十四話
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『天より出し大いなる風の精霊よ、我が声に応えたもう。虚空に風を起こせ。荒れ狂え。見えなき無数の刃で彼の者等を切り刻め。 召喚・ガルーダ』
詠唱と共に私のそばに魔法陣が出て中から二対四枚の鳥のような翼を生やした人型の精霊が現れた。
『敵を切り刻みなさい。』
私がそう命令するとガルーダは動き始めた。四枚の翼で自らを包み込み魔力を溜め、翼をバサリと広げた。
翼から勢いよく羽が何枚も飛び出した。羽は勢いをそのままに旋回し近くの敵を切り刻んだ。辺りに敵がいなくなると羽は光り、弾け、消えた。
『ガルーダ、帰還———「っ!陛下、お逃げください!」
ルーカスがそう叫んだ。そちらを見てみると、グレイシャーは敵対心をあらわに歯を剥き出し威嚇していた。二人の視線先にいたのは——
「上位魔人・・・?」
「いいえ、陛下。あれは・・・」
『逃げろ、主!!あやつに近づいてはならん!!あやつは・・・今代の魔王だ!!』
魔王。全ての魔族、魔物の主。恐れの象徴。
「ついに親玉の登場ってか?」
魔王は歩みを止めずそのまま私たちに近づいてくる。そして跪いた。
「・・・は?」
「お初にお目にかかる。我が名はダグルス。魔王である。」
良くわからない・・・が、まぁ会話ができるから人として扱えばいい・・・のか?
「お初にお目にかかります、魔王陛下。私はラディア・エンペル・シャドネイラー。あなた方が侵略している国の王です。本日は何ようで?」
「あやつらを、魔物たちを止めるため、協力していただきたく参った。」
「協力?私が、あなたに?」
「事の発端は人間。それ教会の人間なのだ。俺では分が悪い。」
「・・・ルーカス。」
私はルーカスを呼んだ。
「はい。」
「ルーカス、彼は本当に魔王陛下ですか?」
「えぇ、確かに魔王陛下です。」
ルーカスを見た魔王はなぜか驚きに目を見開いていた。
「そなた、まさか、ヴァル殿の。」
「えぇ、そうです。彼はヴァルの子孫。あなた方に渡すつもりはありませんよ。」
「あぁ、もちろんだ。ルーカス殿、我が祖先が、誠に失礼をした。心から詫びよう。」
「お気になさらず。無能だったのはアルドーであって、あなたではありませんから。」
さて、彼が本当に魔王なら協力するのは問題ない。
私は魔王をじっと見た。
腰くらいまである赤い髪、金の瞳。髪の間から見える黒い角。膨大な魔力。
教えられている魔王そのものだ。
「いいでしょう、あなたに協力します。」
「感謝する。えっと、人間の王よ。」
「ラディアです。魔王ダグルス。その呼び方はやめてください。」
「す、すまない。」
素直。あれ?魔族ってこんなに素直なの?
なんか、思ってたよりも人間みたい。
『良いのか、主。主は先ほど魔物に恨みがあると。』
「恨みはあるよ。でも、人間の不始末は人間が解決するべきだ。」
「我らに恨みがあるのに、そやつを雇うのか?」
私は魔王を睨んだ。
「別に全ての魔物に恨みがあるわけじゃない。恨みがあるのは一部の上位魔族だけだよ。」
「なぜ恨みがあるのか、聞いてもいいか?」
「家族をことごとく魔族に酷い目に遭わされて、殺されて。恨まないはず無いでしょう?」
「『っ!!』」
「私の兄はある魔族の呪いから私を庇って呪いを受け、今も苦しんでいます。妹は十になった頃に誘拐され、今も見つかっていません。両親はどちらも魔族に殺されました。家族だけじゃない。幼馴染だったご令嬢は、行方不明になった後死体で見つかった。私が十歳だった頃だ!こんな状況で、恨みを持たないはずないでしょう!!」
『主・・・』
「それなのに、なぜ私をそばに置いてくださるのです?」
「あなたには恨みはない。それに、私に忠誠を誓う人は少ないから。」
魔王はなぜか悲痛な顔をしていた。
「ならば、ならばなぜ我々に協力する?」
「言ったでしょう、あなたに恨みはないからです。でも、協力するからにはあなたにも協力していただきますよ。」
「そうか・・・。」
「同族が復讐されるのを協力するのは嫌ですか?」
「いや、魔族には人間を襲うなという掟がある。それを破ったからには同族ではない。」
「そうですか。・・・この話はこれで終わりです。さぁ、教会を潰しに行きますよ。とりあえず、城に来てもらいます。」
『テレポレーション』
私たちは城へ向かった。
教会を潰してやろうじゃないか。
この国での教会は腐ってます。
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