十八話
数日後、魔王が数人の共を連れて城にやってきた。
「ようこそ、魔王陛下。」
「久しぶり・・・というほどでもないが、元気そうだな。」
「本日は何用ですか?」
「うむ、貴殿の国と、同盟を組みたい。それについて、話をしに来た。」
同盟、か。
私としてはとてもありがたい申し出だが、この城で私の発言力はほとんどない。
口達者な大臣たちを説得できるかどうか・・・。
「すぐにとは言わん。国内で存分に話し合ってくれ。」
「申し出はとてもありがたいのですが、私にここでの発言力はほとんどありません。私が家臣たちを説得させるのには無理があるかと。」
それを聞いた魔王は顔を顰めた。
「どういう意味だ。発言力が無いとは。貴殿はこの国の王であろう。」
「私は即位して間もないですし、女ですからね。女王などというのだそもそも異例なのですよ。本来であれば私の兄が即位するはずだったのですがね。」
「そういえば、兄君がいるのだったな。面会できるか?」
私は少し考えた。
「いいでしょう。案内します。」
私は魔王を兄が寝ている場所へ案内した。
「ここから先で、少しでも怪しい動きをしたら———斬ります。」
私は魔王をまっすぐと見た。
「ゆめゆめ、お忘れなきよう。」
私は彼を部屋へ入れた。
そこには兄が寝ていた。
私と同じ炎のような赤い髪はボサボサで耳の下で軽くまとめていた。
顔は青白く、呼吸も浅い。
そして何より、顔に、黒い模様が出ていた。
耳の横から頬にかけて黒い線が一本ずつ、額には黒い魔法陣が浮かんでいる。
兄は、私を庇って呪いを受け、こうなった。
「これは・・・あやつの呪いか・・・?」
魔王が小さく呟いた。
犯人に心当たりがあるのだろうか。
「すまぬ。兄君の解呪をできればと、思ったのだが・・・。我にはできそうにない。」
「魔王であるあなたに、解けないと?」
「これはおそらく、カースという悪魔族の男がやったものであろう。あやつめは我の支配下にない。あやつ目を制御することは、我にはできぬのだ。」
カース、か。また新たに情報を手に入れることができた。
だが、魔王の支配下にないとなると・・・
「いっそ、そいつの元に乗り込むか・・・?」
私はボソリと呟いた。
魔王はギョッとした。
「正気か?」
「冗談でこんなことは言いませんよ。」
今、ルーカスはこの場にはいない。
彼は騎士としての役目をこなしている。
私を止められるものは、今いないのだ。
「もし、本気で行くというのならば、我も行こう。」
「あぁ、それは助かりますね。では早速、そいつの居場所を教えていただけますか?」
「うむ。今そやつめは———」
私は魔王からできる限りの情報をもらった。
乗り込む支度をし、ルーカスを呼んだ。
「ちょっと今から出かけるんだが、お前も来ないか?」
「ちょっと、な雰囲気ではありませんが。陛下の命とあらば喜んで。」
「じゃあ、行くぞ。」
「はい。」「うむ。」
私たちはカースがいるらしい場所の近くへと転移した。




