プロローグ兼一話 物語は始まる
恋愛っぽいものを書くのははじめてなので、面白くなるか少し不安です。そこまで恋愛ストーリーにならなそう・・・。
楽しんで読んでくださると嬉しいです。
「もう一度申してみよ。」
私は震える声でそう言った。
「申し訳ございません。陛下。我が息子アストルが陛下との婚約を破棄したい・・・と。」
この国の宰相で私の婚約者の父のアザルト公爵は跪きながら私の前でそう言った。信じられん、私のどこがいけなかったのだ?地位はもちろん高い、お金もある、行動の自由は許している、顔も悪くは無いはずだ。
「なぜだ?理由はなんだと言っている?」
「その、運命の相手を見つけたと。」
「は?運命の相手だと?誰だ?」
「サァラ・アール・ドストル伯爵令嬢にございます。」
ドストル伯爵令嬢?・・・ふむ、あの娘か。ああいった可愛らしいのがアストルの好みなのか。ならば私には無理だな。可愛らしいとは程遠い、男装した強気の女王だものな。
「婚約破棄の件、相分かったとアストルに伝えよ。」
「はっ、陛下のご厚意、ありがたく存じます!」
「よい、他には何かあるか?」
「もう一つ、よろしいでしょうか?」
「あぁ。」
良いと言っているのに、公爵はなぜかなかなか言い出さない。私は目で促した。
「アストルとドストル伯爵令嬢との婚約を認めて頂きたいのです。」
「は?」
婚約破棄された相手と、その原因との婚約を認めろだと?ふざけてるのか?
「余の許しなどなくとも婚約はできるであろう。」
「公爵子息と伯爵令嬢では釣り合わず、周りに反対されます。しかし陛下が認めたとなれば・・・」
「はぁ・・・、周りは表立っては文句を言えぬということだな。」
「はい。」
「相分かった。いいだろう、二人の婚約を女王の名の下に認める。これが、余ができる彼への最大の贈り物だな。」
「ありがとうございます。」
「しかしこうなると、余に新たな婚約者が必要だな。」
そう言った途端、公爵は目を逸らした。
「何か良い案はないか?」
「・・・」
公爵はますます目を逸らした。
「外国の王子・・・は近くにちょうどいい者がおらぬ。今回の事情は広く知らしめたくは無い。この国の貴族と婚約するのも無理か。」
「そういうことにございます。」
「参ったな・・・。余の婚約者に相応しいものがおらぬではないか。」
「ふむ・・・どうしたものか・・・。」
「ふむ・・・」
「あぁ!一人ちょうど良い者がおりますぞ!」
「本当か!それは誰なのだ?」
「少し陛下より歳が上にございますが・・・」
「かまわぬ。誰だ?」
「サトライザー侯爵です。」
「サトライザー?記憶にないな」
「おや?陛下も面識があるはずですが?」
「名は何というのだ?」
「ルーカスです。」
その名を聞いた途端、私は顔が赤くなってしまった。
「なっ!ル、ルーカスだと?し、しかし、あの、その・・・」
「独身で、身分も申し分ありません。口が硬いので、事情を話しても問題ないでしょう。」
「で、でも、ル、ルーカスの気持ちも聞いてないし・・・」
ま、まずい。ルーカスのことになると口調が乱れる。
「彼だったらどこにも問題などないでしょう?」
「だ、だってルーカスだよ!」
コンコンコン
私が慌てていたら、ノックの音が飛び込んだ。
「サトライザーです。公爵様に呼ばれ参りました。入ってよろしいですか?」
私は頑張って心を落ち着かせ、頑張って平静を装い返事をした。
「入れ。」
「失礼します。」
扉が開き、一人の青年が入ってきた。黒髪に碧眼。すらりとした長身で、誰もが見惚れそうな美男子だ。
——うん。やっぱりかっこいい。
「それで公爵、御用件は?」
「うむ。陛下の婚約者に貴殿がいいと思ってな。」
「こ、公爵!?そ、そんなにはっきりと言わなくても良いであろう。」
「私が、ですか?」
「うむ。」
公爵は今回のことを彼に話し始めた。
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今この小説入れて、2つ書いてるので、次話投稿が結構遅くなると思います。すみません。