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中央学園の無個性剣士  作者: 龍華
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13話 無個性剣士と天才姉妹

 突然だが告白しよう。俺は童貞である。

 さらには幼少期の特殊な事情から女の子と付き合ったことすらない。

 そう童貞ガチ勢だ。

 

 俺だって男の子ですよ。

 以前、ザックに茶化されたとき、「俺そういうの興味ないから」とかほざいてましたが、ごめんなさい見栄を張っていました。本当は興味ありまくりです。シークとかあわよくばとか内心は思ってました。


 いや、そりゃ昔から京和の監視ガチガチ状態で生活して来たんですから女の子との出会いなんてありませんよ?チャンスがあれば飛びついていますから。

 ん?仙?そりゃ、あいつは可愛いよ?しかも、自分でいうのもなんだが俺に対してかなりの好意を持ってることも自覚してるさ。だがな、言わせてほしい。


 俺は巨乳派です。


 仙はたしかにとびきりの美少女だが残念すぎるほどの洗濯板だ。

 いや、お前みたいなやつが選り好みするな贅沢言うなっていう意見もわかりますよ。

 でもね、こればっかりは譲れんものがあるのですよ。

 ぶっちゃけシークくらいの乳が仙にあれば俺はいつでもいきます。

 

 だが、正直なところをいうと俺は仙の好意を受ける資格があるような人間じゃない。心のどこかでそう思ってる節があるから踏み出せないのも事実だ。

 なんやかんやで仙を始め女の子と2人きりとかそういう状況にもなったこともないし、そこまでの関係に発展しないのもまぁ、仕方ないだろう。


 そう、今までそういう状況がなかったから…


 ここは小さなアパートの一室。

 六畳のダイニングキッチンとリビングの1DK。この小さな空間に男女が2人きり。

 今現在の俺の状況は、さっき連れ帰った謎の少女、「弥勒」との夕飯(本人の希望で俺お手製ハンバーグ)を終え、彼女はいま風呂に入っている。

 以前説明したと思うが、俺は一人暮らしだ。

 邪魔などはいるはずもない。

 もしかしたら俺には今、人生初のチャンスが訪れているのではないだろうか。

 覗いたっていいじゃない。男の子だもの。

 さらにはその後大人な関係になってもいいじゃない。

 宿を提供して、ご飯まで作り、お風呂にも入らせているんだ。しかも、素性もわからない見ず知らずの女の子を。

 これくらい見返りがあってもいいんではないでしょうか?

 卒業、させていただいてもいいんじゃないのでしょうか?


 と、いうことでお風呂場へ行こうと思います。

 時刻は20時。俺の人生に革命が起こる時は来た!


 では、いざ!


 俺は軽快な鼻歌が流れる風呂場の方へ一歩ずつ足を進める。

 一歩一歩がまるで重りを引きずっているかのように重く、風呂場までの数mがまるで数光年にも感じるほどに遠い。

 だが、俺の新たなるロードのため、俺は一歩ずつ足を進める。

 ついに風呂場の前に立ち、手をかける。

 一度大きく深呼吸。

 そして、勢いよくドアを開け放ったー!


 


 と、同時に開くはずもないはずの玄関のドアも勢いよく開け放たれた。


「健ちゃん〜!元気にやってる〜!?」

「お兄ちゃん!女の子とか連れ込んでないでしょうね!?」


 俺の開け放ったドアには、買ったばかりの石鹸のいい匂いをまとい、もうすでに着替えが完了した弥勒の姿があり、目当ての姿ではなかったが、風呂上がりの女子とは、これはこれでいいな…なんてこれから起こる惨劇なんて一ミリも考えていない俺の脳は、煩悩で満たされ考えを一度放棄した後、辞世の句を考えながらゆっくりと玄関の方へ頭を動かした。


「姉さん…由宇ゆうちゃん…なんで…?」


 玄関には今まで見たことのない表情の姉と妹がマインドを構えて立ちはだかっていた。



ーー2時間後ーー


「…ん…あれ?」

 意識を取り戻した俺の目に1番に映ったのはいつもの見慣れた天井だった。

「おはよう健ちゃん。意外に早かったね?」

「あ、お兄ちゃん起きた〜?」

 次に目に入ったのは久しぶりの姉の顔。そして耳に入って来たのは少し離れたところから聞こえる妹の声。

「今何時?」

「22時だよ?」

 そうか…2時間か…いや、生きてるだけでよかったと思おう。

 薄れる意識の中で振るわれた無慈悲な暴力が俺のトラウマの1ページに新たに刻まれてしまった。

 弥勒は無事だっただろうか…?

「…そうだ!弥勒!弥勒は!?」

 俺は慌てて部屋中を見渡して弥勒を探した。

 が、意外にも弥勒はすぐ見つかった。


 なんか、めっちゃ楽しそうに由宇ちゃんとゲームしてる。

 よかった?


