三話
本日二話目の投稿。
女王ラディアとアストルの婚約破棄、そしてルーカスとの婚約の発表で国は大いに盛り上がった。女王もルーカスも国民に人気だった為だ。国中がお祭り騒ぎの中、王宮の一室ではラディアとルーカスが向かい合って食事をしていた。
「陛下。」
私はルーカスをギロリと睨んだ。
「っ、ラ、ラディア?」
「うむ。なんだ?」
「どうしても陛下呼びはダメですか?落ち着かないというか・・・。」
「ダメだ。昨日、話し合いの末に決まったことであろう。」
「そ、それを言うならラディアも、二人の間ではその喋り方をやめるって決まりましたよね。」
無理だ!ルーカスの前では普段の喋り方はできない!今更恥ずかしいっていうか・・・。はじめて出会った時もこの喋り方だったし・・・。
私は過去を思い返した。
〜数年前〜
あれは私が15、ルーカスが19の時だった。このとき私はまだ女の格好をしていた。私は王の役目として、騎士団の視察に行った。ちょうど騎士達が模擬戦中だというので見ていたら、黒髪で長身の青年を見つけた。その人はちょうど模擬戦中で顔は見えなかったが私は彼の戦い方に見惚れていた。その時だった。
「危ない!!」
黒髪の青年が驚いたかのようにこっちを見てそう叫んだ。何事かと思ったら、彼の相手をしていた人の剣がこちらに飛んできていた。私は条件反射で剣を足で蹴り手でキャッチした。そしたらなぜか周りの人が目を見開いてこちらを見てきた。なぜ見られているのかと首を傾げていると、黒髪の青年がこちらに駆け寄ってきた。先ほど見えなかった顔を見ることができた。碧眼だったのか。
「大丈夫でしたか!?お怪我は!?」
「私は別に問題ない。この剣、お返ししよう。」
「あの、本当に大丈夫でしたか?」
「あぁ、大丈夫だ。」
「すみません。まさかご令嬢が見ているとは思わず、気にせずに剣を弾き飛ばしてしまい・・・」
「気にするな。私も一応武芸は身につけている。それより名は?」
「あ、失礼。ルーカス・マーキス・サトライザーです。」
彼は綺麗に一礼しそう名乗った。
「そうか。私はラディア・エンペル・シャドネイラーだ。」
その途端彼は大きく目を見開き、跪いた。
「申し訳ありません!女王陛下だと知らずに御無礼を!」
「頭を上げよ。気にすることはない。即位して間もない故な。」
「はっ!」
「陛下。そろそろお時間です。」
「あぁ、もうそんな時間か。ルーカス殿、そなたの戦いぶり、実に見事だった。それではな。」
私は微笑みそう言った。この時はまだ、興味を少し持った程度で、また会うことになるとは思ってもいなかった。しかし私と彼はまたすぐに再会することとなった。
魔物の氾濫、スタンピードが発生したからだ。