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第57話 ギルド長へ報告

「ぬおっ!?」


 俺達がギルド長室に出現すると……ギルド長は驚いてコーヒーをこぼしてしまった。

 もったいないので、時空調律魔法でこぼす前の状態に戻しておく。


「き、ききき君達は一体……」


「ライゼルだ。いくつか報告があって来た。今時間いいか?」


「あ、えっと……も、も、もちろんです」


 ギルド長をだいぶ動揺させてしまったが、話は聞いてもらえるようだ。


「うお……ギルド長室って、こんな風になってるんだ……」


「バカ、そんなテンションでいる場所じゃないだろ」


 若干一名浮かれている人がいるようだが、まあそれはいいとして。

 早速俺は本題に入ることにした。


「報告は三つだ。まず一つ目、第二の狂乱は無事倒せた。ダンジョンは機能停止状態だが、いずれ復活するだろう」


「しょ、承知いたしました。まさか本当にやり遂げてしまうとは……」


「二つ目、『脱獄者の楽園』についても、撲滅の目処は立った。本拠地も割り出せたので、期を見て近いうちにボスもろとも全滅させる」


「え……この短期間でそこまで!? というか、長年各国の特殊部隊が調べても謎だった『脱獄者の楽園』の拠点をいとも簡単に割り出してしまうとは……」


「緊急報告を入れさせたら一発で尾行できたぞ」


 尾行の難易度自体は、全く大したことなかったからな。

 ボスに報告が必要なレベルのイレギュラーさえ発生させられれば、本拠地特定はさして難しくなかったはずだ。


「そして三つ目は……見ての通り、ダンジョンに取り残されていたパーティーがいたので、連れて帰ってきた」


 最後はサムタスたちの方を指しながら、俺はそう言って説明を締めくくった。


「な……取り残された状態で、生き残っていたパーティーがあったのですか? よく『脱獄者の楽園』から逃げおおせましたね……」


「いえ、私どもは殺されたも同然でしたよ。特にサムタスやミュウに関しては、ライゼル様が親指一つから全治するような回復魔法を開発していなければ、今も死人のままだったでしょう」


 報告を聞いてギルド長が呟いた問いには、ルブリオがそう言って答える。


「ええ……それもう死者蘇生では?」


「違うな。死者蘇生に関しては、俺は自分が殺した生物が対象じゃないとできない」


「対象次第ではできるんですね……」


 それに関しては、もはや魔法ではないがな。

 まあ、そこを説明しだすと長くなってしまうので、割愛でいいだろう。


「報告は以上だ。では俺とメルシャは『脱獄者の楽園』撲滅作戦のためにダンジョンに戻らせてもらう」


 そう言って、俺は三人を置いて帰ろうとした。


「いやはや、色々と衝撃的すぎてすっかり言い忘れましたが……まずは何より、冒険者たちの蘇生――厳密には回復なのでしょうが――ありがとうございます」


 俺が転移魔法を発動しようとして焦ったのか、ギルド長は若干早口でそう言って頭を下げた。


「なあに、第二の狂乱を討伐させてくれたお礼だ」


「とんでもございません。特にこのサムタスたちのパーティーは、当ギルドではかなり貴重な戦力でしてね……その意味でも、非常に助かりました」


 ……え、そうなのか?


「ま、一度はライゼル様に見込まれた人材っすからね。これでも地元じゃ負け知らずなんすよ!」


 思わずサムタスの方に視線を向けると、サムタスはなぜか自慢げにそう口にした。

 よくその台詞を俺に向かって言えるな……。


「……まあともかく、俺達は一旦ダンジョンに戻る。また朗報があったら伝えに来よう」


 今度こそ、俺はそう言って転移魔法を発動した。

 ギルド長に報告に行っていた時間など十分にも満たないから当然といえば当然だが、「脱獄者の楽園」の増援はまだ当分来そうにない。

 待っている間、俺は「船なき海賊団」がいた階層にてメルシャに修行をつけることにした。


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― 新着の感想 ―
[気になる点]  『死者蘇生』の制限に気になる箇所がある。『死者蘇生』の制限として「術者が殺した生物のみ」とあるけど、3つほど違う条件が思いつく。条件Aは「直近の死因が術者である」、条件Bは「最初の死…
[気になる点] 親指だけで生きていたとは? 心臓がないなら血流もないだろうし、脳がないなら思考も記憶もないはずなのになぜ親指だけで死んでない? 軟骨が生きてる状態と死んでる状態ってなに?
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