3
「、、、ゃん。、、、ちゃん!」
(誰かよんでる?)
「、、、かちゃん!彩花ちゃん!」
ハッと目を見開くと涙に顔を濡らすお母さんと焦った表情のお父さんの顔が見えた。
「あれ、、、?私何してたんだっけ、、、。」
「彩花、お前は森で倒れてたんだ。」
「森には入ってはダメと言ったじゃない!こんな事になるなら誠に勧められてもここに来るんじゃなかったわ」
お父さんとお母さんの話によるとあの時の光りは森の外まで溢れていたらしい。その光りに気付いたらお父さんたちが急いで駆けつけたら私が倒れていたというわけだ。
「本当に心配したのよ?何も変なところは無い?」
「うん。大丈夫だよ、お母さん。二人とも心配掛けてごめんなさい」
睫に涙の跡が付いているお母さんを見て、流石に申し訳ない気持ちになった。
(あっ。そういえば風花はどこにいったの?)
キョロキョロと辺りを見回しているとお父さんが色が先程より薄くなった桜色の綺麗な孔雀のような鳥を指差して言った。
「探しているのはこの子かい?」
「えっ。風花?」
すると先程まで雛だった立派な孔雀はクルクルと鳴いて返事をした。
「嘘、、、。さっきまで両手に収まるくらいに小さかったのに、いきなり大きくなってる」
「それはね、あなたと風花が理を結んだからよ。」
そう言ってお母さんは説明し始めた。
「この世には以前動物と人間が寄り添って暮らしていた話をしてあげたわね。そう。人間と動物達の絆をより強めるシステムがこの理結びだったのよ。今ではすっかり廃れてしまったたけどね。」
お母さんは悲しそうに話す。そういえばお母さんは何よりも自然を大切にしている。だからこそ、今の暮らしには思うところがあるのかもしれない。
「理結びはね、お互いにお互いを慈しみ合う世界との約束なの。その絆は思い付きで破ってはならないし、もし破ったら天罰が下るのよ。本当に天界は恐ろしいところだからよぉお~く覚えておきなさい。」
「そんなに怖いことが起きるの?知らないまま理結びをした場合でも?」
「えぇ、そうよ。それはね、この世界が始まるときに作られた約束だから。でも、彩華ちゃんは風花のことを大切にするでしょう?虐めるなんてことはしないでしょう?」
当たり前だ。こんなに綺麗でモフモフな子を私が不幸にするわけ無い。いやさせない。この子が私を守ってくれるというなら私もこの子を守ろう。そう誓った。
「うん!勿論そんなことしないよ。だって風花は私のお友達で家族だもん。ずっと一緒だよ!」
そう言ってギュッと風花を抱き締めるとクルルルルと嬉しそうに顔を擦り付けてきた。
「ならいいだろう。だが今回だけだぞ。次にお父さんたちとの約束を破るようなら二週間学校以外の外出は禁止だからな。」
そう言って場は丸く収まったが問題は風花だ。ちょっとじゃないが、大きいし目立つ。確実に。それは両親も思っていたようで
「それにしてもこの子ったら随分綺麗な子ねぇ。私の僕だったルクレティアを思い出すわ。彼女は先に天界に戻ったけれど。でもこの子周りに馴染めるかしら?」
僕って、、、。お母さんは時々変なことを言う。
「確かになぁ。僕もそう思うよ。だがこういう鳥なんだから仕方ないな。」
するとフワッと風が吹いた途端そこに居たのは桜色の小鳥だった。
「えぇ!風花って体も変えられるの?すごすぎる!プ○キュアみたい!」
だがお母さんはそれを見て何か考え込んでいるようだった。
「確かに花風ウグイスは術を扱えるレア種だけど、こんな術使えたかしら?今だかつてそんなこと聞いたこと無いわ、、、。ハッ!?もしかして、、、。」
お母さんは何事か呟いて考え込んでいたようだが、何かに気付いたらしい。急いで帰り支度を始めているお父さんの所へ行き、深刻そうに話し込んでいた。
それからすぐにお父さんたちが呼びに来た。どうやら帰るようだが表情は重い。
「どうしたのお母さん達?」
「いや何ともないよ。ただ私達の娘はすごいなと話してただけだ。」
そう言ってお父さんは私の事を優しそうに見つめ頭を撫でてくれた。そこにお母さんもやってきてギュッと私を抱き締めてくれた。フワッとお母さんの体から良い香りがした。
「さぁ、彩華ちゃん。帰りましょうか?今日の夜ごはんは特別よ~!何と言ったって新しい家族が増えた記念すべき日なんだから~。」
そう言ってお母さんは微笑んだ。私も嬉しくなってやったーとジャンプしながら車に乗り込み皆で歌を歌ったり楽しく過ごしながら帰路に就いた。