「で、健ちゃん?」

 姉の顔が眼前に迫り俺は事情の説明を強要される。

 俺はゆっくりと口を開いた。

「実は…」


ーー30分後ーー


「…と、いうわけなんだ」 

 俺は全てを姉妹に説明した。

 俺の話を聞いてる間、2人は弥勒を挟み込んで撫で回していたが、とりあえずちゃんと話は聞いていたみたいだ。

「なるほどね〜…そんなことが…」

「だから、しばらくウチで預かることになったんだ。父さんと母さんには黙っていてくれよ?それよりも、2人はなんで?」

「いや〜、健ちゃん入学してから一回も帰って来てないじゃん?それでパパとママが旅行でしばらく家を空けるから、由宇ちゃんと一緒に見て来て〜って言われて〜…」

「ちなみに、私と由依ゆいねぇは2人が帰ってくるまでここに住むから!あ、これパパとママから!」

「はぁ!?ふざけんな!」

 いきなりのことで頭の整理が追いつかない俺へ妹から紙切れ一枚が手渡される。


『健ちゃんへ。一度も連絡をしなかった罰です。しばらく一人暮らしは没収します☆ ママより』


「あっっっんのクソババァーー!」

 俺は手紙を全力で真っ二つに引き裂いた。

「いや〜、まさか健ちゃんがこんなことになってるなんて、ちゃんとお泊まりの準備して来てよかったね」

「さすが由依ねぇ!」

 返せ!俺の弥勒との二人暮らし(まだ始まってもいない)を返せ!

「弥勒ちゃんも今まで大変だったね。これからは私たちを本当の姉妹だと思ってずっとここにいていいからね」

 いや、俺の家だし。

 よしよしと弥勒の頭を姉さんが撫でる。弥勒も満更でもなさそうだ。なんだか癪だな。

「そうだよ弥勒ちゃん!これからよろしくね!」

「…うん!ありがとう!由依!由宇!…それに健も!」

 こう、素直に感謝をされるとどこか恥ずかしいな。

 こういうとこはさすが家族というか、2人も俺みたいに少し照れてる。

「さ、もう遅いしさっさと寝ようぜ。明日は朝から弥勒の情報集めやるんだから!」

「そっか。健ちゃん偉いね!お姉ちゃん達も手伝うよ!」

「由宇もやる!」

「2人とも…ありがとう」

 正直どうなるかと思ったが人手は多いほうがいいし、姉さん達はなんやかんやで優秀だから助かる。

「じゃあ、お姉ちゃん達お風呂はいってくるね」

「私も入る〜!」

 2人とも服を脱ぎ散らしながら風呂場へ向かった。

 早速実家と同じスタイルで生活してやがる。弥勒もいるってのにこいつらは…。

「あ、健ちゃん?」

「お兄ちゃん?」


『覗いちゃダメだよ?』


「帰れ!」

 全力で2人の脱ぎ捨てた服を投げ捨てた。


……


「いや!さすがにこの部屋の広さで4人で寝るのは無理があるだろ!」

「もう!健ちゃん!夜遅いんだから静かにする!」

「いや!季節考えろよ!暑苦しすぎんだろ!」

「お兄ちゃん!早く寝なさい!弥勒ちゃんを見習って!」

 この状況でなぜ爆睡できるんだろう…。

「静かに寝んねする!」

 俺の顔が勢いよく姉さんの谷間に押し付けられる。

「い、息が…!」

 普通ならこの状況は羨ましがられるんだろうか?

 ぶっちゃけ実の姉ってのは結構キツイぞ?

 なんて下らない考えをしていると俺の意識は強制的にシャットダウンさせられた。


 でも、この夜は入学してから一番ぐっすり眠れた気がする。



ーー翌朝ーー


 少し首が痛いが、ぐっすり眠れたのですこぶる元気な俺は、迷惑な姉妹と弥勒を連れ、昨日、弥勒と出会った場所へきていた。

 しばらくして連絡していたシークがやってきた。

「すまない!遅くなった…えっと…この人達は?」

 シークが少し息を切らしながらやってきたと思ったら、早速見たことない2人の姿に困惑している。

「あぁ、この2人は俺の姉の由依と妹の由宇だ。事情はまた説明するが、弥勒の調査を手伝ってくれることになったんだ」

「なんと!型無の姉上と妹君だったとは…ご挨拶が遅れて申し訳ない。型無のクラスメイトのシーク・フォン・リューズです。よろしくお願いします」

 さすがは騎士様。礼儀正しい美しいお辞儀だ。

「まぁまぁ、これはこれはご丁寧に。姉の由依です」

「妹の由宇でーす!この人はお兄ちゃんの彼女?」

 この馬鹿妹は一体何を?

「いや、ご期待に応えられず申し訳ないが私と型無はそういう関係ではないよ」

 こういうときは赤面して慌てふためくものではないのだろうか?

 顔色1つ変えず淡々とした受け答えで…これは脈なしのやつじゃねーか!

