二十二話
「これでもまだ、お前は自分のしたことを思い出せないか?」
ゆっくりと、怒りを込めて、その人間は僕にそう言ってきた。
僕たちがさっきまで見ていた景色、その中に、僕がいた。
その僕は、この人間の両親を殺し、兄を呪った・・・らしい。
でも、こんなことした覚えはない。こんなの僕じゃない。
僕はこんなふうに、殺すことを楽しんでなんか、ない!
なのに、人間は僕を憎しみや、怒りのこもった目で見てくる。
魔王様まで、僕を冷たい目で睨んできた。
僕がやったんじゃ、ないのに。
「カース。貴様は、協定を破ったのか。ヒトを、殺したのか。呪ったのか。答えろ。」
「ちが・・・僕じゃな・・・」
「ざけんな。これが、お前じゃないというならば、これはなんだ。お前ではないなら一体誰なんだ?」
魔王陛下が、人間が、僕を責めるようにキツく問いかけてきた。
どうして。なんで。
僕じゃないのに。
こんなの僕じゃない。
でも、もし、僕が、やっていたら・・・?
不安になった僕は、自分の記憶を見た。
僕は確かに、人間を殺し、呪っていた。
「あ・・・あぁ・・・あ・・・あ゛ぁ!!」
うそだ!
うそだ!
僕じゃない!!
やってない!!
でも僕の記憶は、僕がやったといっていた。
嘘だ嘘だ嘘だ!!
僕じゃない僕じゃない僕じゃない僕じゃない!!
「違う違う違う!!僕じゃない僕じゃない僕じゃない!!いやだいやだいやだ!!」
魔王様が、呆然としたような顔で僕を見てきた。
「お前・・・俺の魂に、触れたのか。」
「・・・え?」
「ラディア殿。こいつを殺してやれ。これから先、望まぬ殺しをするより余程良いだろう。」
「ま・・・王、陛下?」
僕を、殺すって・・・?
どうし、て・・・
そこで、僕の意識は途切れた。
今回はとっても短め。




