ほど見限っていた。自らの上に立つべき者ではないと。そんな彼にアルドーは命じてしまったのだ。考えなしの、馬鹿なことを。ヴァルは自らの一族を集め、一番近い人間の地へと向かった。
人間の王は彼らを歓迎した。その時の人間の王はとても賢かった。王の名を、ファーレン・エンペル・シャドネイラーといった。ヴァルはファーレンを自らの上に立つに相応しいと判断した。そしてその他貴族も集まった会議でファーレンに跪き忠誠を誓った。ファーレンはヴァルたち一族にサトライザーの名を与え、そして侯爵領を与えた。
その時からずっと、サトライザー一族は王に忠誠を誓い、魔に関しての全てを担っているのだ。
魔族の血が流れているルーカスの身体能力は人のを大きく上回っている。先祖のヴァルは上位魔族だ。だから、普通の魔物ではルーカスには敵うことができない。ましてや呪いを付与してある剣を切ることなど彼には容易い。確かに少し前までならば恐ろしいと思っただろう。まだ自分の戦う理由を見つけていなかったから。でも今は違う。
「(しかし陛下はなんなんですかね。魔を操ることに関して、人間にあれほど上手く操ることはできない筈なんですけど。)」
「ルーカス、終わったぞ。」
「もうですか。」
陛下はニヤリと笑った。
「あの程度じゃ、私には敵わないよ。」
「さすがですね。」
あぁ、私たちは似たもの同士のようだ。互いに純粋とは言い難い、真っ黒い笑みで話している。周りから見ると、マフィアのボス同士で何かを企んでいるようにすら見えるだろう。
「で、このあとはいかがなさいますか?」
「そうだな、きっと周りでも脅威の魔物が多く出ているだろう。」
「えぇ。」
「ならば、行かなくてはな。」
やはり似ているようだ。同じことを考えている。
「とりあえず歩いて城壁を一周するか。」
「そうですね、いやでも魔物に会えるでしょう。」
「あぁ。」
黒い笑みを浮かべたまま、私たちは歩き始めた。
「(陛下の戦力がわからず、守りながらSを相手にするのは少しきついと思い、撤退を、と言いましたが、無駄な心配だったようですね。)」
不思議と笑みが溢れてきた。
「なんだ、急に笑って。」
「陛下、貴方様に会えてとても良かったです。」
陛下は目を見開いた。
「陛下、私はあなたに忠誠を誓います。お飾りの王なんかにはさせません。」
「っ!・・・そうか。」
陛下はポロポロと涙を流した。
そして泣きながらこう言った。
「ありがとう。」
他の人の作品を見て、セリフとその他の文の間を開けた方がいいなと思いまして。書き方を少し変えました。これからも他の人の作品を見てより上手に書けるよう勉強しようと思います!
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