二十四話
「ようやく目覚めたか、カース。」
目を覚ましたカースは、魔王の声を聞くと顔を青ざめさせ目に涙を溜めた。
「あ・・・へ、いか・・・。これ・・・、ちが・・・!」
魔王はニコリと笑い
「お・ま・え・はーーーーー!!!なんてバカな真似しおったんだ!!こんの馬鹿者!!!!」
勢いよくカースの腹に拳を叩き込んだ。
・・・大丈夫か、あれ。
魔族は体が丈夫だとは聞いたが・・・。
「スビバセン・・・・・・・。」
「お前がやったことがどれだけのことを引き起こしたのか!!!!わかっているのか!!!!!?どれだけ!!どれだけ心配したと思っている!!!??」
「ホンドに゛・・・ごめ゛んなざい゛・・・・・え?」
カースはポカンと口を開けた。
「お前が人間に呪いをかけていることを知って!!誰かに脅されているのではないかと!!操られているのではないかと!!!どれだけ心配したか!!!!!」
本当に、感情が出やすい人だ。
魔王はボロボロと涙を流した。
カースは驚いたようにそれを見ている。
そして顔をクシャリと歪め泣き出した。
「ごめんなさい・・・ごめんなさい・・・。」
なんて感動的な場面だろう。
第三者目線ならば微笑ましく見守っていたい・・・・が、私は他人ではない。
私はゆっくりと二人に近寄った。
カースはそれに気がつくと泣きながら謝ってくる。
「貴女も・・・・本当に、ごめんなさい・・・」
まさか私が憎く思っていたのがこんなやつだなんて。
復讐したかった奴がボロボロと泣きながら謝っている。
これを望んでいたはずだったのに、なぜかちっとも心が晴れない。
家族を殺した奴を見つけて、復讐して、そうしたら気が済むと、この思いが消えてなくなると思っていたのに。
私は、一体どうするべきなんだ・・・?
「・・・カース。」
「はい・・・。」
「私はお前を許すことはできない。決してだ。」
「はい。許されるなどとは思っていません。」
「私はお前に、復讐したいと、ずっと・・・思っていた。」
魔王も、ルーカスも、黙って聞いていた。
カースはどこか吹っ切れたような顔だった。
憎いほど清々しい顔だった。
殺されてもいいと、思っているのだろう。
「でも、本当にそうなのか、分からないんだ。自分は復讐がしたかったのか?復讐できたら、満足できるのか?分からないんだ。・・・・だから、まだ私は、お前に復讐しない。許すわけじゃない。私の中に答えができるまで、しない。」
「はい。」
魔王がゆっくりと口を開いた。
「カース、貴様に償いの意思があるならば、彼女の兄君の呪いを解いたらどうだ?解けるだろう?」
「み、見てみないことにはなんとも・・・。」
兄の元へこいつを連れて行くのか・・・。
おそらくもう何かすることはないだろう。
わかってはいるんだが・・・。
「・・・兄の元へ連れて行く。少しでもおかしな真似をしたらその首を刎ねる。忘れるな。」
「・・・はい。」
私は彼らを連れて転移した。
カースがボソボソと魔王に何か言っている。
「あの・・・何故あのお方は転移できるのです?魔族でもできるのは少数だというのに・・・。」
「知らん。あやつは色々と規格外なのだ。」
なんだか失礼なことを言われている気がする。
ま、まぁ、いい。
そんなことより、兄の呪いを解いてもらわねば。
カースはゆっくりと兄に近寄った。




