二十五話
投稿が遅くなってすみません!!
カースは兄に近づき手をかざした。
兄は———
「ふふ。そんな出会いでしたね。初めて会った時の貴女は可憐で、会うたびにどんどん凛々しくなっていって。」
な、なんだか彼の中で私が美化されていないか?
あの時の私は可憐さのかの字も無い子供だったと思うが・・・
「初めて会った日の別れ際はとってもかっこよくて。あぁ、自分はこの人に仕えるのだなと思ったものです。」
なんだか頬が熱い。
ね、熱でもあるのだろうか。
ルーカスがこちらを見て微笑みかけている。
それを見て、あぁ、素敵だなと思ってしまう私は重症なのだろうな。
「で、ラディア。いつになったら素の貴女を見せてくださるんです?」
「・・・!!不意打ちは、ずるい。言葉遣いは、直せるように努力する、から。」
「ふふ。はい。」
私は思わず目を逸らした。
「あ・・・あの時からもう五年経ったのだな・・・経ったんだね。」
ルーカスと初めて会ったのが15歳の時。一年後にようやく魔族との国交樹立。二年かけて国内の膿・・・国の害を追い出し、周辺国との関係を回復。二年かけて国内の産業を改善し・・・いつのまにか五年経っていた。
私はもう二十。行き遅れ。本当に私でいいのだろうか。
「そうですね。二、三年前の国内のゴミ・・・失礼。害悪を取り除いた時は随分と王宮内の人員が減りましたが・・・今はだいぶ改善しましたね。」
「ようやく身の回りを気にすることができると思ったら婚約破棄。・・・私は女としてはあまり役目を果たせていないな。」
「そうですか?私はむしろアストル様が婚約者の座を降りて嬉しいですがね。」
「?」
「あんな奴が将来貴女のそばにいるなんて許せませんから。」
ルーカスは何かを呟いたが、よく聞き取れなかった。
「今、何か言ったか?」
「いえ、なにも?」
「そうか・・・。」
コンコンコン
「陛下。アザルトでございます。よろしいですか。」
アザルト公爵か。
「入れ。」
「失礼します・・・。おや、お邪魔でしたかな?」
「いや。どうかしたか。」
「ラルキア様のことでお話が。」
兄上のこと?
ふむ。
カースの治療後、兄上にかかった呪いはおよそ四年半かけて消えた。
随分と強い呪いだったらしく治療後すぐには消えなかったのだ。
最近になってようやく歩けるようになったと聞いたが・・・
「呪いが消えた今、ラルキア様にもご婚約者様が必要かと。」
「そう、だな。兄上のところに行こう。・・・ルーカス。」
「はい、陛下。」
私は兄上の元へ向かった。
コンコンコンとドアを叩くと中から声がした。
「どうぞ。」
「兄上、お元気そうで何よりです。」
兄上はだいぶ顔色も良く、以前よりずっと元気そうだった。
「ラディア。どうかした?」
「兄上の、ご婚約者のことでお話が。」
兄上は一瞬目を見開いて軽く頷いた。
「そう、か。そうだね。私もそろそろ考えなくてはいけないね。」
彼は私に微笑みかけた。
「ラディア・・・。陛下、御身の御心のままに。」
「・・・・どなたか良い方がいないか、探してみます。」
「ごめんね、ラディア。」
「っ!そんなことおっしゃらないでください。」
謝りたいのはこっちのほうだ。
兄上の人生を私が壊してしまった。
私がいなければよかったのに。
なのに、何故兄上が謝る?
悪いのは、悪いのは全て,私なのに。
「お前にそんな顔をさせたかったわけではないんだ。不甲斐ない兄ですまない。」
「でも、悪いのは全て私で・・・」
「違うよ。ラディア。お前は悪くない。だから・・・お願いだから、そんなに泣きそうな顔をしないでくれ。」
「でも兄上を不幸にしてしまったのは・・・」
「ラディア。」
落ち着いた声で、兄上は私を呼んだ。
「私はお前みたいな素晴らしい妹を持って幸せだよ。お前のせいで不幸になったわけじゃない。お前のおかげで、幸せなんだ。」
でも、でも、私は
「お前が笑っているのが、私は一番幸せなんだ。だから笑っていてくれ。」
「・・・はい、兄上。」
あなたのような兄を持って、私も幸せです。