「下らないこと言ってないで、挨拶も終わったならさっさと始めようぜ」


 行動しようとしたその時、俺たちの元に大きな怒声が降り注いだ。

「見つけたぞ!てめぇら!昨日はよくもやってくれたな!」

 声の主に少し見覚えが…あぁ、昨日、弥勒をナンパしてたやつだ。

「絶対許さねぇからな!今更泣いて謝っても絶対許さねぇ!グチャグチャに犯しまくってやる!」

「で、どいつだ?お前をやった金髪の巨乳ってのは?」

「あいつです!」

 ナンパくんの後ろから大男が現れる。

 さらにそいつに引き続きぞろぞろと…ざっと30人くらいか?

「私に用があるのか?」

 シークもシークでこういう挑発にすーぐ乗っちゃうから…あぁ面倒くせぇ…。どうやって逃げようかな…。

「言っとくがな!アニキは元軍人なんだぜ?」

「戦場で殺りすぎちゃってクビになったんだけどな。ゲハハ!」

 男達もつられて笑い声をあげる。気持ちワル!

「くだらない…さっさとかかって来い!」

「おい!シークもこんな下らない挑発に乗るな!」

 俺が間に入って仲裁をしようとしたが、ここで新たな乱入者が現れる。

「も〜う!うるさい人たちですね〜!お姉ちゃんあんまり好きじゃないですよ〜?」

 傍観していた姉さんがいつの間にか輪のど真ん中に現れる。

 

「この女!いつのまに!?」

「今なら許してあげますから、さっさと帰りなさい。ほら」

 シッシッと手で仰ぐように挑発する姉さん。

 当然ブチギレる男たち。

「あ゛?なんだお前?お前が失せろババア!」

「おいやめろ!姉さんはまだ21だ!」

 と、ここで姉さんから溢れ出す殺気に俺は言葉を止めた。

「健ちゃん…?こんな人前で年齢をバラすなんて…そんな子に育てた覚えはありませんよ?」

「いや…ハハハ」

 俺はそっと後ずさる。

「後でお姉ちゃんとお話しましょーね?」

 遠慮します。

 俺はシークを連れてそっとその場から距離をとった。

「おい!型無!離せ!由依さんを助けないと!そもそもこれは私がー!」

「シークさん、いいのいいの。逆に巻き添え食らっちゃうから」

「弥勒もこっちへ」

 俺たち4人は十分に姉さんから離れた。まぁこれだけ離れたら大丈夫だろう。


 姉さんは今だに呪いのように何かを呟いている。

「てめぇ!無視してんじゃねーぞコラ!」

 ついに男が1人痺れを切らして襲いかかった。


 が、次の瞬間に男は空高くへ吹き飛ばされ星になりました。

「おー、よく飛んだなぁ〜」

 いきなりのことで状況が飲み込めないって顔のシークと弥勒を他所に、俺と由宇は拍手で姉の記録を讃える。

「…おい!型無!由依さんは一体…」


 ここでまたまた告白するが、姉さんはセントラルのOGだ。

 

 かつてセントラルに化け物がいると噂された時期があったらしい。

 成績はもちろん3年間ぶっちぎりの1位。在学中に出した記録や残した成績は未来永劫残るだろうと言われるほどの秀才。

 驚異の支持率97%という数字を叩き出し、3年間生徒会長の座に座り続けた女がいた。


 それが俺の姉さん『型無かたなし 由依ゆい』だ。


 姉さんについて話している間に男達は全て(物理的に)星になってしまったようだ。


「あー!スッキリ!健ちゃ〜ん!終わったよ〜!褒めて?」

「は〜い。すごいすごい」

「次に人前で年齢を言っちゃったら、健ちゃんも星になっちゃうからね?」

「気をつけます」

 笑顔の姉さんにおそるおそる近づいていくシーク。

「噂には聞いたことがあった。セントラル始まって以来の秀才。まさか型無の姉上だったとは…」

 さっきまでとは全く違う羨望の眼差し。シークのこんな顔は初めて見たかもしれん。

「由依ねぇって有名人なの?」

「そんなことないと思うけどな〜?」

「由依、すごい!カッコ良かった!」

 化け物は大体自覚がないもので…。

「しかし、本当になんて実力…マインドも使わずに素手であの数を…」

「ん?姉さんはマインドを使ってたぞ?」

「馬鹿な!由依殿は完全に素手だったではないか!?」

 あー、そっかこいつは知らないんだったな。

「あ〜…それは、えっとね〜」


「由依ねぇのマインドは第3階梯なんだよ!」


 まだ未知の力であるマインド。

 その力が行き着く最終型。

 人類でもまだ、ごく僅かしか到達していない、その力がこの姉には宿っている。

ーそして…。


「まぁ、私もなんだけどね?」


 この妹『型無かたなし 由宇ゆう』も史上最年少の13歳で第3階梯に至った天才だった。

PC復活しました。

頑張りました。

これからもよろしくお願いします。

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