不穏
遅くなりましたー!
カンドロス王国王都カンドン 王宮
カンドロス王国の王都カンドンはコルド帝国の帝都サンジュやトバ王国の王都トリスより発展を遂げていた。
この2ヵ国の首都よりも王都が栄えている理由は簡単であった。カンドロス王国は民の生活を優先してインフラをきちんと整備していたからである。
決してコルド帝国やトバ王国が民の事を思っていない事はない。ではなぜインフラがそこまできちんと整備されていないのか?それは彼等と国境を面しているギガ王国が日々、圧力をかけているからだ。
理由は彼の国の領地の半分ほどが砂漠というとても不毛な大地であるためコルド帝国の資源、トバ王国の食糧を欲していたからである。
だがカンドロス王国は半島の先にある国なので国境を面していないためインフラに投資ができるのだ。
水道や下水、街道の整備などがきちんとされている首都にある王宮では会議が開かれていた。
「国王陛下!大日本帝国とは素晴らしき技術を持った国です!そして彼の国と貿易をするメリットとしてこの素晴らしい首都を彼等の持つ技術で今よりももっと素敵な首都にできますぞ!なので今すぐにでも貿易をするべきです!」
大日本帝国の使節と話し合ったティランナーは彼等の乗ってきた馬鹿でかい船を見て今すぐにでも交易を始めたかった。
だがそこで邪魔者が入った。
日本国の使節とあったエルシーだった。
「いえ、国王陛下、私と会見した日本国という国の方が技術にきっと優れていますぞ。彼等はとても大きな船で来航し、丁寧に我々に対応をしてくれました。それに彼等も自らの進んだ技術で我が国のインフラを整備してくれるとの事です、日本国と今すぐ貿易をするべきです!」
こうして2人が睨み合っていると、眉間にしわを寄せた5代目カンドロス国王が口を開いた。
「2人とも醜い争いはよさんかい、それに2人の話を聞いているとどちらもいい条件ではないではないか、だから2ヵ国共交易を始めればよかろう?そして日本国と大日本帝国というのはどちらも名前が一緒ではないか、実は同じ国とかではないのか?そして、お主らによると彼等は国ごと転移してきたと言っているそうだがそれは本当なのか?」
「国王陛下お見苦しいところをお見せしてしまい誠に申し訳ありませんでした。国王陛下の仰るとおりです。ですが日本国と大日本帝国は同じ国ではないと思います。なぜこう思うかと言いますと、それぞれの国が要求してきている資源の量が違います、そして日本国は転移してきたと言っておりました」
「私もお見苦しいところをお見せして申し訳ありません。意見はエルシー殿と同意見であります」
2人は国王陛下に叱られるとすぐにいつもの2人に戻った。
「うむ、分かれば良いがそうか、国ごと転移か、そうか...」
「国王陛下?」
「すまん、考え事をしていた。よし、彼等と正式に国交を結ぶ事に決めよう。滞在しているそれぞれの国の使節殿にこの事を伝えよ、そしてギガ王国との関係が悪く、ギガ王国に攻められた時は安定的に食糧や鉱物が輸出できなくなる可能性があるという事を伝えるのも忘れるな」
カンドロス国王はこのように伝えさせどうにか先進的な技術を持った2ヵ国を自分達の争いに巻き込み、味方につけようとしていた。
日本国 東京都 首相官邸
「では、カンドロス王国とコルド帝国とは正式に国交が結べたのだな?」
「はい、ですが両国ともにギガ王国という国が攻めてきた時には安定的な食糧や鉱物の輸出はできなくなる、と言ってきました。そして更にギガ王国と接触した時はくれぐれも警戒をするようにとも言われました」
「ギガ王国か...厄介な相手が出てきたものだな」
「はい、このままギガ王国が両国を攻め、彼等が制服されてしまった時はまた振り出しに戻る事になる事になってしまう可能性があるので自衛隊の派遣なども考えておかなければいけません」
「随分と心配しているな?まあ私も振り出しに戻って国民達が不安に思うという事にならないように尽力するとしよう」
「そうですね」
有永は自衛隊を派遣する事に乗り気であった。
この中世文明の国が乱立している攻撃的な異世界に来てまで自衛隊を自衛隊のままにしてしまうのもいかがなものか?と思っていたからである。
こうして自由国民党内で憲法9条改正案作成が始まった。
ギガ王国 王都ティルボ王宮内
「侵攻計画は完成したか?」
「はい、もう既に完成いたしました。あとは兵糧を蓄え、彼等に最後通牒を突きつけるだけです。どうせ拒否するでしょうから最後通牒を突きつけた1日後には侵攻を開始する予定です」
「うむ、余は満足だ。今回は国家予算80年分の借金をしてまで聖ミリシマム国から援助をしてもらっている闇取引があるのだ、絶対に負けられないぞ」
「絶対に負ける事はないでしょう、我が軍の兵力は
歩兵30万人、騎兵5万人、地竜300匹、ワイバーン1000騎、そして更に魔導砲というこの世の常識を覆すような兵器が50問もございます、この大戦力がいる限り負ける事はありません。敵は3ヵ国合わせてせいぜい歩兵5万人、騎兵5千人、ワイバーン100騎ほどです。地竜も魔導砲もありません!もうこの戦は勝負が決まったようです!」
「ふははははは!!いつ聞いても超大戦力だな!これなら今回支援してくれた聖ミリシマム帝国にも勝ってしまうのではないのか?ふはははは!我が国が列強になる日は近いぞ!」
「そうですな!はっはっは!」
こうしてギガ国王はもう既に戦勝パーティーの準備を始めていた。
昭和日本 東京府 皇居
ここでは内閣総理大臣の東條英樹が昭和天皇に報告をしていた。
「そして無事カンドロス王国とスルー連邦合衆国、そして更にトバ王国という国とも国交が成立しようとしております。これで我が国はなんとか持ち直す事ができそうです」
「東條総理いつも報告をありがとう。2つ気になった事があるから聞いてもよいか?」
「なんなりと」
「まず日本国という国とはどうしていくつもりだい?
彼等は我々の子孫で私の子孫が天皇をやっているそうではないか」
「はい、日本国には使節を近いうちに送ります。目的は本当に天皇陛下が存在するのかというのもありますが、我々が転移しなかったらどう歩んでいたか歴史を聞くとともに未来の我が国がどれほど発展しているのかを見に行かせます。彼等は我々の偵察艦隊と接触した時、大きくとても速い哨戒機で接触してきました。なので私は彼の国が技術の進歩した未来の我が国だという可能性は高いと思っております」
「なるほど、それについては分かった。そしてカンドロス王国やトバ王国が悩んでいるギガ王国についてはどうする?彼等が攻めてきたら折角我々が頑張って築き上げた外交関係が白紙に戻ってしまう」
「仰る通りです。我々は弱者を助ける誇り高き皇軍です。近いうちに派遣軍を送って我が国の利益を守ろうと思っております」
「うむ、素晴らしき考えだ。その調子で我が大日本帝国の為に頑張ってくれ」
「ありがたきお言葉、それでは私はこれで失礼させていただきます」
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