二十話
「死霊術・・・。フ、フフフ。やはり血は争えないものですね。」
「余裕そうですね。」
「死霊たちを操るならば、あなたには負担がかかるはず。ましてやただの動く骨など・・・。造作もない。」
その余裕がいつまで続くやら。
『襲え。奪え。本能のままに。』
「そんな単純な指令で意味があるとでも・・・!?」
「さぁ?見てればわかりますよ。」
骨たちは本能のままに一直線に敵に向かう・・・ことはなかった。
死霊たちは元は人間のものもいる。そのなかには、軍人もいる。
死霊が役立たずになってしまうのは術者が使いこなそうとするからだ。細かく命令を出すから、本来の能力を発揮できない。
まぁ、こう言えるのも普段「見えてる」からかもしれませんが・・・。
骨たちはお互い連携して、敵の手を狙って攻撃した。
さっき敵が砕いた剣。あれは魔鉱石が使われている。死霊たちは、魔鉱石に群がると言われている。
ある死霊の攻撃を防いでいると別の方向から攻撃がくる。
炎属性の攻撃を防いでいたら反対から水属性の魔法攻撃をされる。
流石に敵は余裕ではいられなかった。
さて、私も追い込みに行きますか。
「動く骨など造作もない・・・でしたっけ?」
「舐めるなよ・・・。混じり物のくせに!!っ!!」
その言葉を聞いた瞬間私はそいつの首に剣を当てた。
首からは血が滲み出ている。
「二度とその呼び方をするな。殺すぞ。」
「貴様など我が君が秒殺してくださるでしょう!!しかし、お休みの邪魔になってはいけません!!『水と火、相なれない二つの魔力よ。爆ぜよ!爆発!!』」
そいつは・・・
自爆しようとした。
っ!まずい。
その時だった。
敵の背後から声が聞こえた。
「忠義のために命を落とすか。くだらない。」
陛下だった。
彼女は軽く指を動かし魔力の流れを緩め、止めた。
敵の魔法が実行されることはなかった。
「本当に主を思うならば、命を落とさず彼と共に逃げればよかったものを。」
陛下は敵にぐっと顔を近づけた。
「それとも、あの程度の魔法で私たちを倒せると思っていたとでも?」
「ヒ、ヒィイイイ!!」
「悪いが、少し眠っていてくれ。」
陛下がハンカチを出して敵の口に当てると、敵はガクッと崩れ落ちた。
眠ったようだ。
「さて、カース君は休んでいるとかなんとか言っていたかな。」
「そのようですね。行きましょうか。」
「待て待て待て。呪いを解かせたいのだろう?」
「「殺せば呪いは解けるでしょう?」」
殺せばその他諸々の呪いも解けて万々歳だ。
うん、これでいい。
「いやいやいや・・・」
「何か問題でも?」
「大いに問題ありだ。殺されては困る。」
「別にいいけどな。素直に呪いを解いてくれるなら、な。」
魔王に従わないというなら素直に呪いを解いたりしないだろう。
「まぁいい。とにかく行って決める。」
「うむ。」
「かしこまりました。」
私たちは奥へと歩き始めた。
しばらくすると、ある部屋に辿り着いた。
「ここだな。」
「えぇ。」
「失礼するぞ。」
陛下はガチャリとドアを開けた。
真っ暗だった。
奥の窓に、一人の男が腰掛けていた。
白銀の髪、真っ赤な瞳。
彼がカースだろう。
カースはこちらを向くと、立ち上がってこちらに微笑みかけてきた。
「やぁ、お客人。よくきたね。大したおもてなしもできずに申し訳ない。」
含みのない、友好的な態度で。




