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やっとあらすじまでたどり着きました(^o^;)暫くあやかちゃんの可哀想な話が続きます。
「クルルルル、キュイキューイ。」
何かが私を押している。
「んんぅ。、、、ハッ。お父さん!お母さん!」
気付いたら家の近くにある丘の上で寝ていた。どうやら押されていたと感じたのは風花の鼻面だったらしい。どうやら空で時間を潰しここにやってきたようだ。
だがそれよりも、、、
「お父さん達探しに行かなきゃ。今ならまだ間に合う。助けなきゃ。」
そう言う私を風花は鼻で押してどこかへ連れていこうとする。
「やめてってば!」
思うようにいかなくてイライラしていた私はつい風花を怒鳴り付けてしまった。
(何で邪魔してくるの?!)
「クルクル、、、。キューン、、、。」
風花は悲しそうに鳴くがそれでも止めない。
そういえばお父さんは私を逃がす前にどこかへ連れていくよう風花に言っていた。
「、、、もしかしてあそこにある家に私を連れていこうとしてるの?」
「キュルルル、キューイ!」
風花が正解だとでも言うように押す力を強くする。確信した私はログハウスに向かって駆け出した。
(お父さんが言うことに間違いはない筈、、、。何か目的があるに違いない。取り敢えずあそこに行こう。誰かに助けてもらわなきゃ。)
近くにまで行くとそこはかなり大きなログハウスだった。行きつけの公園にこんなもの無かった気がしたが、焦っていた私は取り敢えず踏み入れようした。
❬システム起動❭
するとどこからともなく機械的な音声が流れブゥゥーンと音を立て始めた。音が止むとそこには中性的な顔をした人物が透けるように立っていた。
<ようこそマスター。ご用件は何でしょうか。>
「マスターって、、、。それに用件って、、、?命じたら答えてくれるの?」
答えようによってはこんなところで時間を潰せない。
<解。マスターとは人工知能イースに命令する権限を持つ者の事です。イースはマスターのレベルに見合うものをご提供いたします。マスターのレベルは11です。現在ご利用出来るのは、、、聖属性魔法初級です。>
聞いたこともない名前だ。しかし、この状況自体イレギュラーなわけだ。イレギュラーされも利用できるなら利用しなければ。
「聖属性って何ができるの?それってお母さん達を救えるの?」
<解。聖属性魔法初級で出来ることを開示しました。>
◆回復(初級)
◆浄化(初級)
◆加護付与(初級)
「これってここ以外で使えるの?今すぐ行かなきゃいけない所があるの!」
<可。しかし、ラビリンスを縮小する魔力が必要です。マスターはまだその魔力が不十分です。>
「じゃあどうすれば、、、。」
するとスッと風花が出てきた。そして風花の足元に風が渦を巻くと、鮮やかな桃色の光がイースに流れ込んでいく。そしてその後には風花が変身する前の小鳥がそこに居た。
「風花、、、?なんで小鳥に、、、。」
<魔力が補充されました。よって縮小化を開始します。>
その言葉を聞いて私は風花が自らの魔力を捧げてくれたことを知った。
「ありがとう。ありがとう風花、、、。さっきは怒鳴ってごめんね」
身勝手な時分をここまで導てくれたのに献身してくれる風花に申し訳なさと感謝が溢れる。小さな鳥に涙を落とすと、擽ったそうに身震いしてピッ!と返事をした。
<縮小化終了。イースを身に付けますか?>
「お願い、そうしてください!なるべく走るのに邪魔じゃないように。」
すると白い光に包まれた鍵の形をしたイースは私の元へフワフワと漂うとスゥッと胸へ解けていった。
<同化完了。以後マスターの利用したい時に利用できるようになりました。>
とアナウンスが流れた。そうなればやることは決まっている。お父さん達を助けに行くのだ。今行けばまだ間に合うはず。私に何が使えるか分からないけど、きっとお父さんはこの事を知ってて私を逃がしたんだ。
「風花!行くよ!」
「ピチピチ、ピュイピュイ!」
私は家に向かって走り出した。間に合うことを願って。
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思ったより公園からの距離は近くあっという間に家に着いた。
「ゼェゼェ、、、ッンク。ハァハァ、、、。」
息を切らしてたどり着いた家からは先ほどまでの喧騒が嘘のように静けさが漂う。
ガチャ、、、。
「お母さん?お父さん?助けに来たよ!」
「、、、、、、。」
何の返答も聞こえない。嫌な悪寒が背筋を走った。
「お母さん?お父さん?彩花が来たよ!」
今度は大きめな声で呼び掛けた。そして先程程別れた場所であるリビングに足を踏み入れた。するとそこには先程まで荒れていたのが嘘のように綺麗にされた部屋と誰の者かは知れない真っ赤な血が水溜まりを作っていた。
「、、、えっ。お父さん達どうしたの?なんで返事してくれないの?部屋見る限り退治できたみたいだね?彩華心配しちゃったよ。」
お母さん達は消えた。その真実が頭に入ってこない。心配そうに風花が肩にのって顔を伺ってくる。
(っそうだ!さっきの。さっきのあれ使おう。何かしら使えるはず)
「イース!浄化、浄化、浄化して!後ヒールも!出来る限りやってちょうだい!」
しかし帰ってきたのは絶望的な解答だった。
<不可。現在イース、ラビリンスは封印状態にあります。スキルは使えません>
その後も帰ってくるのは同じ文章。頼みの綱が根本から断ちきられた気分だ。
(どうしてこんな肝心なときに使えないの!?)
なら何が出来る?
「あ、ぁあ。そっか。ま、まずは警察に電話しなきゃ。お母さん達探してもらわなきゃ、、、。」
(何で今まで忘れてたんだろう。早く電話しないと。)
大急ぎで階段を駆け上がり自分の部屋へ向かう。そして枕元にあった携帯を震える手で握りリビングに戻ると電源を着けた。血が無ければまるでそこはいつもお母さん達と過ごしていたリビングに変わり無かった。しかし、、、。
「、、、時間が経ってない。」
その画面に表示されたのは私が事件前下に降りる際に確認した時刻から僅かな時間しか経ってなかった。
「そんなっ、、、。どうして?どうなってるの!?」
取り敢えず電話しなきゃ。使命感に駆られ110のボタンを押すが今にも気を失いそうだ。
(これは夢?私の周りがおかしいの?私がおかしいの?)
暫くの呼び出し音の後、警察の方が電話に出た。
「もしもし。こちら◯◯の●●です。」
「お、お母さん達が、、、。お母さん達が居なくなっちゃったの、、、。早く探して下さい!」
「ん?もしもし?おじさんちょっとよく分からないんだけど迷子かな?年齢とお名前を教えてくれるかな?」
「違うの、、、違うの、、、。迷子じゃないの、、、。お母さん達が消えちゃったの。しかもお部屋に血が一杯あって」
「っつ。オーケー。まず君のお名前を教えてくれる?」
「彩華」
「あやかちゃんだね?あやかちゃんは今近くに助けを求められそうな人は居るかな?危険そうな人が近くに居たりしない?」
「居ない、、、!誰も居ないの。居なくなっちゃったの。」
「分かった。じゃあ、今あやかちゃんが居る場所教えてくれるかな?」
そうして暫く会話を続けたところ、どうやら警察の人が来てくれるらしい。そこで気の抜けた私はやっと意識を手放した。