表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/25

七話

見上げるほどの巨体、口元の牙、角、手に持つ赤く染まった武器、そしてオーラ。どれをとっても恐ろしいものばかりだ。でも私は怖いとは思わない。私には守るものがあるから。

「ルーカス、敵は魔法も剣術もうまい。油断するな。」

「はい。」

『アイス・ソーン』

氷の茨。これで敵の動きを封じる。

「悪いな。民を守るため、お前には消えてもらう。」

『アイス・アロー』

オーガの心臓めがけて氷の矢を放つ。

「グガァァッ!」

矢は確かに狙ったところに直撃した。だというのに敵は倒れておらず、さらにはこちらに武器を振り翳している。

キィィンッ

「ルーカス!」

ルーカスはオーガの振り下ろした剣を彼の剣で受け止め弾いていた。

「・・・ありがとう。」

彼は振り向いて言った。

「言ったでしょう。私は民を守るあなたを守ります。」

かっこいいと、思った。同時に少し照れてしまい、私は照れ隠しにこう言った。

「し、しかし参ったな。急所を貫かれても倒せないとなると・・・。」

「オーガは角を破壊されると息耐えると聞いたことがあります。」

「角、か。」

「随分と高いところにありますね。」

「まぁ、高さは魔法でなんとかなるだろう。問題は・・・。」

「?」

「あの剣だ。」

ぱっと見、柄の部分は黒地に赤で装飾されていて、美しい普通の剣に見える。だがあれにはおそらく一一

「呪いが付与されているな。」

「っ!」

「アレはおそらく血により強化される。厄介だな。」

「つまりアレに血が新たに付く前にアレを壊せばいいんですね?」

「できるのか?」

「お任せください。」

あの剣さえなければおそらく倒すのは可能だ。ありがたい。

「ならばあの剣を壊せ。そしたら私が角を破壊する。」

「お任せください。」

彼は髪を結び直し、ニヤリと笑った。少し、いや、だいぶ黒さの滲み出た笑みだった。

「我が一族の名にかけて、アレを破壊してご覧に入れましょう。」

不敵な笑みでそう言う彼はやはりカッコよかった。



〜ルーカスの目線〜

私は腰ほどまである黒く長い髪を結び直した。いつも集中する時はこうしている。

いよいよ我が一族の本領発揮。そう思うと気分が高揚して自然と笑みがこぼれてしまった。純粋とは言い難い、黒い笑みが。

「我が一族の名にかけて、アレを破壊してご覧に入れましょう。」

私はオーガに切り掛かった。何回か剣を交え、一度離れる。術は唱えられた。あとは実行するのみ。オーガに素早く駆け寄ると、オーガは剣を構えた。

「予想通りです。」

予想することが容易く、単調な動き。

「そんな腕前で、私に敵う訳が無いでしょう。」

剣を横向きに構え振った。次の瞬間オーガの剣は真っ二つに割れた。同時に呪いも解けたようだ。

「天と地ほどに差があるんですよ。私とあなたでは。」

すぐさま後ろに下がり、私は冷たく笑いながら言った。

「さすがだな。ルーカス。」

「ありがとうございます。さて、あとはお任せしても?」

「あぁ。もちろんだ。」

陛下は微笑みそう言った。獰猛な笑みだった。



サトライザー家。表向きは国に長年勤める普通の(・・・)侯爵家。しかしその実態は、

『国王に長年仕えている魔の一族』

その名の通り、魔についての全てを担う一族。表向きは国王の次に宰相がくるが、実際は我が一族が貴族内で一番権力を持つ。なんせこの国は魔と深く関わりがあるのだ。魔に詳しく、魔を操る我らはこの国に重宝される。

我らは他とは比べ物にならないほど多彩に魔を操る。

それは我らに魔族の血が流れているからだ。

サトライザー家について、詳しくは次回で!!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